【ビジネス敬語変換表付き】敬語の種類や間違いやすい表現を紹介
ビジネスで円滑な人間関係を築くには、正しい敬語表現を使うことが大切です。
この記事では、敬語の種類や使う際のポイント、間違いやすい言い回しを詳しく解説します。敬語の変換表や、ビジネスシーンで使える例文も紹介しているので、参考にしてみてください。
敬語の種類
敬語には、 尊敬語・謙譲語・丁寧語・美化語 があります。ここでは、それぞれの特徴や例文を紹介します。
尊敬語
尊敬語は、話し手や書き手が目上の人を敬ったり、相手を立てる気持ちを表現したりする際に使う敬語です。相手が主語になる場合に使います。
例
お客様が いらっしゃいました あちらの絵は ご覧になりましたか ○○さんが指導して くださいました
謙譲語
謙譲語は、自分がへりくだって聞き手側を立てる敬語表現です。自分や身内が主語になる場合に使い、相手へ敬意を表しながら自分の行動・気持ちなどを伝えます。受け手がいない場合は、「参る」「申す」などの謙譲語に分類される丁重語を使います。
例
お持ちいただいた資料を 拝見します 来週の打ち合わせの詳細を 伺って もよろしいでしょうか 社外の人に対する社内の人の呼び方
取引先やお客さんに対しては、社内の人は身内扱いとなるため、謙譲語を使用します。社外の人へ社内の人の名前を伝える際には、自分より立場が上の人でも「部長」や「先生」などの敬称を付けません。「姓」のみで呼ぶか「役職+姓」で「部長の○○」と表現します。
また、社内の人とのやり取りであっても、自分の上司の伝言をその上の役職の人に伝えるときなどは、上の役職の人を立てるため上司へ謙譲語を使うこともあります。
丁寧語
丁寧語は、言い回しを丁寧にして話の聞き手に敬意を示す、対象や関係性を選ばずに使用できる敬語です。文章の語尾に「です」「ます」を付け、自分側の行動や気持ちを伝えます。
例
私は毎朝9時に会社へ出社 します 先ほど紹介いただいた○○で ございます ご質問がありましたら、お気軽にお知らせ ください
美化語
美化語は、主に「名詞」へ接頭辞である「お」や「ご」を付け、言葉を美しく表現する敬語です。相手側の行動・状態に対して使い、基本的に自分や身内へ使うことはありません。カタカナや外来語に「お」や「ご」を付けるのも不適切です。
例
「お荷物」「お体」「お時間」 「ご家族」「ご挨拶」「ご結婚」 「お忙しいところ」「お待ちいただく」 「ご説明します」「ご確認ください」
「お」や「ご」で迷ったら、訓読みは「お」、音読みは「ご」を付けるという基本ルールを参考にしてください。「お」や「ご」を付けると言葉が柔らかな印象になりますが、多用すると聞きづらさを感じる場合もあるため、シンプルに表現することを心掛けましょう。
ビジネスシーンでよく使う敬語の変換表
ビジネスシーンで使う敬語を一覧表にまとめました。状況に合わせてぜひ活用してみてください。
動詞の変換
基本形
尊敬語
謙譲語
丁寧語
する
なさる
される
いたす
させていただく
します
見る
ご覧になる
拝見する
見せていただく
見ます
聞く
お聞きになる
拝聴する
伺う
聞きます
言う
おっしゃる
言われる
申す
申し上げる
言います
読む
お読みになる
拝読する
読みます
食べる
召し上がる
お食べになる
食べられる
いただく
頂戴する
食べます
会う
会われる
お会いになる
お目にかかる
お会いする
会います
行く
いらっしゃる
おいでになる
伺う
参る
行きます
知る
お知りになる
ご存知
存じ上げる
存じる
知っています
受け取る
お受け取りになる
お納めになる
頂戴する
拝受する
いただく
もらいます
受け取ります
与える
くださる
お与えになる
差し上げる
あげます
与えます
座る
お掛けになる
座らせていただく
座ります
待つ
お待ちになる
お待ちくださる
お待ちする
待ちます
思う
お思いになる
思われる
存じる
拝察する
思います
帰る
帰られる
お帰りになる
おいとまする
失礼する
帰ります
いる
いらっしゃる
おいでになる
おる
います
考える
お考えになる
ご高察なさる
拝察する
検討する
考えておる
考えます
買う
お求めになる
お買いになる
ご購入になる
買わせていただく
買います
着る
お召しになる
着られる
ご着用
着させていただく
着ます
伝える
お伝えになる
申し伝える
伝えます
分かる
ご理解いただく
おわかりになる
承知する
かしこまる
わかりました
わかります
確認する
確認される
確認なさる
確認くださる
確認いたす
確認します
来る
いらっしゃる
おいでになる
お見えになる
お越しになる
伺う
参る
来ます
名詞の変換
基本形
尊敬語
謙譲語
自分
相手
あなた
貴殿
○○様
私
当方
名前
お名前
ご芳名
ご尊名
名前
会社
御社
貴社
弊社
銀行
御行
貴行
弊行
学校
御校
貴校
弊校
病院
御院
貴院
弊院
協会
御協会(御会)
貴協会(貴会)
弊協会
組合
御組合
貴組合
弊組合
店
貴店
弊店
新聞
貴紙
弊紙
小紙
雑誌
貴誌
弊誌
小誌
家
御宅
拙宅
意見・考え
お考え
ご意見
ご趣旨
思案
私見
所見
敬語を使う際のポイント
こちらでは、迷った際の敬語の使い分け方法や状況に合わせた表現、ポイントを紹介します。
主語を意識する
