【初の子連れ海外】台湾を選んだワケ 英語アレルギーの息子と潔癖な娘に起きた奇跡
小学生2人を連れて台湾に行きました。初海外でのハプニング、子連れならではの準備のポイント、宿選びのほか、英語アレルギーだった息子の語学学習の壁、潔癖気味で食に不安のあった娘の様子など台北でのあれこれをレポート。
6~9歳児に見られる「中間反抗期」って知ってる?<アンケート結果>中1男の子と小4女の子を子育て中のエニママライター北林日菜です。
2025年3月に息子の小学校卒業記念を兼ね、台湾の台北に家族旅行に行きました。我が家にとっては、子どもを連れての初めての海外旅行です。
7年前、海外出張中の夫に会いに子連れ海外行きを検討し、パスポートまで作ったものの「現地で体調不良になったらどうしよう」と心配になり取りやめ、コロナ禍を経て気づけばパスポートも期限切れに……。
しかし息子が中学校に入学すれば部活やテストなどで忙しく、長期の家族旅行も難しくなりそう。子どもたちの体力もついてきたし、行くなら今しかない! ということで重い腰を上げ、今回4泊5日で行ってきました。
本記事では子連れ海外旅行の準備のポイント、英語すら苦手な息子が他言語にどう触れ合ったか、アジア料理が苦手な娘の食事事情などに焦点をあてて、ご紹介していきます。
子連れ初海外旅行で選んだ行き先 なぜ「台湾」?
子どもの初めての海外旅行先に「台湾」を選んだ理由は2つあります。1つめは前年の家族旅行で石垣島に行って、台湾が石垣島からわずか270kmの近距離にあることを知ったから。直行便のフライト時間も石垣島にいくのと1時間も変わらず、一気に親近感が湧きました。
2つめの理由は食です。小3(当時)の娘はパクチー、ナンプラーのような香りの強いものが苦手で、辛いものも食べられません。そのため、私の行きたかったタイやベトナムのような東南アジアは難しい。一方私はハンバーガーやがっつりお肉が得意ではないのでハワイなどは避けたい……。
国内旅行でも旅先の楽しみが「食」の我が家は、みんながおいしく食べられることが最優先です。その点、台湾はおかゆなど比較的日本に近い、やさしい味の料理があります。食を通して文化を知るという目的もあり、旅先を台湾の台北に決めました。
台北の朝市の街角で売っていた粽(ちまき)。食べ歩きも今回の旅の目的のひとつ。
子連れならでは 旅の準備と注意点
◆事前準備に子どもを参加させる
「旅育」として、前回の石垣島旅行に続き今回も子どもたちには積極的に事前調査をしてもらいました。行きたい場所や食べたいもの、買いたいお土産、現地で使う言葉などをリサーチし「旅のしおり」にしました。
中はざっくりスケジュールのみ。あとは空白ページにして実際感じたことなどを自由に記載していく。
ガイドブックを購入し、みんながふらっと手に取れるダイニングルームの本棚に入れておいたのは、よい試みでした。各自がインターネットで調べた情報をシェアするよりも、共通の本が1冊あると認識合わせがしやすかったです。1冊の本をみんなでのぞきこんで旅の予定を立てたのもいい思い出です。
・参考:『地球の歩き方 台湾 2025~2026』(地球の歩き方編集室)
◆もちものは現地調達不可能なものと割り切る
超心配性の私は、ドラえもんの四次元ポケットの中身くらい荷物が多いのですが、海外旅行だとそうはいきません。「現地調達が可能なもの」はなるべく減らしました。
子どもの薬だけは、風邪や胃腸炎、蕁麻疹などを想定して種類も量も多めに準備。サイズ的に現地調達が面倒そうな娘の服や靴下も優先順位は高めで用意しました。
我が家は国内でも4泊を超える子連れ旅行では、洗濯機の使えるところを選び荷物を減らしています。今回も洗濯機付きのホステルを選びました。
洗剤付きの共有洗濯機。国内だと乾燥機ですが、台湾はルーフトップのギラギラお日様で自然乾燥が気持ちいい!
