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鬼才振付家ウィールドンによるバラエティ豊かな4作品を集めた『バレエ・トゥ・ブロードウェイ』~「英国ロイヤル・バレエ&オペラ in シネマ 2024/25」

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Christopher Wheeldon's An American in Paris, The Royal Ballet
Fool's Paradise, Akane Takada, William Bracewell and Liam Boswell ©2025 Johan Persso

英国はロンドンのコヴェント・ガーデン、「ロイヤル・バレエ&オペラ(RBO)」で上演された、ロイヤル・オペラ、ロイヤル・バレエ団による世界最高峰のオペラとバレエを、特別映像を交えて映画館上映する「英国ロイヤル・バレエ&オペラ in シネマ」。今シーズンも全10作品<バレエ6作品/オペラ4作品>を各1週間限定で全国公開している。ライブでの観劇の魅力とは一味違う、映画館の大スクリーンと迫力ある音響で、日本にいながらにして最高峰のオペラとバレエの公演を堪能できる至極の体験を味わえる。

The Two of Us, Calvin Richardson ©2025 Johan Persson

2025年9月19日(金)からは、現代バレエシーンを代表する振付家のひとり、クリストファー・ウィールドンの手がけた『バレエ・トゥ・ブロードウェイ』が、TOHOシネマズ日本橋ほか全国で1週間限定公開される。本作の見どころを、舞踊評論家、森菜穂美氏の解説とともに紹介する。

Us, Matthew Ball and Joseph Sissens ©2025 Johan Persson

世界中でヒットした『不思議の国のアリス』や、トニー賞を受賞し劇団四季でも上演されたミュージカル『パリのアメリカ人』で知られる、現代最高の振付家クリストファー・ウィールドン。森氏は本作について「彼が生み出したバラエティに富んで美しい4作品で構成され、夢のような時間に浸ることができるプログラム。バレエファンだけでなく、ミュージカル好きにもきっと楽しめることだろう」と語り、ウィールドンの経歴や作品の特徴についても詳しく紹介している。

1作目の『フールズ・パラダイス』は、ウィールドンが作曲家ジョビー・タルボット(『不思議の国のアリス』『冬物語』『赤い薔薇ソースの伝説』等)との長きにわたるコラボレーションの第一歩となった作品。ファッションデザイナーのナルシソ・ロドリゲスが手掛けた肌色のミニマルな衣裳に身を包んだ9人のダンサーたちが、刻々と変化していく美しいフォルムを作り上げていく。高田茜とウィリアム・ブレイスウェルをはじめとする3組のペアが生み出す複雑でクリアな動きは「まるで生ける彫刻のようだ」と、森氏は賞賛を送っている。

Fool's Paradise, Lukas B. Brændsrød and Marianela Nuñez ©2025 Johan Persson

Fool's Paradise, Marianela Nuñez, The Royal Ballet ©2025 Johan Persson

続く『トゥー・オブ・アス(ふたり)』は、2020年、コロナ禍の最中のニューヨークでの「フォール・フォー・ダンス」フェスティバルで無観客配信として初演された。伝説的なシンガー、ジョニ・ミッチェルの名曲4曲を、日本でも90年代に人気を博し9月に来日公演も予定されているジュリア・フォーダムが柔らかで深みのある声を駆使して舞台上で歌い、一組の男女のそれぞれの人生の季節、邂逅と別れを描いている。本作に出演するローレン・カスバートソンとカルヴィン・リチャードソンについて、森氏は「奔放さの中にある繊細な表現力、軽やかで少し切ないダンスは人生の輝きと心の揺らぎ、機微を伝えて爽やかな余韻を残す」と熱く語っている。

The Two of Us, Lauren Cuthbertson ©2025 Johan Persson

『Us(僕たち)』は、ロイヤル・バレエ出身でウィリアム・トレヴィットとマイケル・ナンによるデュオ、バレエ・ボーイズのために2007年に創作され、今回がロイヤル・バレエでの初演となる。男性同士の力強さと優しさが感じられるコンタクトの多い官能的なデュエット作品で、マシュー・ボールとジョセフ・シセンズによる美しいパ・ド・ドゥは、手を触れ合う動作と共にふたりの絆を感じさせるパートナーリングを見せている。森氏は「お互いに身体を預け、引き合い、交互にリフトし合うなど、男性ダンサーならではの表現も観られる」と見どころについて明かしている。

Us, Matthew Ball and Joseph Sissens ©2025 Johan Persson

Us, Joseph Sissens and Matthew Ball ©2025 Johan Persson

最後の演目となる『パリのアメリカ人』は、トニー賞4部門に輝き、劇団四季でも上演された同名の大ヒットミュージカル作品から25分間を抜粋した特別版。主人公のリーズとジェリーがセーヌ川のほとりで踊るロマンティックなパ・ド・ドゥと、これぞブロードウェイ・ミュージカルというべき、大きなアンサンブルによる万華鏡のような壮麗な劇中劇の場面が見事に融合。本作では、リーズ役をミュージカル映画『キャッツ』に出演したフランチェスカ・ヘイワード、ジェリー役を少年時代に『ビリー・エリオット』でビリー役を演じたセザール・コラレスがそれぞれ演じ、森氏は二人のデュエットについて、「生き生きとして華麗なデュエットは、往年のハリウッド黄金期ミュージカルのスターたちのよう」と絶賛している。

An American in Paris, The Royal Ballet ©2025 Johan Persson

An American in Paris, The Royal Ballet ©2025 Johan Persson

ウィールドンの見事な音楽性と、ダンスに込められた物語性、そしてデュエットを作る稀有な才能をたっぷりと味わえる4作品。センシュアルなパ・ド・ドゥから華麗でスケールの大きなミュージカル作品まで、ロイヤル・バレエの夢のような時間を映画館でぜひお楽しみを。

※森菜穂美氏(舞踊評論家)による『バレエ・トゥ・ブロードウェイ』解説全文は下記↓URLにて閲覧可能です。

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