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森美術館が凄いことになっている!現代アートの21組が交差する「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」 

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森美術館が凄いことになっている!現代アートの21組が交差する「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」 

「六本木クロッシング」は、森美術館が3年に一度、日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として開催され、共同キュレーション形式で開催してきたシリーズ展として8回目となる。森美術館のキュレーターに加え、毎回国際的に活躍するアジアのゲストキュレーターを迎え、多様な視点、外からの視点も重視しているのが特徴だ。本展では、インドネシア出身で、現在山口情報芸術センター[YCAM]キュレーターの、レオナルド・バルトロメウス、韓国出身で現在シンガポール美術館シニア・キュレーターのキム・ヘジュが加わった。

 
 本展の副題となっている「時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」は、インドネシアを代表する現代詩人、サパルディ・ジョコ・ダモノの詩の一節からの引用である。この詩は、「時間」の貴さを伝えながら、その時間に囚われることで、「生きる」ことの本質を見失ってしまう危うさを語っている。

 「圧倒的なスピードと効率が求められる現代、じっくり考える時間が失われつつある。アートを鑑賞することで、豊かな時間を取り戻してもらいたい。さらに、世界を見渡せば様々な問題が起き、社会は分断化が進んでいる。そうした中で、共感を見出すことが難しくなっているが、アートは他者との共感や対話を見い出すきっかけになる」と森美術館キュレーターの徳山拓一は、本展の「時間」というテーマについて語る。

 
 出展者は、国籍を問わず日本で活動する、もしくは日本にルーツがあり海外で活動する21組のアーティストである。その作品は、絵画、彫刻、映像はもとより、工芸、手芸、ZINE(ジン)、さらにはコミュニティプロジェクトなど多岐にわたる。ダイナミックなものから繊細な刺繍や編み物の作品、カラフルな大型陶芸作品やモニュメントなど、足を進め次のコーナーに入ると、まったく予期せぬ世界が拡がる面白さがある。

 
 たとえば、A.A.Murakamiの没入型インスタレーションは、暗室の中につくられた装置からシャボン玉が湧いてくるのだが、弾むシャボン玉を追っていると時間の経過をつい忘れて見入ってしまう。 A.A.Murakamiは、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで建築を学んだ村上あずさと、アートを専攻していたアレクサンダー・グローブスのアーティストデュオで、ロンドンと東京を拠点にしている。

▲A.A Murakami 《ニュー・スプリング》 2017年 アルミニウム、ロボティクス、泡、霧、香 700x700x700cm 展示風景: 「Studio Swine x COS, New Spring」ミラノサローネ2017

 

 和田礼治郎のブランデーを複層ガラスに封入した立体作品は、窓に広がるビル群の水平線と、ブランデーの上部の線が重なっている。まさに森美術館の53階でなければ、見ることのできない景色に映える計算し尽された作品だ。和田は、果実の発酵と蒸留のプロセスを経た液体を作品に取り込むことで、「生と死」や「時間」といったテーマと向き合ったという。和田は広島生まれでベルリン在住である。

▲和田礼治郎 《MITTAG》2025 年 ガラス、真鍮、ブロンズ、ブランデー フレーム:150×150×46 cm、土台:88.3×77.6×73.7 cm 展示風景:「六本木クロッシング 2025 展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」森美術館(東京)2025-2026 年 制作協力:SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo 撮影:木奥惠三

 

 みた瞬間、仰天したのは戦闘機の形をしたカラフルな凧だった。東京生まれ、現在インドネシア、ジョグジャカルタに住む北澤潤は、日本軍のジャワ侵攻で使用されその後インドネシア軍が独立戦争のために再利用した戦闘機をインドネシアの凧職人たちと蘇らせたのである。戦後80年とはいえ、世界に遺る戦争の傷跡を忘れてはいけない。

北澤 潤 《フラジャイル・ギフト:隼の凧》 2024年 竹、藤、印刷された布、紐 210×3,870×1,090 cm展示風景:「六本木クロッシング 2025 展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」森美術館(東京)2025-2026 年 撮影:編集部

 21組のアーティストがそれぞれが描く世界は独創的で、作品は細部までこだわったアーティスト魂が宿っており、その世界に入るとあっという間に時が過ぎていく。しかし、それだけではない。大切な作品が会場へ搬入され展示に至るまで、多くの人たちの「時」も込められている。

 「六本木クロッシング2025展」は、現代アートのエネルギッシュなパワーをリアルに体感することで、活力が生まれるに違いない。

 

「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」
会期:2025年12月3日(水)~2026年3月29日(日)
会場:森美術館(港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階)
開館時間:10:00~22:00(火曜日のみ17:00まで) 入館は閉館の30分前まで。
*会期中無休 ただし、12月30日(火)は22:00まで
*事前予約制(日時指定券)を導入している。
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
HP:https://www.mori.art.museum/jp/

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