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ゆず、初のオンラインツアー開幕 “出発点”をテーマに懐かしの曲たちと最新技術の融合が生んだものは

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ゆず

YUZU ONLINE TOUR 2020 AGAIN 2020.9.27 横浜文化体育館

ゆずが9月27日、初のオンラインツアー『YUZU ONLINE TOUR 2020 AGAIN』をスタートさせた。ライブベスト映像作品『YUZU ALL TIME BEST LIVE AGAIN 1997-2007』『YUZU ALL TIME BEST LIVE AGAIN 2008-2020』を伴った同ツアーは、全5公演。初日公演「DAY1:出発点」からはじまり、毎週日曜日の21時~配信され、会場、テーマ、セットリスト(「夏色」を除き、全公演“かぶり”ナシ)をすべて変えながら行われる。

ゆず 撮影=太田好治

初日の会場は、神奈川・横浜文化体育館。老朽化によって9月6日に閉館した“文体”は、ゆずが1998年に初めてアリーナクラスのライブを行った会場であり、その後も記念碑的な公演を行ってきた縁のある場所だ。セットのない会場で北川悠仁、岩沢厚治は、初期の楽曲を中心にしたセットリスト、2人のアコースティックな演奏とハーモニー、最新のAR技術を取り入れた演出を含め、ゆずにしか実現できない配信ライブの形を提示し、全国のファンを喜ばせた。

ゆず 撮影=太田好治

開演10秒前からカウントダウンがはじまり、21時ちょうどにゆずが登場。横浜文化体育館のフロアの真ん中で北川、岩沢がしっかりと握手を交わし、「横浜文化体育館といえば、この曲! いってみよう!」(北川)と「大バカ者」(シングル「夏色」収録/1998年)でライブをスタートさせた。続く「手紙」(アルバム『ゆず一家』収録/1998年)では北川が鍵盤ハーモニカを演奏、岩沢のアコギとハーモニカとともに素朴で切ない雰囲気を演出。間奏では北川がファンの向けた手紙を読みーー初のオンラインツアーに対する“不安なこともあるけど、それ以上にワクワクしている”という思い、そして、見ている人すべてに歌を届ける決意——チャットコメント欄には“ありがとう”“嬉しい”という言葉が並んだ。「この場所からはみなさんの声が聞こえてこないので、ライブ感を出すためにコレを用意しました」(北川)と歓声を入れたサンプラー(“歓声くん1号”)を使い、自分で歓声を出しながら「男子!」「女子!」と呼びかける演出も楽しい。

ゆず 撮影=太田好治
ゆず 撮影=太田好治

“出発点”というタイトルが付けられたこの日のライブは、初期の楽曲が中心。“二人で始発列車を待っている”というシーンを切ないメロディとともに描き出した「始発列車」(シングル「いつか」収録/1999年)、ノスタルジックな旋律、美しいハーモニーと歌詞が溶け合う「境界線」(アルバム『ゆず一家』収録)などを披露し、“懐かしい!”“聴きたかった!”とファンを感涙させた。ライブ前半のハイライトは、シングル曲「いつか」(1999年)。会場の照明が落とされ、寒い季節を思い起こさせる大樹が映し出される。さらに楽曲の後半では、雪が舞い降りる演出も。映像ディレクター・東市篤憲を中心とした制作チームのAR技術により、楽曲の世界が増幅していくシーンは、この日の公演の大きな見どころだった。

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この後2人は、会場の扉を開けて、ロビーへ移動。“文体”の思い出を語り合いながら(初めてこの会場で歌ったのはラジオ番組『オールナイトニッポン』のイベントだったとか)客席まで行き、「ふだんみんなが見ている場所から、この曲を届けたいです」(北川)と「雨と泪」(アルバム『ゆず一家』収録)を歌い上げる。さらに「連呼」(ミニアルバム『ゆずの素』収録/1997年)では、1998年に行われたツアー「『幸(せ)拍(手)歌合戦』」の“客席を二つに分けて合唱”という演出を再現。北川、岩沢が両サイドの客席に別れ、<なんでもないのに泪が出てくるのは/きっと本気で誰かと 笑いたいだけなんだ>というフレーズを熱唱した。「連呼」は、ゆずとして初めて共作したオリジナル曲。フォーキーな手触りのメロディ、真っ直ぐで純粋な思いを込めた歌詞は、まさに彼らの“出発点”だ。「次はこの席で一緒に歌おうな! みんなに会いたいよ!」(北川)と呼びかける姿も強く心に残った。

ゆず 撮影=太田好治
ゆず 撮影=太田好治

鋭利なメッセージとロックテイストの旋律が響き合う「傍観者」(アルバム『ゆずえん』収録/99年)からライブは後半へ。岩沢が紡ぎ出す美しいアルペジオと朗らかな旋律を軸にした「気になる木」(アルバム『トビラ』収録/2000年)、3拍子のリズム、ブルースとフォークが溶け合うメロディが印象的な「ジャニス」(シングル「心のままに/くず星」収録/1999年)。「季節はもうすっかり秋だけど、この曲を!」という北川の声に導かれたのは、オンラインライブ5daysの唯一の共通曲「夏色」(1998年)。この曲でもAR技術を活かした演出が施され、観覧車や木の映像、ゆずのイラストがビュンビュン飛び交う仕掛けも。さらに24人のオーディエンスが“ピグ”(アバターコミュニケーションサービス「ピグパ」で使用されるアバター)が登場し、ゆずと一緒に盛り上がるシーンでは、オンラインならではのバーチャルな一体感を味わうことができた。

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「僕らが言うまでもなく、みんなも大変な思いをしてきたと思います。でもきっと、俺たちは、みんなは、超えていくことができる」(北川)というMCとともに披露されたのは、「ユーモラス」(アルバム『ユズモア』収録/2002年)。ユーモアを忘れず、困難を笑い飛ばしながら進んでいこうというメッセージは、全てのリスナーに強い感動を与えたはずだ。アーティスト・村上隆氏による「お花」のアートが画面全体に広がる演出も素晴らしい。

ゆず 撮影=太田好治

岩沢がハーモニカで「蛍の光」を奏でるなか、北川がゆっくりとオーディエンスに語り掛ける。「初めてのことばっかりで、どんな感じなのかな?と思ってたけど、みんなに喜んでもらえるはずだと信じながらやってました。この場所には形がないけど、みんながそばで見てくれてるような気がしていたし、すごく盛り上がることができました。来週会えるのを楽しみにしています!」。ライブの最後は、新曲「公私混同」(日本テレビ系ドラマ『親バカ青春白書』主題歌)。<ピンチをチャンスに履き違えて今日も行く/これでいいのだ>という歌詞が画面に映し出され、“最新型のゆず”を強烈に印象付けた。

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2度目の公演は10月4日に行われる「DAY2:思春期」。会場、楽曲、演出を含め、この先のステージにも大いに期待したい。

取材・文=森朋之 撮影=太田好治

ゆず 撮影=太田好治

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