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世界から代表選手が集結 ― 「第44回世界アマチュア囲碁選手権戦 東京大会」開催レポート!【NHK講座】

NHK出版デジタルマガジン

世界から代表選手が集結 ― 「第44回世界アマチュア囲碁選手権戦 東京大会」開催レポート!【NHK講座】

世界から代表選手が集結!

アマチュア碁打ちの世界一を決める「第44回世界アマチュア囲碁選手権戦 東京大会」が、5月19日から22日にかけて行われました。今年の開催地は5大会ぶりとなる東京。世界60か国・地域の代表選手が日本棋院東京本院に集結しました。

1979年に創設された歴史あるこの世界アマ大会は、国際色豊かでとても華やか。今回はそんな大会の模様を、選手たちの戦いぶりに加えて、競技前日の開会セレモニーや記念イベントなどとともにNHK「囲碁講座」テキスト9月号よりお伝えします。

 競技前日(5月18日)には、選手たちを歓迎する各種の催しが行われた。

 まずは開会セレモニー。さまざまな国の選手と関係者が一堂に会する光景は圧巻だ。関係者のあいさつに続いて乾杯が行われると、会場内は一気に明るくにぎやかに。ビュッフェ方式の食事とともに、各テーブルでは談笑の輪がいくつも出来ていた。

 続いて日本棋院100周年と関連した記念イベントとして、レジェンド棋士による公開対局と、選手対棋士の連碁が行われた。公開対局では大竹英雄名誉碁聖と武宮正樹九段の熱戦を、一力遼NHK杯やマイケル・レドモンド九段らが選手たちに向けて英語で解説。観客席の中にはプロ棋士を見るのが初めてという選手も多く、彼らは貴重な体験に興味津々の様子だった。

 連碁では選手たちが15人ずつ4組に分かれ、それぞれ棋士と対戦。翌日から真剣勝負が始まるとはいえ、このときばかりは和気あいあいとした雰囲気で盛り上がっていた。

注目選手の記者会見

 この日は記者会見も行われた。会見に臨んだのは日本、中国、韓国、キルギス、ドミニカ共和国の各選手だ。

 念願の代表権をつかんで満を持しての出場となる日本代表の大関稔さんは、アマ名人・本因坊の二冠。「ようやく出場することができてうれしい。自分の実力を出しきり、準備してきたことが発揮できるように頑張りたい」と意気込みを語る。
 
 中国代表の白宝祥さんは過去4回出場して4回とも全勝優勝している超強豪。「プレッシャーは感じていません。一局一局頑張っていきたい」と貫禄のコメント。前回優勝のキム・ジョンソンさん(韓国)は「勝利より楽しむことを優先して対局に挑みたい」と言う。

 ドミニカ共和国とキルギスは大会初出場を果たしたことで注目された。ドミニカ共和国代表のパスカル・アレジャンドロ・ヌネス・マリオットさんは「この大会を楽しみ、対局を通していろいろ学びたい。ベストを尽くします。目標は4勝」と話す。キルギス代表のエルナアール・エミレヴさんは「初出場できて誇りに思っています。この大会で自分の技術を磨きたい。地元の人たちのためにキルギスの選手が世界で戦えるということを見せたい」と胸を張る。14歳のエミレヴさんは、詰碁や対局を中心に短期間で上達したそうだ。

いよいよ競技開始!

 競技は4日間で8局を戦い、順位はスイス方式で決める。大会初日の午前9時半、審判長の一力NHK杯の合図とともに1回戦が開始。60人の選手の石音が一斉に響いた。

 2日目の4回戦を終えた時点で、全勝は日本の大関さんをはじめ、4選手に絞られた。翌日の5回戦、大関さんと中国の白さんの全勝対決は細かいヨセ勝負の末に大関さんに軍配。これまで本大会36連勝中だった白さんを相手に大きな勝利を上げた大関さんが、優勝へ向けて一歩近づいた。

 しかし、大関さんは続く6回戦で韓国のキムさんに惜敗してしまう。この時点で全勝はキムさんただ一人。それを大関さん、白さんら1敗の選手たちが追う展開となった。果たして優勝の行方は…?

 大会最終日の優勝争いは大混戦となった。7回戦、中韓対決で白さんが全勝のキムさんに土をつけて両者1敗で並ぶと、8回戦は二人とも勝ち星を上げてフィニッシュ。大関さんも最終日の2局を勝利で締めくくった。

 その結果、日中韓の3選手が7勝1敗で並ぶことに。しかし対戦相手の勝ち数などを集計したポイントの差で、最終的に優勝は白さんに決定。大関さんは3位となった。

 「今大会には気楽に臨みました。とてもうれしい」と喜ぶ白さんは、これで通算5度目の優勝。
対日本戦を振り返り、「大関さんは強かった。負けたときはもう優勝はないと思っていたので運がよかった」と大関さんをたたえた。

 惜しくも優勝を逃した大関さんは「最低限の目標は達成できましたが、結果は残念」と悔しさをにじませながらも、「準備していたことは出せました。中国の選手に勝てたことで、自分が日本代表として出場した意味があったのではないかと思う」と手応えも得た様子だった。
 

 表彰式後には出場選手全員で記念撮影。囲碁が国境を越えたゲームであることを改めて感じさせられる大会だった。

◆NHKテキスト『囲碁講座』9月号「第44回世界アマチュア囲碁選手権戦 東京大会」より
◆文 保田大地
◆写真 小松士郎

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