キリンのお引越しに1年4か月!エサを毎日30センチずらしながら…元気に新居で公開
ついに「キリンの引越し」が成功!
春に取材した、北海道のおびひろ動物園のキリンです。新しいキリン館への引っ越しに時間がかかっているとお伝えしましたが、ついに引越しに成功しました。
子どものすぐ目の前でエサをほおばるキリン。
「キリンさん?キリンさんだ!」「迫力がすごくてあんなに舌が長いのも初めて知った」来園者からうれしそうな声が聞かれます。
ここはおびひろ動物園の新しいキリン館。全国でも初めてという、2階から観察できるガラス張りの展示室が特徴です。
2025年12月にキリンの公開にこぎつけましたが、なんと施設の完成からは1年4か月がかかったのです。ここまでの道のりは前回の記事でもお伝えしましたが、本当に長かった…。
ゆっくり、ゆっくり
2024年の、メスの「ユルリ」(8才)の様子です。
できあがった新しい飼育室に、なかなか入ってきません。
おびひろ動物園の渡邊誠克園長は「手前まで来るがユルリは戻ってしまった」といいます。
「キリン側の理由もある。人間の都合通りにはいかなかった」
キリンのペースに合わせて、ゆっくり、ゆっくり。新居の完成から公開まで、かけた時間は実に、1年4か月。
キリン担当の飼育員は「『ここでやらなきゃ誰がやる!』という気持ちでやった」と苦労を語ります。
キリン一家の引越しを追いかけました。## 53年ぶりの新施設!…ところが
いまから60年以上前、1963年に開園した「おびひろ動物園」です。
キリンの飼育施設は1971年にできましたが老朽化のため、2024年8月、約5億8600万円をかけて、新しい「キリン館」を造りました。
オスの「メープル」(11才)と、メスの「ユルリ」(8才)、その2頭の息子「ユメタ」(3才)も引っ越しです。
ところが。
立ち止まる…
コンクリートの壁に囲まれた新しい飼育室。これまでの施設と同じ環境ですが、簡単には入りません。
エサを持った飼育員が先に入って誘導しますが、「ユルリ」は立ち止まって、後ずさり。
おびひろ動物園のキリン担当・片桐奈月さんは「キリンは本来おくびょうな性格。少し神経質な面が強かった。新しいところは動物にとってはこわい。『大丈夫だよ』と安心した場所にする方法を考えなければいけなかった」と話します。
結局、元の施設で冬を越し、4月に訓練を再開することに。
「メープルはすぐ入ったが、ユルリは入らない。どう緊張感をとくか、部屋のどこで緊張するのか、餌をどこに置けばいいかを観察して…」
30センチずつ…地道な工夫の積み重ね
ユルリは3頭のなかでも特に警戒心が強く、慣れない場所には行きません。
エサ箱を毎日30センチずつ部屋の奥にずらすなど、地道に工夫を重ねました。
「4月末から順調にユルリも協力的に進んでいまして、部屋の扉を閉めるのがゴール。いかにパニックにならないか注意を払った」
2025年8月、施設の完成から1年後にようやく飼育室の部屋のなかを動き回れるようになりました。
「9月に『今なら扉を閉められるかな』というタイミングを狙った。部屋に入ってからはすぐ順応し、休む姿やリラックスしている様子を見て一安心」
ユルリが無事に入ったことで、息子のユメタもスムーズに移動。親子3頭が無事、キリン館に移りました。
さらに、展示室での公開に向けたトレーニングを重ねます。
「室内のガラスを認識させるのに、ロールスクリーンを下ろし体を反射しないように、ここは壁でこちらに来られないと、自分と客のエリアを認識させた」
そして、いよいよお披露目のときです!
キリンがえさを食べる様子を間近で!
そして、ついに自慢の展示室でキリンたちの公開が始まりました!
エサ入れには工夫がされていて、来園者側に向けて直径5センチほどの丸い穴が開いています。
ここにキリンが舌を入れてエサを食べる仕組みです。
「本来、高い木の葉を舌で引っ張って食べるんです」キリン担当の片桐さんが、来園者に向かって話しています。
「かわいい。ベロ長~い」
「みんなの力で動物も新居であたたかくなってよかった」
来園者もうれしそうです。
当面の間、公開するのは展示室にすぐに慣れたメープルが中心。奥の飼育室には、ユルリとユメタの姿も見えます。
こちらは、ユルリとユメタが暮らす飼育室。特別に案内してもらうと、2頭とも元気そう。
片桐さんは「キリンはいないの?と冬も聞こえてきたこともあって心苦しかったんですけど、ことしはいつでもキリン見れるよというところをアピールしていきたい」と意気込みます。じつに1年4か月越しの公開。
よかったですね!
キリンの特徴
1年4か月、ユルリと一緒にがんばってきたキリン担当の飼育員・片桐奈月さんは「ユルリにとっては今回の時間は必要だったし、時間をかけて正解だった」と話します。
改めて、キリンは警戒心が強い動物だということ。
そして、けがをさせないように慎重に信頼関係を大事にしながら引っ越しをしたことで何より安心してこれからの生活ができる環境になったことが一番ですね。
おびひろ動物園は2026年2月28日まで、日曜と祝日の営業です。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年12月11日)の情報に基づきます。