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中村壱太郎が9役を早替りで勤める、新作舞踊『玉藻前立飛錦栄』を上演 ゆかりの地である高尾山薬王院で成功祈願 

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中村壱太郎

2024年11月21日(木)~24日(日)の4日間、立川ステージガーデンにて、立飛グループ創立100周年記念事業『立川立飛歌舞伎特別公演』が開催される。これに先立ち、歌舞伎俳優の中村壱太郎が新作舞踊『玉藻前立飛錦栄(たまものまえたちひのにしきえ)』ゆかりの高尾山薬王院(正式名称:髙尾山薬王院有喜寺)にて成功祈願を行い、囲み取材で意気込みを語った。

『玉藻前立飛錦栄』は、「立飛グループ創立100周年」を記念し創作され、今回、本公演で初披露される新作舞踊。「九尾の狐」伝説をモチーフに、藤間勘十郎が脚本・振付を手がけ、壱太郎が9役を早替りで勤める。本作品の舞台となるのが、高尾山薬王院だ。

大本堂で執り行われた成功祈願では、壱太郎は手をあわせ読経に耳を傾け、法螺貝や太鼓の勇壮な響きのなか、お護摩の火を真摯に見つめていた。さらに鐘供養として、境内の鐘楼堂傍に保存された寛永古鐘にて、佐藤秀仁貫首による読経が行われた。

成功祈願を終えた壱太郎は、「護摩焚きの火を見ることで、心が洗われるものがありました。立川での4日間の公演に対し特別な思いが一層強くなりました」と感想を述べた。薬王院を訪れたのはこれが初めてであり、「今回新しく作る歌舞伎の舞台が薬王院さんであり、この境内がひとつの場面となります。実際にこの土地に来ることで作品への思いも、舞わせていただくことへの感謝もより強くなりました」と語った。

寛永8年(1631)の鋳造と伝わる、寛永古鐘。

「この鐘は、実際に撞(つ)かれていたものだとお聞きしました。歌舞伎には『道成寺物(どうじょうじもの)』と呼ばれる、鐘にまつわる作品が数々ございます。そのような歌舞伎の古典にヒントを得て、藤間勘十郎ご宗家が書いてくださったのがこの新作舞踊です。“薬王院版道成寺”と言えるのではないでしょうか。さらに高尾山にまつわる狐の逸話からもヒントを得て物語は進みます。今回限りでなく、この先も様々な場所で上演できる作品になればと思っております」。

劇中では、9役を早替わりで演じる。過去にも早替りの作品を経験してきた壱太郎は、その心境を「自分から切り替えて踊り分けていくというよりは、扮装が9役それぞれに変わることで、気持ちが役になっていく」と分析し、「早替りだけでなく宙乗りもございまして、歌舞伎のスペクタクルな演出が採り入れられています。ですが、それをパフォーマンスとしてお見せするだけでなく、何よりも薬王院さんへの気持ちを大切につとめたいです。祖父の坂田藤十郎も、変化物(へんげもの)と呼ばれる早替わりを取り入れた作品を手掛けておりますが、心に思うところを持ち、心を大切に演じていたと思います」と意気込みを述べた。

会場となる「立川ステージガーデン」は、多摩地区初の民間運営ライブエンターテインメントホールで客席数は多摩地区最大規模の約2,500席。大きな会場での宙乗りに不安はないかと問われると、「お護摩では、とにかく無事に公演ができるようにとお願い申し上げました。『身体健全』とあれだけくり返し唱えてくださったので、今は『これなら大丈夫』と言う気持ちです」と笑顔を見せた。

「立川ステージガーデンは、我々のホームグラウンドである歌舞伎座よりも大きな会場です。数々のミュージカル、演劇、音楽などを上演する中で、立飛グループさんが歌舞伎のことも大事にしてくださり今年も開催されます。皆さんのご期待を裏切ることのないようつとめさせていただきます」。

「立飛歌舞伎」は、立川ステージガーデン初の歌舞伎公演として昨年10月に開催された。2回目の開催となる今年、壱太郎のほか片岡愛之助、市川中車らも出演し、木ノ下裕一脚本・藤間勘十郎演出による新たな歌舞伎『新版 御所五郎蔵(ごしょのごろぞう)』と、新作舞踊『玉藻前立飛錦栄(たまものまえたちひのにしきえ)』の2作品が上演される。

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