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発達障害、小学校に入学して判明…4つの障害と相談ステップを医師がわかりやすく説明

コクリコ

発達障害、小学校に入学して判明…4つの障害と相談ステップを医師がわかりやすく説明

発達障害の可能性は約11人に1人…小学校入学後に表面化する特性とは? 診断のメリット・学校への相談手順など、親がわが子の「困りごと」を正しく理解し向き合うためのポイントを解説

【画像を見る➡】境界知能に該当する人は日本人口の約14%と推測されている

授業中に動き回る、テストの答えがわかっているのに書けない、体育の授業で転んでばかりいる、同級生とのトラブルが絶えない……小学校に通いはじめて、そんな「困りごと」が強く出てくる子どもたちがいます。子どもたちの「できない」や「難しい」の裏には、発達の特性が潜んでいることも。

学校での困りごとをきっかけに専門の医療機関を受診して、「発達障害」と診断される子どもたちは、増えつつあると言われています。

11人に1人が発達障害の可能性

文部科学省の全国調査(2022年※)では、小中学校の通常学級に通う子どもたちの約8.8%(約11人に1人)に、発達障害の可能性が報道されました。これは35人学級のうち約3人という割合で、少なくはありません。

(※文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」〔2022年12月13日〕、P4)

学校に上がってから発達障害と診断される子どもが多くいる、それはなぜでしょう?

発達障害を研究し、多くの論文や著書を持つ小児精神科医・古荘純一先生(日本発達障害連盟理事)は、こう説明します。

「発達障害には早い時期から症状が目立ちやすいものと、学年が上がるまで目立たないものがあります。表れ方が一人一人で違う上に、いくつかの障害が重なることも。症状が出ていても診断を確定できず、時間をかけてみていかねばならない障害なのです」

小学校に通い始めてから表面化する発達障害には、どんなものがあるのでしょう。子どもの学校生活で困りごとが大きくなったら、保護者はどう受け止めて、なにをすればよいのでしょうか。

発達障害研究の第一人者である古荘先生から、発達障害から起こる困りごとの特徴や、それが子どもに表れたとき、保護者が取るべきアクションを教わります。

発達障害 「困りごと」の背景にある脳の特性

写真:アフロ

「発達障害」という言葉は、今や広く知られるようになりました。ですが、その特性や中身まで正しく知っているか、と聞かれたらどうでしょう? まずは保護者として知っておきたい、発達障害のポイントをおさえましょう。

子どもたちは成長とともに、さまざまな能力を身につけていきます。話を聞いたり作業をしたりするのに必要な集中力や注意力、読み書きや計算ができるようになる学習力、体を思うように使いこなす運動能力、他人とスムーズにやりとりできるコミュニケーション能力。どの能力も、社会で日常生活を送るのに役立つものです。

ですが中には、生まれつきの脳の特徴によって、それらの能力に凸凹があったり、発達のスピードがゆっくりだったりする人たちがいます。その凸凹が大きかったり、発達スピードが遅いと、学校生活や習い事、友人関係で困りごとが強く出てくる──それが「発達障害」です。

代表的な4つの発達障害の診断名

発達障害は1つの診断名ではありません。代表的な4つの診断があります。

発達障害の子どもたちの特徴は、日常的な行動に出てきます。

■ADHD(注意欠如・多動症)
人の話をすぐ遮ったり、突然高いところによじ登ったり、並んでいる列から飛び出したりする。これらの行動は衝動的で注意力が散漫なADHDの子どもに多く見られ、同年齢の子に比べて幼さが感じられます。

■DCD(発達性協調運動障害)
DCDの子どもは、箸やハサミがうまく使えなかったり、まっすぐ走れなかったり、生活に支障が出るほどの不器用さが目立ちます。

■LD(学習障害)
話すことは普通にできるのに、読み書きや計算など、特定の勉強がとても苦手。これはLDの子どもに表れるサインです。

■ASD(自閉スペクトラム症)
着る服や学校までの道順などに「それ以外ではダメ」という強いこだわりがある、言葉の発達に偏りがあるなどは、ASDの子どもの特徴的な行動です。また受け答えなど「人とのやりとり」が独特のため、お友達ができにくい傾向もあります。

症状が目立つ年齢、特性ごとに違う

これらの4つの疾患は、表れやすい年齢が違うと、古荘先生は説明します。

「ADHDの多動や不注意、ASDの友人関係がうまく行かないなどの特徴は、早いうちから目立ちやすいもの。一方、LDの学習困難やDCDの協調運動の不器用さは『家族との日常生活』では目立ちにくく、『学校生活』での学年が上がるにつれて、困る場面が増えていくものです」

現代では発達障害の認知度が上がり、このような子どもの行動の特徴をきっかけに、発達検査を勧められる機会が増えています。

ですが、行動の特徴だけをチェックしての診断はできないと、古荘先生は注意を促します。なぜでしょうか。

「発達障害は、症状の見極めが難しい。まず、子どもたちの困りごとが生活習慣(寝不足など)から来ていて、発達障害ではないケースがあります。生活面の問題がなく特徴的な症状が出ている場合でも、その表れ方は一人一人違う。いくつかの発達障害が組み合わさっていることや、不安症や境界知能、軽度の知的障害など、別の要因と重なっていることも多いのです」 (古荘先生)

