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【アオーレで知ろーれ】地元医師会らが糖尿病に関する正しい知識を発信(新潟県長岡市)

にいがた経済新聞

手足のしびれ、かすむ視界、ふとした疲れ——。
それは、知らぬ間に進行する糖尿病の合併症のサインかもしれない。全国に約1000万人、予備軍も含めるとおよそ2000万人にのぼる糖尿病患者は、今も静かに増え続けている。糖尿病の怖さは「血糖値が高いこと」そのものではなく、その先に待つ合併症にある。細い血管が傷つく「細小血管合併症」では、神経障害による手足のしびれや痛み、感覚の鈍さが現れ、重症化すると足の壊疽(えそ)や切断に至ることもある。腎症は腎臓の働きを徐々に奪い、人工透析を余儀なくされる。網膜症は視力を奪い、失明に至る例も少なくない。そのような合併症の発症を防ぐには、正しい知識と日々の心がけが欠かせない。

糖尿病やその合併症の予防をテーマにした啓発イベントが11月8日、アオーレ長岡で開かれ、医師らが所属病院の垣根を越えて生活改善の大切さを訴えた。主催は長岡市医師会と長岡ブルーライトアップ委員会。ホワイエでの血糖測定のほか、理想的な食品サンプルの展示などを実施。午後1時30分からは「糖尿病と運動」などをテーマに、合併症経験者の体験談も交えた実践的な内容を、長岡赤十字病院糖尿病内科の鈴木裕美氏らが講演した。

栄養士の説明に真剣に耳を傾ける来場者

1987年、多くの市民に糖尿病やその合併症について理解を深めてもらいたいという思いから始まったこの催しも、今年で38年目を迎えた。新潟県長岡市のリリックホールで開催される「糖尿病を知る会」と併せて、現在は年に2回ほど行っている。多い年で300人以上の来場があるという。「合併症を予防して健康寿命を延ばそう」をスローガンに、行政や医療・職能団体の関係者も広く参画し、糖尿病やその合併症について地域ぐるみでの理解促進を目指す。

講演は多くの来場者が参加した

「糖尿病で一番怖いことは、糖尿病の恐れがあるにもかかわらず、健康診断に行かなかったり、途中で治療を中断してしまうことだ」と、長岡中央綜合病院糖尿病センターの八幡和明センター長は話す。患者が途中で治療をやめてしまう理由については、転勤や引っ越し、家庭の事情などで通院が難しくなるといった環境要因のほか、薬代や検査費が長期的にかかるため、経済的な負担が大きくなってしまうことなどが挙げられる。また、入社前の健康診断で糖尿病が判明すると企業が採用を取り消してしまう事例もあり、「糖尿病=働けない」という誤ったイメージが、患者を医療から遠ざけてしまっている。八幡センター長は「なるべく症状が軽いうちに見つけて、軽いうちに治療してほしい」と話す。

「本当に怖いのは治療中断。なるべく軽いうちに見つけて、軽いうちに治療してほしい」と語る八幡和明センター長

長岡市内から参加した60代女性は「今回初めて参加した。医師や栄養士の両方から幅広く話が聞けてよかった」と話し、50代女性は「前から聞いていたことを改めて再確認できた。まあまあ良かった」と笑顔を見せた。

(文・写真 湯本泰隆)

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