【ボーズ=魚が1匹も釣れない】はなるべくしてなる? 内的&外的要因の両面から解説
魚が1匹も釣れなかったことを表す言葉として、はたまた釣り業界で最も恐ろしい(?)言葉として、ボーズ/ボウズという言葉が用いられる。今回は、「ボーズになってしまう理由」にフォーカスしていきたい。
ボーズの由来
まずはボーズの語源を調べてみたのだが、毛が無い頭の様子を「坊主頭」というように、毛が無い=毛がゼロ、という所から「釣果ゼロ」に引用されたという説が有力だ。「オデコ」と呼ぶ事もあり、意味としては同じものとなる。
釣りに行ったのに1匹も釣れなかった=ボーズだったという事実は、アングラーとして最も避けるべき事態であることが明白なのだが、自然相手の釣りではなかなかどうして難しいものだ。こちらの記事をみてほしい。
著者は2024年にこちらの記事を執筆したのだが、この記事を執筆した後にあたる2024年秋のカワハギ釣り、2025年解禁直後の渓流釣りで数年ぶりとなるボーズを喰らってしまった。
なんとかしてこの悲劇を食い止めるために、可能な限りボーズを逃れる方法を考えてみた結果、今回の記事になったという訳だ。「決して自分のウデのせいではない!」と考えたい同士の皆様は、是非参考にしてみてほしい。
1. 水温
まずは著者自身の経験から、これまでにボーズの原因として最も影響が大きかったと感じる水温についてみていく。
高水温
昨年の夏は全国的に猛暑となり、9月~10月でも余裕で30度を超える程の暑さ。予想通り、水温も驚くほどに高かった。本来秋口に好調となる瀬戸内の堤防カワハギは、海面水温が30度近くあったためか魚影が著しく薄くなっており、多くの方々が大変苦戦しておられたようだ。
低水温
打って変わり、2024年~2025年にかけての冬は異常に寒く、瀬戸内側でも雪が多く降った。そのため、春先の気温・水温共にとんでもなく低い状態で推移し、春先の渓流は水温が3~4度という有様だった。
4月に入っても中々水温が上がってくれず7度前後で推移し、雪代が流れ込む4月半ばにまた6度を記録。結果、釣れ始めが大幅に遅れる原因となった。海釣りにおいては、近畿地方における堤防からのキス釣りのシーズンインが大幅に遅れる原因になったとも考えている。
魚の適水温を知る
以上の事から、やはり対象魚の活性が上がる水温をきちんと把握しておくべきと考える。水温計を持参したり、気象庁等の情報を確認する事で、「対象魚が釣れない水温で釣りをする」といった事態を避けることが出来る。
潮汐や水位、アングラーの有無
続いて、自身ではどうしようもない「現地の状況」についてみていく。海であれば潮周り、川であれば水位が非常に大事なファクターだ。さらにはライバルの存在も関係してくる。
潮汐
自身が釣行できるタイミングが、良い潮周りの時ばかりとは限らない。潮が全く流れない日はやはり食いが悪くなるので、ボーズの可能性は必然的にアップする。
さらに、「キスは上げ潮を釣れ」と言われるように、魚種によっては上げ潮と下げ潮で食いが違ったり、ポイントによっては上げ潮時のみよく釣れる……なんて事もある。潮汐の研究は必要不可欠と言えるだろう。
川の水位
渓流釣りやアユ釣りにおいては、潮周りという物が存在しない代わりに、水位状況が大きく関係してくる。大増水で釣りにならなかったり、逆に渇水となりカワシオグサ(アオノロとも呼ばれるコケ)が繁殖、ポイントがダメになったりといった事も多い。
どのような状況でも釣果を出せるポイントを複数見つけておくしか方法はないと言えよう。
釣り人の有無
大人気ポイントの場合、先行者がいて本命ポイントに入れない事も多い。こういった時はやはり本命ポイントに入ったアングラーがよく釣り、それ以外はボーズなんて事もしばしば。ポイントに入れるかどうかは非常に重要だが、くれぐれもトラブル等が無いようにして頂きたい。
ウデに関係するあれこれ
最後に、誰もが認めたくないであろう「自身のウデ」に関する事をみていこう。
ポイントや時期の選定ミス
対象魚の生態を研究していれば起こりえない事ではあるが、例えばアジの回遊が全く見られない場所・季節に「初心者向け」とされるサビキ釣りをしてもアジは釣れない。やはり当TSURINEWS等の情報媒体をチェックし、「釣れている場所」で竿を出すのが得策と言える。
タックル
初心者にありがちな事として、「1本のタックルでなんでも釣れる」と信じるのは少々早計だ。対象となる魚をきちんと絞っていなければ、きちんと釣果を出す事は出来ない。
足元に見えているからと言って、サビキ仕掛けでチヌやスズキを釣ろうとすれば偶然によるところが大きいし、大型のフィッシュイーターを狙うハリスが0.8号ではあまりに心許ない。自身が釣りたい魚に合わせたタックルをチョイスするところから始めたいところだ。
餌や仕掛け
良型アジが釣れる場所で、特定のサビキにしか反応しない・・・なんて事がしばしばある。これはその時に魚が捕食しているエサに合わせなければいけない、という事だ。
ルアーにおいてはマッチ・ザ・ベイトと呼ばれ、対象魚が捕食している魚にルアーを合わせるという考え方になる。事前情報として、どんなサビキで釣れているのか、ルアーであればベイトとなる魚は何なのか……。この辺りの情報はマストで得ておきたい。
釣り方
ルアーやエギングにおいては、そのポイント・対象魚に合わせたアクションが重要だ。初心者向けとされるキス釣りにおいても、ちょっとしたことで釣果に大きな差が出ることも多い。この辺りは当TSURINEWS等の情報媒体をチェックし、自身のものとしてほしい。
アワセの重要性
釣り場で苦戦している初心者と思しき方々を見ていると、アタリが出ているのにアワセを入れなかったり、竿を置き竿にしたまま放置していることが多い。何をおいても魚の口に針を引っかけなければ釣果は得られないので、アワセについてはきちんと学んでおきたい所だ。
それでも釣りに行きたい!?
今回紹介した事を全て避ければ、ボーズになる可能性は無い!!と言いたい所だが、現実はそれほど甘くない。リスクを限りなくゼロに近づけることはできるが、自然が相手である以上、ゼロにはならないのだ。
また、釣果情報が出ていない段階でも「今ならまだ情報が出ていないから、一人爆釣もあり得るぞ!?」と考えてしまうのはアングラーの性だろう。
つまるところ、釣行計画を立てている時は、ボーズになるなんて夢にも思っていないのだ、我々アングラーは……!という事で、環境に左右されないアングラーとしての確かなウデを、日々磨いてみてほしい。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>