その難しさの中で障害を見極めるポイントは、「子どもがなにで一番困っているか」と「その困りごとがどんな環境や状況でも、持続して起こっているか」。

その上で、生活習慣や別の疾患の可能性にも対応して、検査を進めていきます。このため専門の医師でも半年、1年と経過を見ないと、診断を確定するのが難しいと言われます。

診察予約に奔走…親子で向き合う「長期戦」

そして保護者にとっても、発達障害の子どもの「経過を見続ける」ことは、簡単ではありません。

我が子が困る姿に日々心を痛めながら、小児科や児童精神科を探し、なかなか取れない診察予約に奔走する。やっと取れた予約に合わせて、子どもの学校や習い事の予定を調整する……。

保護者が共働きの場合は、付き添いのために繰り返し、仕事を休まねばならないことも。

発達障害は、診察の段階から長期戦になりかねないもの。それでも専門の医師から症状の見立てや診断について説明を聞くのは、親子にとって大切なことと、古荘先生は言います。

診断の壁を越えて…親子が「救われる」理由

確定の診断に至るまで、時間やお金がかかる。それでも診断を受けることで、子どもにはどんな良い面があるのでしょうか。

写真:takasu/イメージマート

「特性を踏まえた上で、困りごとへの対応に選択肢を増やすことができます。学校での合理的配慮や投薬によって、特性が目立たなくなる。すると、子どもの自己肯定感が下がる場面が減りますし、それまで困りごとで消耗していた力を残せるようになります」(古荘先生)

発達障害の子どもたちは、絶え間なく起こる困りごとで疲れている……診断から対応策を取ることで、その疲れが緩和される効果が期待できます。

そして子どもが診断を受けると、保護者の心理面にも影響が。

「子どもの行動が脳の特性によるもので、『自分の育て方の問題ではなかった』と、不安が減る方がいます」(古荘先生)

仕事、お金、心理的負担…診断を阻む壁

それでも中には、子どもに発達障害の診断を受けることに、前向きになれない保護者もいます。古荘先生自身も、そんな親たちの複雑な思いを現場で見てきました。

「まず、診察の予約が取りにくい。発達障害の検査や療育は自費診療となり、保険が利かないケースも多く、金銭的な負担もあります。そして一度診断を受けると、通院や療育で子どもの自由が奪われるように感じてしまう親御さんもいます。『ウチは結構です』とも断れないので、心理的な負担を抱えている方がいるのは事実です」(古荘先生)

子どもが小学生のうちは通院や療育にも保護者の付き添いがいるので、保護者のやるべきタスクが増える負担感もあります。

共働き世帯の場合は、子どもの発達障害の診断とその後の対応(通院や療育、学校との面談など)が、保護者の働き方にも影響するのが現実です。

子どものケアを継続していくには、父母のどちらかに負担を偏らせず、仕事と両立させる調整が必要になります。

「うちの子、もしかして?」と思ったらすべきこと

では実際、子どもの行動や学校での困りごとから「うちの子は発達障害かもしれない」と感じたら、親はなにをすべきでしょうか。

一人で抱えない!「生活の場」での相談が大切

古荘先生はまず「子どもの状況を把握すること」を勧めます。

「子どもが何に一番困っているか、その困りごとがどのような場面で起こっているか、どんな場面でも持続しているか。それを把握することが第一歩です」(古荘先生)

わが子のちょっとした違和感を「たまたまかな?」と流してしまわず、まずは大人がしっかりと意識を向ける。「子どもの状況を把握」し、心に留めておく(記憶しておく)ことが、次のステップへ繋がります。

特定の困りごとが持続しているとわかったら、次にするべきは、一人で抱え込まないこと。言葉にして人に話すことです。相談する先は、「子どもの生活する場」から考えます。

「通っている小学校や習い事の先生など、普段からその子と接している人に話してみましょう。親子として相談していく姿勢が大切です」 (古荘先生)

相談先も1人ではなく、2~3人に増やしていくと、「自分たちだけで困っているのではない」と感じられ、心理的な負担を軽減できます。そして相談はできるだけ、「この人なら客観的な意見をもらえる」と信頼できる、複数の人にしてほしいと、古荘先生は言います。

信頼できる相談先と、受診への進め方

「発達障害の症状の見え方は、見る人の主観に左右されやすい。学校の先生であっても『おおらかに見るか』『厳しめに見るか』で、その子の困りごとの程度の認識が違ってきます」 (古荘先生)

信頼できる人の意見を参考に、子どもの状況が明らかになったら、医療機関や地域の保健・福祉施設で診察を受けるステップに進みます。

診察の予約はなかなか取れないこともありますが、焦らず、一つずつ当たっていけば、診察は受けられます。

発達障害の診断がつき、投薬や療育などの対応が始まると、多くの場合、困りごとは軽減します。親子ともに一安心……ですが、時には、別の困りごとが続いて起こることも。

「発達障害の二次障害」と呼ばれるもので、深刻な場合には、不眠や抑うつ症状、不登校にもつながってしまいます。

この「二次障害」とは、どんなものでしょう? 予防のためのポイントや、起きてしまったときに取るべき対応は? 引き続き、古荘先生に伺います。

取材・文/髙崎順子

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