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夜の臨港エリアに究極の造形美を見る WILLERが「川崎工場夜景コース」バスツアー 鉄道ファン向けおすすめスポットも【コラム】

鉄道チャンネル

工場前に停車中の「東京レストランバス」。ツアー中1~2回、バスを下車しての撮影タイムが設けられます(写真:WILLER EXPRESS)

154万人都市の政令市・川崎市の夜景観光が話題です。〝工場萌(も)え〟なる言葉も聞かれるほど。真っ暗やみの中、光に包まれる工場は見る人を圧倒するスケール感をもち、文字通りの異空間といえるでしょう。川崎市や川崎市観光協会は、2008年から夜景観光を本格的にPR。10年を超す歴史を持ちます。

しかし、観光地でない工場地帯に簡単にはいかれない。そこで頼りになるのが、旅行会社の夜景ツアーです。今回は高速・観光バスのWILLER EXPRESSが、2022年6~7月に9日間限定で実施する「川崎工場夜景コース」の先行試乗会に参加。鉄道ファンにも見どころいっぱいのツアーをご案内します。

「東京レストランバス」多摩川を渡る

バスは屋根が開閉できるオープントップタイプ。運転席は1階で、2階最前席のWILLER社員がガイドを務めます(筆者撮影)

ツアー名は、「川崎工場夜景コース〝フレンチとお酒と川崎工場夜景を楽しむ夜〟」。乗車するのは1階が調理場、2階が乗車スペースの「レストランバス」。2018年から東京のほか京都で通年運行をはじめ、東京コースは東京駅発でお台場や浅草を訪れるルートを走ります。今回、はじめて川崎を目的地とする工場夜景バスを企画しました。

出発は東京駅前18時。虎ノ門ヒルズ、東京タワーなど東京都心を車窓観光しながら、首都高速に乗ります。ツアータイトル通り、車内ではフランス料理を提供。このあたり、各地で人気の観光列車ツアーと同趣向でしょうか。

東海道新幹線や東京モノレールの車両基地を車窓から

首都高湾岸線から間近に見られるのが、JR東海の東海道新幹線大井車両基地やJR貨物の東京貨物ターミナル駅。もう一つ、羽田空港の近くには東京モノレールの昭和島車両基地もあります。

工場や物流倉庫も同じですが、臨海部なら広大な土地を確保できる。東京湾岸は、首都圏鉄道の〝自宅兼オフィス〟といったところでしょうか。

そんなことを思ううち、バスは川崎に到着。川崎の工業地帯は扇島、水江町、千鳥町、浮島の4地区を、バスで2時間ほどかけてゆっくりと回ります。

モニターツアーに定員の17倍の応募者

プラントの夜景。なぜか高層ビルかマンションのように見えてしまいます(筆者撮影)

ここで途中休憩をいただき、川崎の夜景観光がなぜ人気を集めたかを考えます。以前の取材で、ある工場夜景ファンは「工場の明かりは、当然ながらライトアップされたものでない。工場の機器類やパイプ類は規則正しく配置され、〝造形美〟と呼ぶのにふさわしい。季節に連れて表情を変えるのも、工場夜景の特徴。夏がダイナミックなら、冬はSF的な幻想を感じさせる」と語ってくれました。

地元の川崎市も、当初は工場夜景観光がモノになるとは考えていませんでした。ふた昔前の川崎は、〝公害都市〟のネガティブなイメージもありました。そんな殻を打ち破ろうと2008年、試行的に実施した工場夜景モニターツアー。募集45人のところ767人もの応募があり、川崎市の観光関係者は成功を確信したのです。

煙突から時おり炎が吹き上がる「フレアスタッグ」。可燃性の余剰ガスを燃やして大気汚染や悪臭を防ぎます(筆者撮影)

夜の川崎貨物駅を見る

話をWILLER EXPRESSの夜景バスツアーに戻して、鉄道ファンの視点でワンポイント。川崎市の工場地帯を走る鉄道には、京急大師線とJR鶴見線(路線は川崎市川崎区と横浜市鶴見区にまたがります)ですが、もう一つJR貨物の東海道線貨物支線(東海道貨物線)、そして同社グループの神奈川臨海鉄道の浮島線・千鳥線があります。

貨物駅は、工場地帯のど真ん中。ツアーは駅見学などはなく、線路を何回かわたるだけですが、貨物列車ファンの皆さんなら想像がふくらむでしょう。

バスは一部、JR鶴見線に並行するルートも走ります。「都会のローカル線」ともいわれる鶴見線。工場夜景とは別に、一度は〝乗り鉄〟してみたい路線です。

JR川崎駅前にゴール

バスは、川崎の工場地帯を行ったり来たり。水江町と千鳥町では、それぞれ10分程度の撮影タイムが設定されます。最後はいったん東京都内に戻り、羽田空港から再び首都高に乗って川崎駅前にゴール。帰りの電車内(もちろん自宅でも)でデジカメの撮影画像を見れば、川崎夜景観光の思い出がよみがえるでしょう。

ここでお詫びです。最初に「WILLER EXPRESSは2022年6~7月に9日間限定でツアー実施」と書きましたが、既にすべて満席です。WILLER東京オフィスの話では、8月以降もツアーを継続するそうなので、気になる方はぜひホームページをチェックしてください。

さらに、川崎夜景観光でもう一題。日本旅行は2020年12月と2021年7月、「貸切列車で行く夜の鶴見線探訪港湾・工場夜景の旅」を発売。いずれも募集開始直後に定員いっぱいになる人気で、ファンからは再催行を望む声があがりました。

今回、日旅秘書広報部に問い合わせたところ、「現時点で企画はありませんが、今後も鉄道ファンの皆さんにフィットするツアーを打ち出したい。よろしくお願いします」とのこと。期待して待ちたいと思います。

日旅の「夜の鶴見線ツアー」。車両は今や首都圏では珍しくなった205系電車3両編成、行き先表示は「団体」です(写真:日本旅行)

記事:上里夏生

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