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聴覚と運動協調のつまづきへのアプローチ方法!子どもへのを負担少なく対応しよう【発達が気になる子の感覚統合遊び】

ラブすぽ

聴覚と運動協調のつまづきへのアプローチ方法!子どもへのを負担少なく対応しよう【発達が気になる子の感覚統合遊び】

理論4:6つのつまずきに対するアプローチ③

○理論解説のポイント!

過敏は慣れさせるより安心させる感覚探求型は感覚を堪能させる運動企画・両側統合・抗重力運動・スモールステップの支援

【知識・学習】聴覚のつまずきにアプローチ

私たちが日常、いろいろな音に囲まれていても安心していられるのは、その音の意味がわかるからです。音の意味がわかることを「聴知覚」といいます。しかし、この聴知覚が機能せず、突然大きな音がして、その音が何の音かわからないと不安になります。

過敏な子はこの聴知覚の不全から、音の意味がわからずにいる可能性があります。突然、わからない音がするから怖いのです。ですから、そのようなタイプの子にはなるべく音について予告してあげるとよいでしょう。「これからこんな音が聞こえるよ」「この音は○○の音だよ」と伝えておくことです。

しかし、すべての音を予告することは不可能ですし、苦手な音は避けてあげたいので、「イヤーマフ」などの音を軽減するツールを使いましょう。大人が耳を手で覆ってあげるのもよいでしょう。音から遠ざかるだけで、気持ちが落ち着く子もいます。

ミニコラム

5歳の F さんは特定の保育者と相性が悪く、「あの先生は嫌い」といって近づこうとしませんでした。「優しい先生だけど、何が苦手なの?」と聞くと、「あの先生は怒りんぼだから」といいます。「怒っていないけどなあ」というと、「いつも怒ってるよ。声が怒っている」といいました。F さんは大きな声だと何をいわれているかわからないばかりか、怒られていると感じていたようです。先生には、F さんに話すときは「近づいて、穏やかに、ゆっくりと、静かなトーンでお話ししてみてください」とお願いしました。

Fさんにも同じようにお話ししました。すると、「先生は怒っていなかったんだ」と理解し、「お話もちゃんと聞こえるようになった」といいました。声のトーンやスピードは、過敏な子とのかかわりにとても大切な要素なのです。

Q&A

Q. 夏でも子どもが長袖しか着ません。どうしたらよいですか?

【A】1年を通して長袖でもよいと思います。夏場は風通しよく、給水速乾性のよい素材のものを探せば、日よけ、虫よけの効果もあります。こうした感覚過敏からくるこだわりは、年齢とともに軽減することが多いので、子どもが納得するまでは、できるだけ応じてあげましょう。

Q. 爪切りを嫌がります

【A】子どもの年齢が低く爪が薄い場合は、ハサミ型のほうが爪への負担が少なく、衝撃がかかりにくいのでおすすめです。切る部分に油性のペンで印をつけて、ここだけ切ると伝えしっかり見えているところで 切りましょう。それでも、嫌がるようなら寝ているときに切るのがいちばん。時期を見て、再チャレンジします。焦らないことが大切です。

【知識・学習】協調運動のつまずきにアプローチ

協調運動は大きく3つに分けられます。

ひとつ目は、 微細運動で、手や指を使います。着替えのとき、食具を使うとき、文字や絵を書くときなどさまざまな生活動作に関連します。たとえば、スプーンでうまくすくえずにこぼしてしまったり、指先で服のボタンをしっかりとつまめなかったり、穴に通せなかったり、あるいはとても時間がかかったりします。

2つ目は、 粗大運動で、体全体を使います。これらには階段の上り下り、スキップや片足ケンケンをすること、ジャンプをすることなどが含まれます。片足跳びをするとき、連続して飛ぶことができなかったり、そもそも片足でジャンプすることがむずかしかったりします。体全体の動きのイメージがもてず、動かし方もわからないという状態です。

3つ目は、 目の動きと手の動きを合わせる運動です。 これらには、 指でものを数えることや、ボールを蹴ること、飛んでくるボールをキャッチすることなどが含まれます。ボールを取るときに、自分の手元に来る前に手を出したり、タイミングが遅れて体にボールが当たったりします。見ているボールと自分の体の動きを合わせることができません。

結果ではなく、過程や運動したこと自体に承認を

自分の運動能力の苦手さを自覚している子も多くいます。運動能力への自信が低下すると、 向上心やチャレンジしようとする気持ちが失われてしまいます。乳幼児期は運動の得意 ・ 不得意より、 運動自体を楽しむことが大切です。

そのためにも、本書で紹介する遊びの中から、本人が無理なく楽しめる遊びを一緒に考え、実施してみてください。結果ではなく、過程ややったこと自体が承認されるように大人がかかわりましょう。承認されることで、子どもが「またやってみたい」と思えることが大切です。

スモールステップの支援と道具の工夫

スプーンなどは柄が太いものを用意するともちやすくなりますし、お箸は真ん中に支えがつけられるものもあります。ボタンも大き目のもちやすいものからはじめて、だんだん小さなものにしていくなど、スモールステップで考えます。