尊敬語、謙譲語、丁寧語の使い分けに迷ったら、誰が主語になるのかを整理すると分かりやすくなります。基本的に、尊敬語の主語は相手側、謙譲語の主語は自分や身内側と頭に入れておきましょう。
しかし、正しい表現を使っていても状況や人によっては、不快感を与えてしまうこともあります。相手へなにかを頼む際には、「~をお願いします」「~してください」とストレートに伝えず、「~していただいてもよろしいでしょうか」と相手へ判断をゆだねるような言い方をしたり、「お忙しいところ恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」などの言葉を和らげる クッション言葉 を使ったりすれば、円滑なコミュニケーションが可能になります。
TPOに合わせた使い方をする
敬語は、年齢や立場に関わらず関係性や状況にあわせ、相手への敬意や思いやりの心を持って使うのが大切です。
気持ちや価値観を押し付けないように自分がへりくだる場面もありますが、過剰な謙遜は相手を不快にしてしまう場合もあります。ときには「おすすめのお菓子なので、よろしければ召し上がってみてください」など、率直な気持ちを伝えながら、相手への配慮を示すのも良いかもしれません。
ビジネスでよくある間違い4選
目上の人や取引先の人に配慮しているつもりでも、誤った言葉遣いをしてしまうと失礼になる場合もあります。ここで紹介する間違いやすい表現に気を付けて、敬語を正しく使えるようになりましょう。
同じ種類の敬語を重ねた「二重敬語」
二重敬語は、尊敬語と尊敬語、謙譲語と謙譲語を組み合わせた誤った表現です。
「お」と「召し上がる」の尊敬語を組み合わせた「お召し上がりになる」、「伺う」と「いたす」の謙譲語を組み合わせた「お伺いいたす」などの定着している言葉もありますが、基本的には間違いだということを知っておきましょう。
尊敬語の例
誤「お帰りになられる」
正「お帰りになる」
謙譲語の例
誤「拝見させていただきます」
正「拝見いたします」
尊敬語の例の「お帰りになられる」は「お帰り」に「られる」を付けた二重敬語、謙譲語の例の「拝見させていただきます」は「拝見」に「いただく」を付けた二重敬語で、どちらも誤った表現です。
また、「社長様」「会長様」など、役職に「様」を付ける表現も誤りのため、注意が必要です。
尊敬語、謙譲語の混同
敬語を使う対象をしっかりと理解しなければ、尊敬語、謙譲語を混同してしまう場合もあります。以下で、間違いやすい例を紹介します。
尊敬語の例
誤「私のご意見を発表します」
正「私の意見を発表いたします」
謙譲語の例
誤「受付で伺ってください」
正「受付でお尋ねください」
「私のご意見を発表します」は、「意見」に「ご」を付けることで「私」を立てており適切ではありません。「受付で伺ってください」は、相手側が主語にもかかわらず謙譲語の「伺う」を使っているため誤りです。
バイト敬語
バイト敬語とは、接客業で使われる独特な言い回しを指します。ファミリーレストランやコンビニエンスストアでよく使われるため「ファミコン敬語」とも呼ばれています。バイト敬語は誤った表現なので、使用しないようにしましょう。
バイト敬語
正しい敬語
店内でお召し上がりですか
店内で召し上がりますか
お名前を頂戴してもよろしいですか
お名前を伺ってもよろしいですか
○○様でございますね
○○様でいらっしゃいますね
お座りになって少々お待ちください
お掛けになって少々お待ちください
コーヒーと紅茶のどちらにいたしますか
コーヒーと紅茶のどちらになさいますか
ご注文のほうは以上でよろしいしょうか
ご注文は以上でよろしいでしょうか
温めてよろしかったでしょうか
温めてよろしいでしょうか
了解しました
かしこまりました
承知しました
オムライスになります
オムライスでございます
ご注文の品はお揃いになりましたか
ご注文の品は以上でよろしいでしょうか
5000円からお預かりします
5000円お預かりします
1500円ちょうどお預かりします
1500円ちょうど頂戴いたします
とんでもございません
とんでもないことでございます
なるほどですね
さようでございます
おっしゃるとおりです
すみません
申し訳ございません
申し訳ありません
失礼しました
わかりません
確認いたします
バイトでの敬語は以下の記事で詳しく解説しています。
バイトで正しい敬語を使えている?敬語の基本とよくある間違いを解説
使い方に注意が必要な「~させていただく」
「~させていただく」という表現は、自分が行うことに対して以下の2つの条件を満たす場合に使います。
相手側に承認を得ている 恩恵を受けた事実や気持ちがある
例えば「学校を卒業させていただきました」「本日は休業させていただきます」などの言い回しは、自分の選択による行動なので、相手から承認を得る必要がないため適していません。「学校を卒業しました」「本日は休業します」とシンプルに言い換えると良いでしょう。
まとめ
ビジネスシーンでは社内外の人と信頼関係を築くため、適切な敬語を使う必要があります。しかし、使い慣れない言葉や普段と異なる状況の場合、不安を感じる人もいるかもしれません。
今回の記事で紹介した敬語の種類、ビジネスでよく使う敬語の変換表、敬語を使うポイント、間違いやすい言い回しを参考にしながら、正しい言葉遣いを意識してみてください。
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