船橋の民話「雪どけ塚の白ヘビ」がアニメ化【船橋市】
2023年度「海ノ民話のまちプロジェクト」で、船橋の民話「雪どけ塚の白ヘビ」が選出されました(千葉県では南房総市に次いで2例目)。
アニメ化され、今年2月14日からYouTube で一般公開されています。
「雪どけ塚の白ヘビ」はなぜ選ばれたのか
「海ノ民話のまちプロジェクト」は、日本中に残されている海にまつわる「民話」「伝承」を選定し、「海ノ民話アニメーション」として子どもたちに伝え、語り継ぐプロジェクト。
一般社団法人「日本昔ばなし協会」と日本財団「海と日本プロジェクト」が2018年から推進し、22年度までに40自治体に伝わる民話42作品がアニメ化、YouTubeで公開されています。
23年度は新たに民話25作品が選出され、船橋の民話「雪どけ塚の白ヘビ」も選出されました。
「海ノ民話のまちプロジェクト」には、5つの選考基準があります。
「先人の豊かな海の学びが包含されているもの(知恵)・海の多様性と好奇心を喚起するもの(想像力)・地域で大切に語り継がれてきたもの(資産)・地域の海の風土・特色を表現しているもの(地域性)・地域の子どもたちに語り継ぐ機運があるか(継承性)」。
「『雪どけ塚の白ヘビ』には、選考基準の全ての要素が詰まっていた」と、選定委員長の沼田心之介さん(アニメーション監督)は話していました。
民話から船橋の歴史を知る
「雪どけ塚の白ヘビ」の内容は以下の通りです。
「夏見城近くの小高い塚(雪どけ塚)の松の木の根元の穴に白ヘビが住んでいた。白ヘビは夜になると松の木を登り、美しく目を光らせていた。その光のおかげで、海で嵐にあった漁師たちは方角を見失うことなく村に戻ることができたという。いつしか『白ヘビ様の光』は、灯台の役割を果たすようになった…」
かつての船橋の海(三番瀬)は、「御菜浦」として徳川家に魚や貝などを献上するほど豊かな漁場でした。
一方で夜の海で方角を見失うなどの海難事故も多く、当時の船橋の漁師たちは、船橋大神宮の灯明台などの灯を頼りに漁に出ていました。
「雪どけ塚の白ヘビ」のアニメ化について船橋市観光協会の伊阿弥さんは、「海の豊かさと自然の脅威、漁師の風習や漁法、港町の風景までよく再現され、船橋の歴史をリスペクトしている」と話しています。
千葉テレビでは「雪どけ塚の白ヘビ」を3月末まで放映。同作品と三番瀬の海苔のコラボ商品も販売されています。
地域の民話を次世代の子どもたちへ
船橋には、「重右衛門話」をはじめ、船橋とゆかりの深い徳川家康や船橋大神宮、天狗や狐にまつわるものなど、古くから伝わる民話が数多くあります。
民話は民衆の生活の中から生まれ、口承されてきた説話。暮らしの中で苦悩や災難を受けた人々が、未来への願いや希望を込めて伝えたとも言われています。
民話の語り手の減少とともに、口承も薄れている現代。
アニメーションを通じて民話を身近に親しむことをきっかけに、子どもたちがまた次世代へと伝えてくれることでしょう。
この機会に、船橋の民話「雪どけ塚の白ヘビ」をYouTubeで楽しんでみては。(取材・執筆/さち)
「雪どけ塚の白ヘビ」の動画はこちらから
問い合わせ 047(402)4321 船橋市観光協会