<非常識な親、おまかせ放置子>ヨロシクって無責任!面倒はいつの間にか私の役目に?【まんが】
私はイズミ。家族は夫と子どもがふたり。子どもは小1のキョウスケともうすぐ3歳になるユカです。ありがたいことに家族仲は良く、4人で楽しく暮らしています。しかし最近私には悩みがひとつ……。
キョウスケもユカも公園遊びが大好きで、私たち親子3人は毎日のように公園で遊んでいます。そこで、ハルカちゃんママから噂の問題児だという「マサヤ」くんのことを教えてもらいました。
近所同士で仲良くしているハルカちゃんママがマサヤくんのお母さんについて、こっそり教えてくれたことがありました。
ハルカちゃんママはしっかり者で、顔が広くて情報通。いろいろなところから聞いた話を教えてくれました。
とはいえ私はそこまでマサヤくんママと関わったこともなかったので、「そうなんだ」と軽く流しました。後に自分がロックオンされるとも知らずに……。
ママ友同士の噂話は肯定も否定もせず受け流すのが、波風を立てない上手な付き合い方だと思っていました。でも、マサヤくんママは本当にクセ者でした……。
しかし、その後も子どもをよく公園に連れて行くため、いつの間にか私がひとりで公園に来ているマサヤくんの面倒をみるようになっていました。ヤンチャなマサヤくんの面倒を見るのは骨が折れるので、できれば引き受けたくないのですが……。
マサヤくんはとてもヤンチャな子で、道の真ん中をふらふらと歩いて車と接触しそうになることなんて日常茶飯事。ゴミ捨て場のゴミを意味もなく蹴り飛ばしてゴミを散乱させたり……。大人が注意をしても、「大丈夫、大丈夫」と言って話を聞こうとしません。
キョウスケがお友だちと公園で遊ぶのは、迷惑なんてこともなく、むしろ嬉しく思っています。そしてお友だちの様子も、たまに見ているぶんにはかまいません。 しかしそれを「これからもお願いします」と押し付けられたり、お友だち自体がヤンチャすぎたりするのは困ってしまいます。わが家はユカがまだ小さいので目を離せませんし、正直なところ、自分の子どもたちだけで手いっぱいなのです。それなのにマサヤくんママからきた連絡は、「これからもうちの子の面倒を見て」。私はどうしたらいいのでしょうか。
ウンザリ!関わりたくないけど、子どもに罪はないし……
マサヤくんママからのLINEに驚いてしまいました。しかし「わかりました」と返事をするわけにもいきません。
マサヤくんのママ、……話が通じない。幼稚園のお迎えがあるって言っても、そんなに何時間もお迎えするわけではないでしょ? 下の子を迎えに行ってきたら、そのまま公園に来ればいいだけの話じゃない……と、私は頭を抱えました。
きっとマサヤくんママは私の常識とは全くかけ離れたところにいる人なのでしょう。仕方なく私は、それ以上連絡するのをやめました。そして次の日公園に行くと、そこにはやはり今日もマサヤくんの姿が……。
マサヤくんママとはこれ以上関わりたくないけど、子どもであるマサヤくんに罪はありません……。私は気持ちを切り替えていつも通り、声を掛けました。
しかし、どんなに「危ないよ」と注意をしても、危険なことをやめようとしません。
結局その日はブランコから飛び降りたときに着地に失敗したり、いきなり遊具まで走り出して他人にぶつかったりしていました。相手には私が平謝りする羽目になり、心のなかでは「なんで私が……」という気持ちでいっぱいでした。
公園でキョウスケとマサヤくんが遊ぶのを見ていた私。しかし私がちょっと目を離した瞬間に、マサヤくんがブランコから落下。また、いきなり遊具に走り出していったかと思ったら、通行人にぶつかってしまいました。ケガを心配したり、謝る羽目になったり、もううんざりです……。 しかしそれをマサヤくんママに報告しても、「うちの子は大きなケガさえしなければ大丈夫でーす」と話のピントが合いません。私はこのままずっと、マサヤくんのお世話をしないといけないのでしょうか。
夫に相談「いちばん平和な方法は……フェードアウト?」
私は最近キョウスケやユカを公園に連れていくたびに、マサヤくんのお世話係をさせられていることを夫のサトシに話しました。
夫は「リスク回避のためにも“もう見れない”ってハッキリ言うべきだよ」と、冷静な口調でアドバイスをしてくれました。でも、キョウスケのクラスメイトなので表面的なトラブルを避けたい気持ちがあります。
マサヤくんママにハッキリこれ以上面倒を見ることができないと断りの連絡を入れることも考えましたが、相手の反応が怖いのです。マサヤくんママに変な噂を流されたり、そのせいでキョウスケが嫌な目に遭ったりしないかと不安でたまりません。
夫からアドバイスを受けて、マサヤくんママに断りの連絡をせず、他の公園に遊びに行ったり公園に行く回数を減らしてみることにしました。少しずつ、マサヤくんとの接点を少なくすることにしました。
夫のサトシに話をしてみたところ、「今の関係は良くない」と言われてしまいました。 とはいえ「もう面倒を見るのはごめんです!」と強く出てしまうと、あちらの反感を買ってしまうかもしれません。 そうなったら根も葉もないことを言いふらされる可能性だってあります。私だけならまだしも、キョウスケにまで影響があったら困ってしまいます。そこで夫婦で相談をして、私はフェードアウトという方法を選びました。さっそく明日は違う公園へ行く予定です。
事故の知らせ「……やっぱり!」もし私が一緒にいたら?
