お葬式の依頼で知っておきたい知識とは!?お布施の相場、表書きの書き方を解説【増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック】
宗教者への依頼
仏式
菩提寺に出向いてお葬式と仏名(戒名)の依頼をします。電話で連絡する場合は、失礼を詫びてから用件に入ります。通夜・葬儀の日時は、僧侶の都合を先に伺うのが礼儀ですが、火葬場や式場の空き状況の兼ね合いなどであたりをつけて依頼するケースが多くなっています。また、初七日法要についても、葬儀・告別式の式中または火葬後にくり上げるか、あるいはくり上げずに7日目に行うかを相談して決めましょう。
神式
神式は神職に依頼します。氏子となっている神社があればそこへ、なければ故人の現住所がある地域の神社に依頼。臨終後は亡くなったことを神へ伝える帰幽奉告が必要となります。
キリスト教式
神父または牧師に依頼します。カトリックは神父、プロテスタントは牧師に依頼する。危篤、あるいは臨終に立ち会う必要があるので、早めに所属している教会に連絡する必要があります。
菩提寺と檀家の関係
菩提寺と檀家制度
菩提寺(檀那寺)とは、祖先の遺骨を葬り菩提を弔う寺院のこと。檀家は菩提寺に所属する家のことで、お布施を渡して、葬祭儀礼を依頼します。
昔は檀家制度があったため、必ずどこかの檀家にならなくてはなりませんでしたが、今日は檀家になるかどうか選択できる時代になっています。檀家になれば、寺院の墓地に遺骨を納めることができ、供養が行き届きます。また寺院の宗教行事などにも参加できますが、強制ではありません。
菩提寺がない場合は
菩提寺がない、または遠方にある場合は、葬儀社からフリーランスの僧侶を紹介してもらい、読経だけを行ってもらうこともできます。このような僧侶は、お布施の金額が明確でリーズナブルな傾向がありますが、檀家ではないため、後々の供養まで見てもらえるかどうか、葬儀社とよく相談したほうがよいでしょう。
宗教者に確認しておきたいこと
お葬式の日程以外にも確認しておきたいことがあります。
宗教施設以外でお葬式を行う場合
●当日は何人で来場するか?→人数によりお布施の額が変わる
●送迎の手配が必要か?→手配しない場合は「お車代」を用意
仏式の場合
●通夜で説法はあるか?→法話は省略する場合が多い
●通夜ぶるまい、精進落としに参加してもらえるか?
→参加しない場合は「お膳料」を用意
●くり上げ初七日法要はいつ行うか?→お葬式中か火葬後
仏名を授かる
仏名とは仏の弟子としての名前で、亡くなった際に菩提寺から授かります。一般的には「戒名」と呼ばれますが、宗派によって名称が変わります。仏名は、菩提寺の僧侶にお葬式と一緒に授与を依頼。僧侶は通夜の前に仏名を授けてくれますので、仏名の書かれた白木の位牌を祭壇に安置します。
仏名の仕組み
仏名にはランクがあり、社会的地位や菩提寺への貢献度によって決まります。お布施の額も異なるので、僧侶と相談してみましょう。
院号・院殿号・・・最上の尊称。信仰が厚く、社会的な貢献度が高い人につく。
道号・・・元は僧侶につける尊称であった、故人の雅号や別名などが用いられる。
法号・・・故人の俗名(本名)から1文字、生前の人柄を偲ばせる文字を使用。
位号・・・性別や年齢、仏教徒としての位を示す。「居士」は男性の位号。
※宗派により、仏名の構成、使用される文字が異なる。
神 式
仏式の仏名にあたる「霊号」で、仏式の位牌にあたる「霊璽」に書き入れます。霊号は氏名をもとにし「○○命」などとなる。
キリスト教式
カトリックでは洗礼を受けたときに、聖人の名や聖書の語句から取ったクリスチャン・ネームが授けられ、墓石にもその名前が刻まれる。
お布施を渡す
僧侶へのお礼「お布施」には、通夜と葬儀の読経のお勤め、仏名の授与、初七日法要の 3 点が一括して含まれています。お布施は感謝の意をあらわし、今後の供養も依頼する気持ちを込めて包むものとされ、明確な料金設定がありません。ただ、菩提寺の場合、僧侶の一存で大まかな金額が決まっている場合がほとんどなので、僧侶に金額を直接たずねるか、菩提寺をよく知っている人に相談してみましょう。菩提寺の僧侶ではない場合、紹介してもらった葬儀社に相談します。
渡すタイミングは、菩提寺の場合は葬儀が終了してから改めてお礼に伺ったときが正式ですが、近年は通夜の読経の後に渡すケースが増えています。お布施などのお礼は相続財産から控除されるので、領収書(受領証)を出してもらえるよう、お願いしてみましょう。
お布施の相場
信士(信女)・・・30万円前後
院号+居士(大姉)・・・50万円前後
院殿号+大居士(清大姉)・・・80万円〜
※寺院の格式、僧侶の位や人数、地域によっても異なる。
お布施の表書き
僧侶へのお布施は、「御布施せ」と表書きした白封筒に入れて(または奉書紙で包んで)渡す。
神式
白封筒に「御祭祀料」や「御礼」の表書き。神式では神職のほかに同行者がいるので、その人数によって金額が異なる。
キリスト教式
教会へは白封筒に「献金」の表書き。神父(牧師)、演奏者や聖歌隊に直接渡す場合は「御礼」とする。
【出典】『増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック』著:奥田 周年