独創的なカクテルのアレンジ「ツイスト」をご存知ですか?
フレッシュクランベリーを使ったリッチでトロピカルな一杯
今回訪れたのは、薬院の「BAR秋吉」。
オーナーバーテンダーの阿部岳祐さんは、小倉の「Bar薮」、平尾の「シナモンガール」(現在は閉店)を経て、2011年10月、この場所に「BAR秋吉」をオープン。
店内に入ってまず目を奪われるのが、バックバー(酒棚)を半ば覆う形となっている格子状の引き戸だ。
「ボトルが見え隠れすることで、お客様の想像と期待を引き立てることができたら」と語る阿部マスター。
店名の「秋吉」は、幼い頃よく可愛がってもらった母方の祖父母の名字だそうで、「なんとなく店を守ってくれているような安心感がありますね」と笑みを浮かべるマスターの、遊び心と優しさにあふれた人柄に触れ、ご近所の馴染客が多いというのも頷ける。
今回オーダーしたのは「クランベリーとルバーブのミリオネア」。
「ミリオネア」は本来、ラムをベースに、スロー・ジン(スローベリーのリキュール)とアプリコット・ブランデー、レモン・ジュース、グレナデン・シロップ(ザクロのシロップ)をアレンジしたカクテル。
今回いただいた一杯は、生のクランベリー、独特な風味と酸味が特徴的なタデ科の野菜・ルバーブ、そしてパイナップルジュースを使った、「ミリオネア」のアレンジ版で、近年ではこうした独創的なカクテルのアレンジを指す「ツイスト」という言葉も一般的になりつつある。
クランベリーとルバーブが織りなす甘酸っぱさをパイナップルが包み込み、トロピカルな風景がグラスの中に広がる。まさに「大富豪」という名に相応しい、それぞれの要素が重なり合うリッチな味わいだ。
ストレーナー(漉し器)を使わずにグラスに注がれているため、飲み進めていくと、素材の粒感や繊維感が楽しめ、栄養の塊が体内に吸い込まれていくような充足感がある。
カウンター席に加えて、個室も完備。季節ごとに「ツイスト」が効いたフルーツカクテルをを楽しみたいBARである。
《BAR秋吉》
福岡市中央区薬院4-2-13 メゾン薬院 2F
092-521-5788
※掲載しているメニューや価格は取材時のものです。訪問する際にはお店のSNSや電話等でご確認ください。
西山健太郎
福岡市役所に勤務するかたわら、2017年2月に樋口一幸氏(Bar Higuchi 代表)と非営利団体「福博ツナグ文藝社」を設立。福岡・博多の地域文化の魅力について独自の切り口で発信している。