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ヤクルト日本一!高津臣吾監督の「絶対大丈夫」を生んだノムさんの教え

SPAIA

ヤクルトの高津臣吾監督,ⒸSPAIA

12球団中5球団の監督が「野村チルドレン」

2021年の日本シリーズはヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、20年ぶり6度目の日本一に輝いた。吐く息の白い厳寒の神戸で繰り広げた5時間の熱闘を制し、高津臣吾監督が晩秋の夜空に舞った。

前年最下位のチームをリーグ優勝に導いたのは、1960年三原脩監督(大洋)、1975年古葉竹識監督(広島)、1976年長嶋茂雄監督(巨人)、2001年梨田昌孝監督(近鉄)、2015年真中満監督(ヤクルト)に続いて高津監督が史上6度目、オリックス中嶋聡監督が7度目だったが、日本シリーズも制したのは三原監督のみ。2年連続最下位からの日本一は「三原マジック」を彷彿とさせる快挙と言えるだろう。

今季はセ・リーグが高津監督と与田剛監督(中日)、パ・リーグは石井一久監督(楽天)、栗山英樹監督(日本ハム)、辻発彦監督(西武)と、12球団中5球団が現役時代に故・野村克也監督の薫陶を受けた監督だった。

野村監督の野球は「ID野球」「再生工場」と呼ばれた。前者はデータの重視・活用、後者は芽が出ない選手や力の衰えた選手をトレードやコンバートによって活躍させる。野村野球は奥深い。高津監督がノムさんから具体的に学んだことは2つある。

誰にも負けない特徴を生かすこと

高津は1990年ドラフト3位でヤクルト入団。2年目の92年、奇しくも今年と同じ阪神とのマッチレースとなり、チーム129試合目の甲子園決戦で優勝を決めた。先発を中心に5勝(3完投)を挙げた高津は優勝に貢献したのだが、日本シリーズはメンバーから外れ、ファームの教育リーグに参加させられた。

ヒーローは同期のドラフト1位・岡林洋一。肩痛をおして先発・抑えにフル回転し、15勝(10敗)をマークした。日本シリーズでも王者・西武に敗れたものの第1、4、7戦に完投する鉄腕ぶり。オフに開催された球団優勝祝賀会では、同期の活躍を見せつけられた高津は自らの不甲斐なさに今にも泣き出しそうだった。

92年ヤクルトの弱点は「守護神不在」。日本シリーズで対した西武の守護神・潮崎哲也のシンカーは、一度フワリと浮き上がって沈んだ。野村監督は高津に言った。「シンカーを覚えられないか?思い切り投げて100キロのスピード。誰にも投げられないシンカーを」。

その言葉がターニングポイントだった。先発完投が一流投手の証だった時代に「ストッパーとして球界に革命を起こしてみないか」と江夏豊を説得したのと同じ意味を持つ「口説き文句」。広島県出身でカープファンだった高津少年は79年、「江夏の21球」で日本一になった江夏豊にサインをもらっている。

93年のスプリングキャンプで通算284勝のアンダースロー・山田久志にシンカーの握りの教えを請うた高津は練習に明け暮れ、一日200球を投げ込んでシンカーを習得。93年に20セーブを挙げるのである。

野球は言葉のスポーツ、育成の武器は言葉だ

野村監督はデータを重視し、一球一球こと細かに指示するイメージがあるが、試合に入ると選手を信頼して、思い切り野球をやらせた。そして言葉を大切にした。

「現役時代に三冠王を獲っても、今の選手はリアルタイムで見ていない。言葉こそが育成の武器であり、道具なんだ。感情で『怒る』のは駄目、『叱る』のが指導。しかもタイミングが重要だ」

93年、再び迎えた西武との日本シリーズ。雌雄を決する第7戦前のミーティング。野村監督はつぶやいた。「ここまでいろいろ言ってきたけど、勝負は時の運。人事を尽くして天命を待とう」。前年の屈辱を晴らし、日本一の胴上げ投手に輝いた高津は号泣した。

時は流れ、2021年9月7日、阪神との決戦の前のミーティングで高津監督は、野村監督ばりに言った。「絶対大丈夫。去年の悔しい思いをどうやって晴らそうかとやってきたのが今年のチーム・スワローズ。どんなことがあっても僕らは崩れない。絶対大丈夫!」

その言葉はナインを奮い立たせ、阪神に勝ち越し。「絶対大丈夫」を合言葉に9月に9連勝、10月に7連勝を飾り、栄光のゴールテープを切った。門外不出だった「ノムラの考え」は令和のプロ野球界にも脈々と受け継がれている。天国のノムさんも教え子の日本一を喜んでいるに違いない。

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記事:山田ジョーンズ

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