滋賀・御上神社の行事食「たでずし(めずし)」を知ってますか? 美しいずいき祭の御輿も見逃せない!
京都の北野天満宮での「ずいき祭」は有名ですが、その隣の滋賀には、それはそれは美しいずいきの御輿(みこし)が毎年手作りされる、御上(みかみ)神社の“ずいき祭”(毎年10月第2月曜)があるのをご存じですか?そしてその祭りでは、神饌(しんせん)として、また直会(なおらい)*1の食として作られる「たでずし*2」という行事食があるのです。イラストを拡大してどうぞ~。*1 神事のあとに神饌や御神酒(おみき)をみんなで飲食する会*2 もとは「めずし」という名ですが、最近は「たでずし」とも呼ばれている
「たで」ってなに?
「タデ食う虫も好き好き」のタデのこと。
たでずしには、集落の西側を流れる野洲川の河原に自生する「ヤナギタデ」を自宅の畑などで育てて使われています。
たでずし作り
タデの葉、大きめのジャコ、酢飯をそれぞれ混ぜます。
タデの葉は乾燥させて、粗めの粉状にしたもの。タデの葉がほんのかすかにピリリッ。
半紙の上にたでずし
祭りの中の「頭(とう)渡し」という儀式では、半紙の上にたでずしと青漬け(大根葉の塩漬け)をのせるというしきたりもあります(頭渡しは見学できなかったので、聞いたことを想像で描いています)。
ほぼすべて、植物でできた御輿
800年以上前から受け継がれている種芋から栽培された、みずみずしい緑が美しい「ずいき」がふんだんに使われます。
飾られる柿、栗、ゴマ、ケイトウ、榊(さかき)はもちろん、ずいきなどをつなげるのにも、山から採ってきた藤蔓(ふじづる)が使われます。
とにかく一度、この御輿の美しさを生で見てほしい!
祭りのあと、すべて自然に還るものだなんて——。そんな自然にやさしいところも、とってもステキ。
ずいき祭の“お菓子”
集落の人たちは、ずいきで作った御輿のことを“お菓子”と呼びます。
昔、野菜や果物のことを“お菓子”と呼んでいた流れからだそう。
取材・文・イラスト・写真=松鳥むう
松鳥むう
イラストエッセイスト
離島・ゲストハウス・民俗行事・郷土ごはんを巡るコトがライフワーク。著書に『トカラ列島秘境さんぽ』『粕汁の本 はじめました』(ともに西日本出版社)、『むう風土記』(A&F)などがある。