正解だったのはUNIQLOのポケッタブルパーカ。アジア圏は公共交通機関やレストランは冷房が効きすぎのところが多いので、大人も子どもも1人1つ持っていると重宝します。
◆体調最優先! もったいない精神を捨てる
子連れ旅行の最優先事項は体調。せっかく来たんだからできるだけ多くの場所を巡らないとMOTTAINAI! の気持ちを捨てました。旅先でテンションがあがると親も正常化バイアスがかかり、子どもの些細な体調変化を見て見ぬふりしがちなので気を付けました。
今回も夜市に行った日はふだんだとありえない時間まで起きていたので、翌朝に予定していた観光地に行くのは中止。目覚ましをかけずに自然に起きるまでゆっくり寝かせるなど、柔軟に行程を変更しました。行けなかった場所は、次回の台湾旅行の楽しみにとっておきます。
旅行3日目は鉄オタ母の趣味全開DAY。ローカル線の平渓線でのんびり移動し、疲れをとりました(私は大興奮)。
現実は厳しかった! 旅先で外国語とのふれあい
さて今回の宿泊先「スターホステル台北駅」には自由に使えるキッチンや本のある共有スペースがあります。せっかくの海外なので外国からの旅行者と交流する機会を作りたい、と夫が考えたのです。
スターホステル台北の共有スペース。左奥のキッチンにはティーパックもあり自由にお茶も飲めて、朝はブレックファストサービスがある。
小6(当時)の息子は英語アレルギー。1歳のころから英語絵本の読み聞かせや英語ソングをかけていた結果「もう! ひらがなでよんでよ~!」と逆に英語嫌いになってしまい、猛省した母はそこから10年以上英語学習に関してはノータッチでいたのです。しかし中学からは本格的に英語の学習が始まります。
せめて旅行先で異国の言葉に触れて、苦手意識を克服してほしいというのが、今回の母の裏テーマでした。
事前にイミグレーションでの会話や旅先での簡単な会話パターンを練習。英文の型を覚えることには成功し、本人も少し自信がついたようでした。しかし……
昨今のイミグレーションではオンラインチェックインが浸透しており、昔のような入国審査官との会話はなし。一言もかわすことなく自動改札感覚であっさり入国できてしまいました。
また、ホステルの共有スペースでは、多くの外国人がイヤホンをしてスマホを見ているか、ラップトップの画面の中の人と会話中。
現実は予想とは大きく違いました。結局、共有スペースでの異文化交流はかないませんでした。
ただ、収穫はありました。
バスの行き先を確認するために、私と夫が「瑞芳(ずいほう)」と言ったのですが、これは日本語読みだったので運転手さんに伝わりませんでした。すると台湾現地の発音を覚えていた息子が「ルイファン(瑞芳の台湾語読み)」と言ってくれたのです。運転手さんは大きくうなずきながら、にっこり息子に微笑んでくれました。
またあるときは屋台で注文したあとに「多謝(トーシャー)」(台湾語でありがとうの意)と言い、とても喜ばれて嬉しかったようです。多くの人が「Thank you」や「謝謝」と言うところ、台湾語を使ったことから相手が喜ぶ顔を見て、本人なりに、日本語以外の言語でコミュニケーションする楽しさを感じとったようでした。
息子がこんなふうにコミュニケーションをとれたのは、じつはしおり作りのときに、挨拶や地名、簡単な屋台での注文方法を英語、中国語、台湾語で調べていたからです。
英語を使った経験ではなかったものの、結果的に言語学習へのモチベーションが爆上がりし、帰国後は英語学習に開眼! 中学入学後の今は成績も順調です。「英語じゃなくてコミュニケーションする喜びにフォーカスすべきだったのか」と、母は再び反省しています。
ふらりと立ち寄った現地の図書館にて。中国語の本を見て「漢字と絵だからわかる!」と喜んでいる息子。
屋台の食事や夜市の喧噪…… 敏感で潔癖な娘の反応は?
においや食感に敏感でちょっと潔癖気味な娘。台湾の食文化に触れてほしいものの、夜市の喧噪や屋台文化が気に入るかは母から見て五分五分……。
娘は新しい文化にぱっと飛び込むより、まずは様子をうかがうタイプです。夫が旅行の下調べで見ていたYouTubeの台湾の食べ歩き動画で、屋台や食事の雰囲気を予習していきました(私はリアルな体験のインパクトが薄まるのでは? と懐疑的な立場)。
さらに「頭で理解すること」も大切だと考え、食べたい食事に使われている材料を調べ、台湾の文化的な背景、地理などを結びつけて学びました。
台北の町の雰囲気は予習済み。すっかりリラックスして歩く子どもたち。
実際に行ってみた反応ですが、到着した日は少し顔もこわばっていましたが、2日目からは予習の甲斐もあり屋台料理をぱくぱくと食べていて驚きました。慎重派のお子さんは事前に動画でチェックする作戦、おすすめです。
唯一本や動画では予習できない匂い問題は、市場などで苦手なにおい(五香粉や臭豆腐)が流れてくるとさすがにウッとなるも、笑いながら避難する余裕がありました。
超ビッグな胡椒餅(辛くない)を頰張る娘。心配は杞憂でした。
娘は台湾スイーツにどハマり。豆花(トーファー)はトッピングにハトムギや甘いお豆、タピオカ、芋圓(さつまいもだんご)などが数種類選べて毎日飽きません。
行ってよかった子連れ海外
初めての子連れ海外でしたが、誰も体調を崩さず全員が楽しめました。息子は食から文化に興味が高まり、語学学習へのモチベーションがあがりました。娘は好き嫌いが減ったり自分に自信がついたようで、行ってよかったなと思います。
子連れ海外旅行に行くなら、子どもの性格や興味に合わせて旅行のテーマを決め、子どもと一緒に事前準備をするのがおすすめです。予定から外れたハプニングも楽しむ気持ちがあれば、すべての体験がポジティブなものになると思います。
さて、中学に入学した息子は予想どおり部活やテストで忙しいものの、日程を調整すればまだまだ家族旅行はできそうです。私の住む茨城県はラーケーションを推進しているので、次回はもう少し遠い海外にチャレンジし新たな体験をしたいです。