できない運動を繰り返し練習させるのではなく、できる運動を通して徐々に次のステップに段階づけしていくことが重要です。いきなり最終段階の運動をするのではなく、時間をかけて、ひとつひとつ基本的なことができるようになるようにかかわりましょう。

縄跳びまでのスモールステップ

たとえば、縄跳びを跳ぶまでのステップは次のような流れが考えられます。跳べるようになることより経過を楽しむ、挑戦してひとつずつクリアしていくことを大切にしましょう。

①縄跳びで縄に親しむ

遊び方はいろいろです。まずは、縄遊びを楽しみ、縄への抵抗をなくします。

縄を床に置いて一本橋のようにして渡る、その縄を跳び越える蛇のように揺らしてみる、それを跳び越える

②ジャンプの練習をする

いろいろなジャンプに取り組みましょう。

その場でジャンプ手をたたきながらジャンプ手をつないでジャンプ回りながらジャンプ縄を置いて、それを跳び越えるジャンプミニハードルその場でグーチョキパーなどのステップケンパ跳び など

③縄回しの練習をする

片手回し:片手で縄をもって、回す練習をしましょう。最初は後ろ回しでも大丈夫、慣れてきたら前回しもやってみます。前回し、後ろ回しのストレッチを先にやっておくのもよいでしょう。

足止め:両手で回した縄を足で踏んで止めます。右足・左足・両足といろいろ取り組みます。

④またぎこし・走りとび

縄を前にもってきてはまたぐことを繰り返します。走り跳びもおすすめです。縄より前に行こうとジャンプをすると一緒に縄も前に行ってしまって越えられないことがあります。まずはまたぐところからはじめます。

⑤前跳びに挑戦

ジャンプや縄回しなどの前跳びに近い動きが経験できてきたら、いよいよ前跳びに挑戦です。

まずは 1 回跳ぶことを目指しましょう。

運動企画

協調運動を考えるときに、大切な概念として「運動企画」があります。運動企画とは課題となる運動に対して、その運動を達成するために必要となる「体の使い方(腕や脚、手、関節など)」を連動させる順序を決めて、それの通りに動かすこと。そしてそのタイミングをはかることです。最初はむずかしくてぎこちない動きだったものが、無意識に自然にできるようになります。

運動企画の発達が未熟ということは、運動を企画する力が弱い、つまり協調運動のつまずきにつながるということになります。

頭の中で運動の順序を考えるのは大変で、体がなかなか動きません。考えている時点で、運動企画は弱いといえるかもしれません。私たちは考えずとも自然に運動をしているからです。

たとえば、ジャングルジムの上り下りで途中までは行けたけど、その後どうしてよいかわからなくなって、その場で身動きがとれなくなるなんてことが起こります。ほかの子は少し練習すればすぐできるけれど、ある子は何倍もの練習や時間が必要だったり、できなくはないけど呑み込みが悪いという印象になったりします。

運動企画は、遊びでも重要です。運動企画の発達が未熟な子どもは、同じ遊びばかりを繰り返して行ないがちです。考えなくてすむから、楽なのです。しかし同じ遊びばかりだと、気づきや発見、それを発展させて学ぶという流れがうまくいかなくなります。

遊びで発展させて、いろいろな運動企画を経験

たとえば、新聞紙をくしゃくしゃにして遊ぶとします。誰かが(大人でも OK)新聞紙は破けることに気づきます。これは、発見ですね。そしてやってみます。楽しい!

さらに誰かが、それをばらまけることに気づきます。発展しました。そして楽しい! ちぎった新聞紙に新聞ボールを隠すという遊び方を見つける子もいます。ちぎった新聞紙をかき分け、ボールを隠す、見つける。楽しい!

むずかしいことでなくてよいのです。こんなふうに遊びに気づき、発展させて運動企画の発達を促していきましょう。「考えるより体が勝手に動く」という感覚が大切なのです。

両側統合も重要な要素

両側統合とは、体の両側を同時に調整する能力のことです。たとえば片手で紙を安定させ、もう一方の手で書いたり切ったりするなど、制御され、組織的な方法で行われます。

両側性の統合や協調がうまくいっているということは、脳の両側(右脳と左脳)が効果的にコミュニケーションをとり、情報を共有していることを示す指標です。両手を協調して使えるようになると、両側統合がほぼできあがります。

たとえばボールを投げる両側統合の段階は、次のようになります。5 歳くらいまでには、右側と左側、上半身と下半身が別の動きをしてスムーズに運動できるようになります。

両手で下からボールを投げる両手で上からボールを投げる片方の手でボールを投げる

なお上記の③以降は、支持基底面(体を支えるために必要な床面積)の変化、体重の移動の有無、足のステップの導入などによって、投げる動作の発達段階が進み、動作パターンのレベルがあがります。

この両側統合は、運動だけでなく、生活動作の中でもスムーズにできるようになります。

【出典】『発達が気になる子の感覚統合遊び』著:藤原里美

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