限りなく丘に近い山、曽我山(曽我丘陵)へ【東京発日帰り山さんぽ】
『散歩の達人 日帰り山さんぽ』より、旅先で気軽に楽しめる散歩コースを紹介。歩行時間や歩行距離も明記しておりますので、週末のお出かけにご活用ください。 御殿場線の駅から見える丘陵が曽我丘陵で、曽我山、国府津山とも呼ばれている。相模湾と足柄平野を見下ろし、ついでに富士山も見えるという豪華な丘に近い山歩きを。 <神奈川県 小田原市・大井町>
◆散歩コース◆
体力度:★★☆
難易度:★☆☆
登山シーズン 1月~12月最高地点 328m(不動山)歩行開始地点 36m(上大井駅)歩行時間 3時間45分歩行距離 約13km
曽我山は地元の通称で、曽我丘陵として割と知られている。つまりこれは山なのか、丘陵なのかはグレーゾーン。今回は山ということでグレーゾーンに挑戦してみた。
御殿場線の上大井駅下車。この駅を知っている人は、御殿場線のツウである。筆者は初めて降り立った。御殿場線の寂れ方はなかなかで、この駅前にも店などは何もない(夜なら飲み屋の一軒くらいはありそうだが)。店が恋しいわけではないが、ちょっと寂しい。
駅前の広場で準備運動をしている一団がいる。見ているとちょっとおかしいが、山歩きの前の運動は重要かもしれない。
駅から国道を横切ると「富士見塚ハイキングコース」の道標。ここから入る。民家の脇の坂道を上がると、再び車道へ出る。しばらく進むと目の前に曽我丘陵が見えてくる。畑や田んぼが広がった風景は心に染みる。途中からその田んぼの中の道に入り、了義寺(りょうぎじ)へと向かう。途中、畑のところどころから煙が上がっている。野焼きの風景だが、最近あまり見たことがない。規制があるのだろうか。
農村公園から足利平野と富士山を望む
了義寺に立ち寄ってから、農村公園へ向かう。寺の前で今日最初の富士山が顔を出す。車道から細い農道のような道を上がり、農村公園へ向かう。農村公園に「おおいゆめの里」。ここからの眺望はおすすめ。特に富士山。ベンチに座って富士山を眺めつつ休憩していると、目の前に車を止められた。たぶん観光の名所なのだろう、人のことはかまっちゃいられないということだ。
そそくさと観光地を抜けだし、縦走に入る。「六本松跡 曽我丘陵」の道標あり。なにせ丘陵なので、登山道ではなく農道のような縦走路だ。たいした上り下りもなく、たいした展望もない農道歩きが続く。浅間山から展望ゼロの不動山を越えて、ようやく舗装の林道へ出た。ちょっとつらい約1時間半だった。
林道へ出るとまもなく、視界が開けると同時に心も開けてきた。小田原の街や相模湾、富士山方面と足柄平野の展望。縦走で沈んだ気分が、晴れやかなものに変わって行く。
六本松跡の分岐に出た。一般的なルートは下曽我駅から登ってこの六本松跡へ出て、国府津(こうづ)駅へ下りるというコース。そのほうがいいかもしれない。
みかん畑の中を歩く。途中に見晴台の分岐があるが、行かずに直進。コース上には何箇所も細かな道標があり、複雑なコースも間違わずに進める。
大磯丘陵や丹沢の山々を見ながら五国峠碑を過ぎると、相模湾が正面に現れる。海に向かって下りていく気分は爽快である。
山歩きメモ
コース距離を短くする場合は六本松跡から下曽我駅へ下りるルートも考えられる。時間は3時間で終了する。あるいは下曽我駅から六本松跡まで上がり、国府津駅へ。2時間30分程度。また途中に風外窟という横穴古墳群がある。
アドバイス
コース上の道は、ほとんど舗装された農道といってよい。登山靴よりも軽めのウォーキングシューズのほうが歩きやすい。下曽我駅近くの梅林が有名で、毎年2月中旬が見頃。白梅が3万5000本も咲き誇る。
のんき亭
海の幸も豊富で豚汁がとにかく美味しい
国府津駅前にはあまり店がない。ラーメン屋はあるが、山麓食堂としてはいまひとつ。ということで、海沿いにあるこちらの店がおすすめ。海のものや、下のアジフライ定食などについている豚汁が抜群の味。うなぎの名店「野田岩」で修業を積んだ料理人が腕を振るう、うな重も人気だ。
●11:00~14:30LO・17:00~19:30LO(夜は土・日のみ)、火・第2水休。国府津駅から徒歩4分 ☏0465-47-3458
取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 日帰り山さんぽ』より