ボカロP・はるまきごはんさんの新プロジェクト始動! “ドッペルゲンガー”がテーマの長編オリジナルアニメ『お姉ちゃんごっこ』第一話「電話編」を考察します!
2026年1月末、ボカロPやアニメーターとして活動するはるまきごはんさんの新プロジェクトがスタートしました。その名も『お姉ちゃんごっこ』。同氏の初めてとなる長編オリジナルアニメと、関連するボカロ楽曲で構成されます。
映像を手がけるのは、はるまきごはんさんを中心に有名ボカロPも複数所属する制作スタジオ「スタジオごはん」。
本記事では、はるまきごはんさんやスタジオごはんの紹介から『お姉ちゃんごっこ』の見どころまで詳しく解説します。極力ネタバレを避けながら伏線考察も行っているので、作品を見た人はもちろんまだ見ていない人も、ぜひ最後までご覧ください。
はるまきごはん、「スタジオごはん」とは?
はるまきごはんさんは、2014年2月に「WhiteNoise」でデビューしたボカロPです。楽曲だけでなく、ミュージックビデオやグッズなどをすべて自分で手がけているマルチなクリエイター。ストーリー性のある楽曲が持ち味で、一曲一曲にキャラクターが設定されている点も特徴です。
そんなはるまきごはんさんが、2019年6月に立ち上げたのがスタジオごはん。はるまきごはんさんが自らディレクターやメインアニメーターを務め、アニメーション作品を制作しています。
これまでに、はるまきごはんさんのミュージックビデオのほか『進撃の巨人』特別企画アニメーションやNikonのブランドムービーなども公開されました。
スタジオごはんには『きゅうくらりん』『1000年生きてる』で知られるいよわさんや、『ヨミクダリの灯』などを手掛けるシャノンさんなども参加しています。
アニメーション制作ユニットであり、名だたるボカロPが集まったクリエイター集団でもあるのですね。
オリジナルアニメ『お姉ちゃんごっこ』とは
『お姉ちゃんごっこ』は、はるまきごはんさんが初めて手掛けた長編アニメーションです。約25分のアニメ3本と、関連する楽曲群で構成されます。
2026年1月にスタートし、すでにアニメの第一話と楽曲『ドッペルゲンガー』が公開済み。約1年をかけて完結に向かうということで、これからが楽しみなコンテンツです。
・公式サイト
・アニメ配信:YouTube・niconico・bilibili
<次ページ:『お姉ちゃんごっこ』あらすじや声優情報を紹介!>
『お姉ちゃんごっこ』あらすじ
作品の舞台は、未来の日本。首都は「東京コロニー」と呼ばれ、アンドロイドが浸透しています。一方で、東海地方の「鏡見村」は “いい子にしていないと、そっくりさんがやってくる” という古い言い伝えが残る、時代に取り残された山村。
物語は、村に住む中学生の日暮 紅(ひぐれ あかね)が、入院していた姉・翠(すい)と再会するところから始まります。
急いで学校から帰ると、家には心待ちにしていたお姉ちゃんの姿が。お姉ちゃんの手料理を食べたり、二人でお出かけをしたりと日常を取り戻していきますが、ある夜、一本の電話がかかってきます。
「私、退院してからまだ、おうちに帰っていない──その家にいるのは、お姉ちゃんじゃない」
声優にも注目! 主な登場人物を紹介
翠(すい)
『お姉ちゃんごっこ』の主人公は、鏡見村に住む日暮姉妹。日暮家は村の中心的な血筋だそうで、姉の翠(すい)は年に1度の秋祭りで「もみじ焼きの巫女」を務めています。なんでもできる才能と柔和な性格で村の有名人ですが、持病があり1年ほど入院をしていました。
そんな翠の声優を務めるのは、バーチャルダークシンガーのヰ世界情緒さん。これまでに、はるまきごはんさんのワンマンライブでもナレーションを担当していました。
紅(あかね)
妹の紅(あかね)は、お姉ちゃんが大好きな中学生。普段はまじめなしっかり者ですが、翠に甘えたり飼っているメダカに話しかけたりと幼い一面も。翠に憧れながらも、その才能に嫉妬や劣等感を抱いています。
紅役には宮崎恵里花さんが抜擢されました。アニメーションの声優は今回が初めてということで、その演技にも期待が高まります。
<次ページ:『お姉ちゃんごっこ』の見どころは?>
『お姉ちゃんごっこ』の見どころは?
