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店主が“その日の分だけ”時間をかけて丁寧に仕込みをしている「焼鳥屋」《福岡市・荒戸》

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この焼鳥屋は大濠公園の近くで、明治通りから1本入った路地に佇んでいる。

「ようやく来れたよ。2回も予約を断られたけんね。」
「いやいや、たまたまタイミングが合わなかっただけですよ。」
そこには全身真っ黒に日焼けした店主の毛利英祐さんがニコニコしていた。

毛利さんは福岡県の出身で、ホテル専門学校を卒業後、ホテルオークラ東京や福岡の焼鳥屋などを経て、2006年に「やきとり 鳥すけ」をオープンした。当時、東京では豚バラを出す店がなかったので、福岡に戻って豚バラを出す焼鳥屋をやりたかったらしい。

「ん? だったら東京で豚バラを出す焼鳥屋をやればよかったやん。」
「どうしても福岡に戻ってきたかったんです。」
と毛利さん。趣味がサーフィンということもあり、海が近い福岡に戻ってきたかったのかもしれない。今でも夏は宮崎の日向海岸に、秋と冬は糸島の方に毎週行っているとのこと。

毛利さんは「鶏は鮮度が命」という信条なので、冷凍ものや前日に仕込んだものは一切使わず、毛利さん自身がその日に提供する分だけを時間をかけて1本1本丁寧に仕込んでいる。野菜巻は事前に仕込んでおくと水気が出てくるので、オーダーが入ってから巻くというこだわりようだ。
ブランド鶏は使っていないが、自分で仕込みをしているからこそ、良い鶏肉かどうかがわかるらしく、仕入れる際にちゃんと確認しているとのこと。

焼鳥の提供も、お客の食べるスピードを見ながらしてくれるので、常に温かいものが食べられるのは嬉しい。
鮮度抜群の焼鳥と行き届いたサービスで、オープン直後から美味いと評判になり、2008年には隣りの場所も借りて規模を拡張するほどになった。
その後、しばらくは順調だったが、2018年に2番手の職人が辞めるタイミングで店の規模を縮小することになった。ちょうどコロナ禍前だったので、縮小したタイミングも良かったようだ。

毛利さんとは、この店ができてからすぐに知り合ったので、かれこれ17年くらいの付き合いになる。当時私は大濠公園の近くに住んでいたので、マンションの理事会後に大人数で行ったり、1人でふらっと寄ったりしていた。

メニュー右上にある「おすすめ」部分がほんとにオススメで、「地鶏のたたき」(780円)は表面を焼いてから氷水で締めたりせず、すぐに切って提供されるので温かい! 大根おろしや大葉、ミョウガなどの薬味や柚子胡椒と一緒に食べると最高だ。

また、数種類の香味野菜で長時間煮込まれた「特製豚足」(390円)はクセがなく、外側がカリっと焼かれていて、酢醤油にぴったり合う。

そして、新鮮な「砂ずり刺身」(650円)は、鮮やかなワイン色でコリコリ食感がたまらない。

もちろんここの真骨頂である「エノキ巻」(200円)や「オクラ巻」(200円)などこだわりの野菜巻きも外せない。

個人的にはタレの「鳥かわ」(130円)をカリカリに焼いてもらい、からしで食べるのが好き。ここの「鳥かわ」は、グルグルに巻かれたいわゆる「博多とりかわ」ではないが、カリカリ具合いが半端なくてうまいのだ。

他にも「豚バラ」(150円)は歯ごたえが良いし、新鮮な「肝」(150円)は濃厚で、タレが美味い。

機会があれば是非、店内に流れる歌謡曲のBGMを聴きながら、こだわりの焼鳥を食べていただきたい。ちなみに時間が経ったら美味しくなくなるという理由からテイクアウトはやっていない。
これからもこの場所で、頑固おやじがやっている、お手頃価格で食べられる渋い店を目指してほしい。

やきとり 鳥すけ
福岡市中央区荒戸1-2-6
092-725-7176

デビ高橋
福岡グルメや福岡ランチを紹介しているブログ「デビログ」を運営。「お肉博士1級」の資格も持ち、グルメ関連のキュレーター・講師・審査員を務めたり、福岡のテレビ・ラジオで活躍中。著書は「15年間毎日外食して、1万軒を食べ歩いた『デビログ』が見つけた福岡グルメの答え全100店」(KADOKAWA)。インスタID:devi_takahashi

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