突然の話に私は驚き、思わずその場で声をあげてしまいました。すぐにハルカちゃんママに状況を確認しました。
マサヤくんのケガの具合は幸いにも酷くはないようです。大きなケガをしなかったと聞き、安堵しました。
ハルカちゃんママは私がいつもマサヤくんの面倒を見ているから何か事情を知っていると思い、連絡してきたようです。
私は、もし今日マサヤくんといつもの公園で一緒にいたら……? と考えてしまいました。私が面倒を見ているときにケガをしてしまっていたら、マサヤくんママから責任を追及されたのかもしれません……。
ハルカちゃんママとやりとりをした後、あらためてお世話を押し付けられる怖さを思い知り、ゾッとしました。
「わが子だけを見ていればよい」という久しぶりの状況に、私はいつもよりハラハラせずに公園遊びをすることができました。 たっぷり遊んで帰ると、ハルカちゃんママから連絡が。なんとマサヤくんが自転車同士で接触事故を起こしてしまったというのです。「もし今日も一緒に遊んでいたら、私が責任を取らされていたかも……」と考えて、私はお世話を押し付けられる恐怖を実感しました。 これからはこういった危険も考えつつ、適度な距離感を大切にしたいと思います。
【放置ママの気持ち】子ども3人、助けてもらわなきゃ!
私は3人の子どもを育てているママ。元気いっぱいの子どもたちを3人も育てていると、毎日が大変です。特に今年小1になった次男のマサヤはヤンチャで、本当に手を焼いています。しかし私にはママ友から教えてもらった秘策があるのです。その秘策の内容とは、他のママたちにも育児を手伝ってもらうこと。他のママに面倒を見てもらえれば、そのあいだだけでもかなり楽になります。そもそも子どもって、地域で育てるものなのですから。少しくらい手伝ってもらってもいいですよね?
マサヤがまだ幼稚園のころ、あるママに相談したことがありました。そのママは5人のお子さんを持つベテランママでした。
「周りの人をうまくつかわないと損だよ!」という言葉を聞いて、パッと光がさした気がしました。
そこで私は早速、幼稚園でマサヤの同級生のハルカちゃんママに甘えてみることにしました。しかし、しっかり者のハルカちゃんママに頼ろうとしたら、ハッキリと断られてしまいました。私は後日、その“失敗談”を子だくさんのママ友に話します。すると……
私は妙に納得してしまいました。たしかに相談したママ友を見ていると、頼る人を選んでいる気がします。
「子どもは地域で育てるもの」「どんどん周りの人に頼るべき」。5人の子どもがいるベテランママからそんな優しい言葉をかけられて、私は救われたような気持ちになりました。 たくさんの子どもを育てるというのは、それほど大変なことなのです。しかし知り合いのハルカちゃんママにお願いしてみたところ、冷たく断られてしまいました。頼むにも相手を見極めることが大切なのですね……。マサヤが小学校に上がったころ、私は頼みやすそうなママを発見したのでした。
息子が事故?ママ友親子もいない?
マサヤはたっぷりと遊んでもらったようで、私の作戦は思ったよりもずっと上手くいきました。
私はクラスのLINEグループから、キョウスケママを追加すると、お礼のメッセージを個別に送りました。
LINEでのやり取りではキョウスケママは少し困った様子でしたが、ハッキリと「困るからやめてほしい」とは言いませんでした。きっとこれからも、少しバタバタしながらもマサヤのことを見てくれるでしょう。マサヤさえ見ておいてもらえれば、私は上の子の勉強を見たり、下の子のお迎えに行ってママ友たちとのんびり話をしたりできるのです。
さてそんなある日、家でのんびりしていた私のスマホが鳴りました。マサヤはいつものように公園へ遊びに行っています。電話に出てみると知り合いのママ友からでした。
私は慌てて公園に向かいました。私がかけつけると、マサヤと事故の相手、そして連絡をくれた知り合いがいました。
LINEまでしてよろしく言っておいたのに、なんだかキョウスケママに裏切られた気分です。私は泣きそうになりながら、マサヤを病院に連れていきました。
突然私のスマホに届いた知らせ。それはマサヤが事故に遭ったことを知らせるものでした。「キョウスケママは一体何してるの!?」と怒りに任せて公園に向かうと、誰もいません。聞けば今日公園にはマサヤ以外、誰もいなかったというのです。 てっきりキョウスケママがマサヤの面倒を見てくれているとばかり思っていた私はビックリ。このあいだLINEでもお願いしていたというのに、どうして一緒にいてくれないのでしょうか……。とにかく私はマサヤを病院に連れていきました。
文句言ってやりたい!……ってダメ?