すでにアニメ第一話が公開されている『お姉ちゃんごっこ』。早速、第一話を視聴した筆者が見どころをお伝えします。
可愛い絵で描かれるオカルトホラー
はるまきごはんさんといえば、どこか終末的な雰囲気の漂う楽曲と、可愛らしい絵柄のミュージックビデオが印象的。
『お姉ちゃんごっこ』でも、作画はそのまま「そっくりさん(ドッペルゲンガー)」をテーマとしたストーリーが展開されます。オカルトなテーマも相まって、不穏さは増し増し。はるまきごはんさんの世界観が好きな人や、オカルトが好きな人には特におすすめです。
ちなみに筆者はホラーが得意ではないのですが、絵柄が可愛く、ジャンプスケア(突然大きな音や怖い映像が飛び出す“ビックリ演出”)等もないので安心して見ることができました。不気味さが漂うシリアスなシーンは、緊迫感にあふれていて目が離せません。
アニメとリンクする楽曲
アニメと合わせてぜひチェックしたいのが関連楽曲です。2026年2月現在は『ドッペルゲンガー』が公開されています。
まるでアニメのOPのようなクオリティで、ストーリーと結びつきそうな歌詞やシーンも満載。アニメと楽曲の両方を見ることで、解釈が変わりそうです。
たとえば、アニメ本編の「その家にいるのは、お姉ちゃんじゃない」という台詞。これだけを聞くと、不気味な化け物が家に紛れ込んでいる印象を受けます。
一方で『ドッペルゲンガー』には、こんな歌詞が。
記憶だけじゃ君の手を取れない 私、人間じゃないから
(中略)
君の手が今触れた時 私は化け物になった
この歌詞を見ると「そっくりさん」側にも何か事情があるのかも? 「君(おそらく紅)」は何者? と考えさせられます。楽曲を聴くことでアニメの世界観がさらに掘り下げられて、考察もはかどります。
次回以降にかかってくる謎を考察!
『お姉ちゃんごっこ』には、様々な伏線が張りめぐらされていることが予想されます。第二話・第三話にかかってきそうな謎を考察してみました。
「そっくりさん」の伝承と秋祭り
翠と紅が暮らす鏡見村には、「そっくりさん」の伝承があります。その言い伝えは、次のようなものです。
昔、鏡見の山に赤鬼と青鬼が住んでいた。彼らはとてもいい鬼で、里の人間とも親しかったが、町の一行が青鬼のいない間に赤鬼を退治してしまった。
一行の腕利きが青鬼も倒そうと、赤鬼の皮をかぶって山門の鳥居をくぐるが「青鬼はどこにもいない」と戻ってくる。彼の正体は腕利きの皮をかぶった青鬼で、夜中に寝ている一行を手にかけた。
鏡見村ではこの伝承とともに「悪い子は青鬼様の祟りで、そっくりさんに入れ替わられてしまう」と伝えられています。
そして、大切な兄弟をなくした青鬼様の怒りを鎮めるために開かれるのが秋祭り。祭りで行われる「もみじ焼き」は、青鬼様に赤鬼様を返す儀式です。
村の中心的な血筋であり、もみじ焼きの巫女をしている翠は、伝承と深い関わりがありそうです。「その家にいるのは、お姉ちゃんじゃない」という言葉が本当だとすれば、いったいなぜ入れ替わりが起こってしまったのでしょうか?
言い伝えの通り「悪い子」だったから? それとも、何か目的があって意図的に入れ替わったのでしょうか。
また、伝承からそっくりさんは “見た目が同じで中身は別物” であることが推測できます。翠ではなく、ほかの誰かのそっくりさんである可能性はないでしょうか? その正体や今後の行動なども、伝承を紐解くことで明らかになりそうです。
東京コロニーと送電施設
物語の舞台設定も注目したいポイント。鏡見村とは対照的な首都「東京コロニー」は、アンドロイドをはじめ様々な技術が発達している様子が描写されています。
第一話では、そっくりさんについて調べるため、オカルト研究会の鞠(まり)という女性が首都から村を訪ねています。さらに翠は紅に対し「鏡見村から離れて首都へ行きなさい」と伝えています。古い伝承が残る前時代的な鏡見村と、未来都市である東京。対照的なふたつの舞台にも、何か意味合いが隠されているかもしれません。
また、鏡見村と東京コロニーをつなぐのが、村にある超大型水力発電所。村には首都へ高電圧送電をするための鉄塔が立っています。
翠から紅へ「その家にいるのは、お姉ちゃんじゃない」という電話があったのは、夜10時ごろ。高電圧送電の時間と合致します。別の日も、翠は紅と会うために高電圧送電が行われる夜8時、鉄塔を待ち合わせに指定しています。紅と会って話をした翠は、雷のような送電の光とともに姿を消してしまいました。
このことから、翠と高電圧送電、または鉄塔に関係性や法則性があると予想できます。そっくりさんの出現時間にも関係するのかもしれません。
『お姉ちゃんごっこ』の今後に期待大!
ボカロP、はるまきごはんさんの新規プロジェクト『お姉ちゃんごっこ』は、謎が多く考察しがいのあるストーリーが魅力です。アニメにも楽曲にも伏線が散りばめられており、今後の期待が膨らみます。
スタジオごはんの手がけるアニメーションも、作画がきれいで映像作品として見ごたえ抜群。はるまきごはんさんのミュージックビデオの世界が広がったような感覚で、つい引き込まれてしまうでしょう。物語は始まったばかりなので、考察をしながらリアルタイムで追いかけてみてはいかがでしょうか。
【文:藤真唯】