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韓国の歌姫、IUの所属事務所が電撃廃止を決めた「暗行御史」制度とは

Danmee

IU ©Danmee

IU(アイユー)の所属事務所が、議論となった「暗行御史」制度の事実上廃止を報告した。

4月9日、IUの所属事務所EDAMエンターテインメントは「IUのワールドツアーソウル公演のチケット販売に関連して、過度な認証手続きにより被害を受けたファンの方々へお詫びを申し上げる」と伝えた。

続けて「一連の事案により失望感を抱いているだろうアーティスト本人にもお詫びする」と、IUにも謝罪の意を伝えた。

最後に「当社は、チケットの不正取引関連方針における、・通報者へ報奨金支給 ・金銭を見返りとしないチケットの譲渡を不正行為と見なさないとする」と、方針改正を報告した。

ファンと韓国メディアは、この方針改正をめぐって「所属事務所が“暗行御史”制度を廃止した」と歓迎ムード。一方、不正取引に対する取り締まりが緩くなる事に対する懸念の声も寄せられている。

発端となったのは、IUのファンA氏がネット上で「友たちに振込してもらった事が不正取引と見なされ、コンサート入場禁止に加え、ファンクラブ永久除名を食らった。チケット販売サイトの要求に対して懸命に認証もしたのにこんな結果となった」と、被害を訴えた書き込みの拡散だった。

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では「暗行御史」とは一体何なのか?

暗行御史とは、朝鮮王朝(1392-1897)において地方官の監察を秘密裏に行った国王直属の官吏。日本でいう水戸黄門のような役割である。

韓国では、政府機関などの共益的な非公開監察活動に“暗行御史〇〇”と名付ける事が多い。

近年韓国では、高価の闇チケット問題が相次ぎ、改善に向けて芸能事務所やチケット販売元が積極的に取り組んでいる。

その一環として、SNSやオンラインコミュニティーなどの書き込みを非公開でモニタリングして、不正取引への取り締まりを強化しているという。その手法が、朝鮮王朝の“暗行御史”に似ている事にちなんで名づけられたようだ。

主に上述した、通報者へ報奨金支給や金銭を見返りとする取引の摘発などが骨子であるが、今回EDAMエンターテインメント側がこれらの廃止を決めたのである。

約7万人収容の蚕室オリンピックメインスタジアムで、女性アーティストとして唯一単独コンサートを開くなど、本国で圧倒的なチケットパワーを見せ、名実ともに“韓国最高の歌姫”と称されるIU。今回の決定に彼女の意向が反映されたのかは不明だ。

(ライター/編集長コラム)

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