マサヤを病院に連れていって診てもらいましたが、大きな問題もなくホッと胸を撫でおろしました。どうやらマサヤが突然飛び出したとのことで、私は相手の方に何度も謝罪しました。帰路につくと私はなんだかムカムカしてきました。
ハルカちゃんママからLINEがきました。
イライラしていた私は、ついハルカちゃんママに愚痴ってしまいました。
私は半分本気、半分冗談のつもりで送りました。そのあと、ハルカちゃんママからは「正気?」と、厳しいメッセージが届きました。
しかしハルカちゃんママからは、想像とは違った厳しい反応が……。
ハルカちゃんママからバッサリと言われて悔しかったですし、「キョウスケママは大人しそうだから断れないはず」と思っているのを見透かされていたのも恥ずかしかったです。
マサヤが事故に遭って本当にびっくりしました。「キョウスケママが見ててくれたらよかったのに」「なんでその場にいなかった私が謝らないといけないの」と、私の頭はモヤモヤでいっぱい。 そんなときにハルカちゃんママから連絡がきて、思わず愚痴ってしまいました。しかし共感してもらえるどころか諭されてびっくり。ハルカちゃんママもキョウスケママも薄情です。子どもは地域で育てるものなのに……。私はほかの協力者を探さないといけないようです。
新たな協力者を求め……保護者会へ!
ちょうどよく保護者会の話が舞い込んできたので、私は久しぶりに学校へ足を運びました。今までは保護者会なんて多忙を理由にほとんど行ったことがありません。しかし今回は話が別です。
教室に入ると、すでに同じクラスのママたちが何人もいました。みんなアレコレと話をしている様子です。
ママたちは私の顔を見ると固まって、さっと視線をそらしました。
開始時間まではまだ少し時間があります。私はそっとお手洗いに立ちました。個室に入っていると外から声が聞こえました。
ママたちの騒ぐ声が聞こえて、私は個室からこっそり話を聞いていると……なんと私の噂話をしているではありませんか……!
結局、保護者会には出ず、お手洗いの前から人がいなくなったタイミングで私は家に帰りました。
事故に遭ってしまったマサヤ。病院に連れていくことになり、「もうこんなことが起こってほしくない」と心から思いました。 こんなことになるのなら、キョウスケママ任せにはできません。それならばと新たにお願いできる人を探すため、私は保護者会に出ることにしました。ところがそこで聞いてしまったのは、私がほかの保護者から避けられている事実とその理由でした。私がほかのママたちに育児を手伝ってもらっていること、キョウスケママに腹をたてていることなどがすべてバレていました……。
伸びた爪・小さい服「母親失格だ」
私は学校から帰宅すると涙が溢れてしまいました。
マサヤが声をかけてきました。私があまりにも泣いていたため、驚いてしまったのかもしれません。私は返事をしながらマサヤの方を見ました。
私は改めてまじまじとマサヤのことを見ました。髪も爪もずいぶん伸びてるし……服もなんだか小さくなって……。
なんだか久しぶりにマサヤのことをちゃんと見た気がします。もちろん家族ですから毎日顔を突き合わせてはいるのですが、よく見てはじめて気づくことがたくさんありました。そしてハッとしました。
私はマサヤを抱きしめました。こうして触れ合ったのも久しぶりな気がします。マサヤはキョトンとしています。
「子どもは社会の宝なんだから、育児は地域全体でするべき」「うちは子どもが3人もいるんだから、みんなに手伝ってもらわなくちゃ」と思っていました。しかしいつしか他人に面倒を見てもらうことが当たり前になりすぎてしまい、私自身が子どもと向き合っていないことに気が付きました。
保護者会に赴いたところ、ほかのママたちが私の噂をしているのを聞いてしまいました。もちろん内容は私にとって嬉しいものではありませんでした。 しかし今考えてみれば、他人に育児を押し付けていたのですから、煙たがられるのは当然のことでしょう。しかし皮肉にもその経験が、改めてマサヤに向き合うきっかけになりました。今では登下校に付き合ったり、一緒に公園遊びをしたりと、できる限り子どもと一緒に過ごしています。 これからはきちんと子どもたちに向き合おうと思います。