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【インタビュー】日本城郭文化振興賞:保存と活用のバランス「可児市山城連絡協議会」(岐阜県可児市)

城びと

【インタビュー】日本城郭文化振興賞:保存と活用のバランス「可児市山城連絡協議会」(岐阜県可児市)

城郭文化の振興に貢献した団体及び個人を顕彰する「日本城郭協会大賞」。第2回日本城郭協会大賞の「日本城郭文化振興賞」に選定された「可児市山城連絡協議会」の活動と、受賞に際して城びと編集部で取材したインタビューをご紹介します! お話を伺ったのは、同協議会会長の丹波隆政さんです。

<可児市山城連絡協議会の活動とは?>

多様な城跡が残る岐阜県可児市。とりわけ天正12年(1584)の小牧長久手の戦いの際に改修された遺構が良好な状態で残っている城跡が多く、その特性を地域団体がよく理解し、継続的な整備活動を行っています。山城を地域の誇りとなる資源としてとらえる行政(文化財課・観光交流課)と連携し、保存と活用のバランスを考えた整備活動に取り組んでいます。行政や専門家、企業や他地域の城跡の整備に関わる団体、山城ファンが一体となったイベント「山城に行こう」を開催するなどの取り組みは、保存整備・活用のあり方のモデルと評価されて、第2回日本城郭文化振興賞を受賞。

小学生向けの山城見学(美濃金山城)

ー複数の地域団体が連携し、さまざまな活動をされていますね。連携されるきっかけはどのようなことだったのでしょうか?

 可児市内には10ヶ所の山城があり、その中の3つの山城で整備活動が行われていました。

2008年に「今城址を整備する会」、2013年に「美濃金山城おまもりたい」と「久々利城城守隊」が発足し、それぞれが「地域の財産として自分たちの山城を自分たちで守っていこう」との思いで活動をしていました。「自分のふるさとを守ろう」ってそんな言わば小さな目標だったんです。そんななか、2016年に策定された「可児市観光グランドデザイン」の中で市民、企業との協働を具現化する施策の一つとして“戦国城跡巡り”が取り上げられ、3団体を統括するほか、「城跡の活用推進機関」として可児市山城連絡協議会が発足しました。城を観光にしよう、ということですね、

ー協議会を発足してすぐは、構成団体がみんな同じ方向を向いて動くのは難しいように思いますが、いかがでしたでしょうか?


近在の城跡へ視察研修(協議会)

 設立間もない時期に、3団体と協議会事務局(当時専任職1名)、観光交流課(現観光課)、文化財課(現歴史資産課)計22名が参加して合同研修会を1泊2日で実施しました。

山中城、高天神城、丸子城の登城視察と井伊谷城の登城を行い、併せて3団体と市職員との意見交換会を行いました。他城跡の状況視察をすることにより、「可児市山城連絡協議会」の今後の方向性を認識することができました。

他城の視察で協議会としての方向性を認識しあう

ー「今回、「保存と活用のバランス」が評価されての受賞ですが、その見極めについて、明確なラインやルールがあるのでしょうか?

 美濃金山城においては国史跡でもあるため勝手な改変は許されません。私達の思いや提案はその都度、市の歴史資産課を通じて整備委員会、文化庁の了解を得て実施しています。他の城跡においても歴史資産課に助言を受けながら実施しています。

案内看板を設置すべく運搬中(美濃金山城)

ー「保存」と「活用」を両立させるポイントはどこだと思いますか?

 「保存」と「活用」は相反する部分があると思います。よかれと思っても独断で動いてしまわない事が肝要と考えています。

整備作業(今城)

ー可児の山城の魅力や見どころを教えてください。

 美濃金山城においては1601年に破城された後、1953年に払下げとなるまでの約350年間、民間人の立入禁止となっていました。このため織豊期を代表する瓦、石垣、礎石が良好に保存されており、往時に想いを馳せる絶好の場所かと思います。他の山城においても立地を利用した防御の工夫等々、この3城を見比べるだけでも見ごたえがあるものと思います。お客様に山城を気軽に楽しんで頂ける様、歩きやすさや安全に配慮した整備活動に取り組んでいます。

登城路整備(左・美濃金山城、右・久々利城)

ー今後の目標を教えてください。

 コロナ過で活動が停滞していましたが、今後の活動をどう展開して行くか腰を据えて考える時期ととらえています。先ずは原点回帰。

重装備!整備作業中(久々利城)

ー城びと読者へのメッセージをお願いします。

 全国山城サミットや例年実施してきました市と協議会との共催事業である「山城に行こう!」では多数のお客様にお越しいただきました。事業を通じて顔見知りになった方々もたくさんいらっしゃいます。他のお城イベントでお会いしても本当に嬉しく思います。皆さんの期待を裏切らない活動を今後も展開していきます。

ガイド中(美濃金山城)

ーありがとうございました!

(お話を伺って)

一つの団体だけではなく、複数の団体から成る協議会だからこそ、お互いを尊敬しあうのが大切なのだと感じました。「自分たちの山城は自分たちの手で守る」という信念で結びつき、結果として広域で大きな活動に取り組めるのも素晴らしいです。丹波さんは「結成して7年しか経っていない”若輩者”が受賞しちゃっていいのかな」と恐縮なさっていましたが、「でも素直に喜んじゃおう。これを励みに次のステップに進めたらいいな」と今回の受賞を次につなげる気満々、すばらしいバイタリティです。「はじめは『やらされてる』だった、でも今は『やりたくて』やってる。『ありがとう』という言葉が何より嬉しい」と気持ちの変化を教えてくださった丹波さん。でも、こういった活動の場を与えてもらえた自分のほうこそ「ありがとう」なんだ、と締めくくり照れくさそうに笑ったお顔がとてもすてきでした。

日本城郭協会大賞とは

公益財団法人移行10周年を記念し、日本城郭協会が2022年に開始した城郭文化の振興に貢献した団体及び個人を顕彰する事業です。小和田哲男理事長を審査員長とする審査会にて「日本城郭協会大賞」を選定します。ほかにも、城郭城址の維持・整備を自主的に行うボランティア団体等を賞する「日本城郭文化振興賞」、城郭文化の普及に寄与した個人・団体を賞する「日本城郭文化特別賞」、さらに2023年から城郭管理者として特筆すべき成果を挙げた自治体等を「調査・整備・活用賞」として別枠で顕彰します。

執筆/城びと編集部 取材協力・画像提供/可児市山城連絡協議会

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