【個性が光る店主列伝vol.8】~苦楽園 日本在来種唐辛子の生産と販売『唯一味』宮崎可奈子さん 西宮市
「聞けば聞くほど会いたくなる、話せば話すほど好きになる」。そんな魅力溢れる店主にスポットを当てた【この人に会いに行きたい~個性が光る店主列伝】。
第8弾は、阪急苦楽園口駅と甲陽園駅の間の住宅街で、日本在来種唐辛子を使用した一味や七味などの販売を手掛ける、『唯一味(ゆいいちみ)』代表の宮崎可奈子さん。
現在、市場に流通する唐辛子のほとんどは外国産。日本在来種は農家が自家採種で繋いできたものが多く、生産に手間がかかるうえに扱いも難しいことから、今では極めて希少な存在となっています。
そんな中、宮崎さんは佐賀県唐津市に暮らすおばあ様が先祖代々100年以上も守り続けた在来種唐辛子の種を受け継ぎました。そのきっかけは何だったのでしょうか。
あたりまえにあったばあちゃんの唐辛子
毎年、九州から大きな瓶にたっぷり詰まって届く“ばあちゃんの唐辛子”。宮崎さんにとってはあたりまえのように日々の食卓に並ぶ“調味料”のひとつでした。
「ばあちゃんの唐辛子はおいしい」と、心の中で感じていながらも、当時はそれがどれほど特別なものかを意識することはなかったと言います。いつもたくさん届くので、知人や友人にも気軽におすそ分けをしていたそうです。
突然の電話、希少な種を受け継ぐ決心
ある日突然「畑をやめる」とかかってきた一本の電話。「ばあちゃんの唐辛子と同じ味はほかでは見つからない。なくなったら困る」と、この時初めて事の重大さに気づきました。
種を受け継ぐと決めてからは、関西と九州・唐津を往復する日々が始まりました。唐津の気候や土壌のこと、農薬や化学肥料を一切使用しない栽培方法。
一緒に作業しながら目で確かめ、時には何気ない会話の中から、これまでばあちゃんが丁寧に積み重ねてきた知恵を学びました。
門外不出の一瓶『唯一味』
ひいじいちゃんからばあちゃんへ、そして宮崎さんへと100年以上の時を超えて、大切に守り続けられてきた伝統の唐辛子。収穫後、その素材の魅力をそのまま活かして最初に作られたのが、一味唐辛子『唯一味』です。
色鮮やかな朱赤の中に華やかな香りとしっかりとした辛みが広がり、それでいて奥深い甘みも感じられます。唐辛子本来の風味が活きた、ひりひりと後を引かないキレの良さも特徴です。
一般的な唐辛子と比べてカプサイシンの含有量が多く、糖度は梨や桃と同等という数値にも驚かされます。
宮崎さんおすすめの食べ方は「お味噌汁」。ばあちゃんが作ってくれた唐辛子入りのお味噌汁は、ひと口飲むとピリッとした辛みで目が覚める、思い出の朝の味なのだそうです。
食卓を彩るアイデア満載の調味料やスイーツ
店内には、一味のほかにもさまざまなアイデアが光る調味料やスイーツ、スナックなどが並んでいます。
訪れた日は、月に数日しか出会えない特別な「焼き菓子販売の日」でした。そこで今回は特別に「唯一味のカヌレ(2種セット)」を試食させていただくことに。
唐辛子を練り込ん生地には米粉を使用することで、もっちりとした食感に。「ショコラ×唯一味」は、濃厚なチョコレートの甘み、その後にほんのりと感じる唐辛子がアクセントとなり、心地よい余韻を残します。
もう一方の「唐津茶×唯七味」は、地元・唐津茶の芳醇な香りと、七味ならではの奥行きのある風味が絶妙なバランスで表現されています。
ワークショップで自分だけの七味作り
宮崎さんが直接レクチャーする、オリジナルの七味を作るワークショップイベントも定期的に開催されています。
内容は、約40種類の素材の中から好みの7種類を選び、世界にひとつだけの七味を調合できるという贅沢なもの。最新情報は公式Instagramでお知らせがあるそうなので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。
場所
唯一味(ゆいいちみ)
(西宮市獅子ヶ口町11-23)
営業時間
11:00~16:00
駐車場
有(※1台)