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2歳でも「歩けなかった」息子、PT(理学療法)リハビリ2回目で、突然の〇歩…!

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2歳でも「歩けなかった」息子、PT(理学療法)リハビリ2回目で、突然の〇歩…!

監修:室伏佑香

東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科/名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程

とにかく遅い運動発達。首が据わらない・お座りできない・立っちできない……

わが家の息子ねこ太は現在小学校1年生。ADHDグレーゾーンで特別支援学級に在籍しています。ねこ太は在胎27週930グラムで産まれた早産児で、NICU(新生児集中治療室)・GCU(回復治療室)で約3ヶ月間の入院を経験しています。

NICUを卒業する時に主治医から「ねこ太くんは運動発達が遅いと思います」と言われていました。
NICUで教わった運動発達を促すマッサージを毎日行いながら様子を見ていたのですが……私の想像していた以上に運動発達が遅い!

あまりにも首がグラグラしているので、何度も主治医にいつ頃首が据わりそうかを聞いていました。結局首据わりは生後9ヶ月、自力で座れるようになったのは生後11ヶ月、ハイハイし始めたのは1歳0ヶ月の時でした。
早産児は本当に運動発達が遅いんだなと実感しました。

「いつになったら歩けるんだろう?」運動発達の遅れに不安が増す日々

ねこ太は、1歳2ヶ月の時につかまり立ちができるようになりました。平均より少し遅いけど、ようやく立てるようになったと安心したのを覚えています。あっという間につたい歩きもできるようになり、もうすぐ1人で歩けるようになるんだなと思っていました。

でも、そこからなかなか歩けるようにならず3ヶ月に1度の早産児健診のたびに主治医に相談をしました。
主治医からは「もうすぐ歩けそうだから、もう少し様子を見ましょう」と言われたので、私はできるだけねこ太が体を動かせるよう、支援センターやショッピングモールのキッズコーナーに連れて行きましたが、あまり効果は得られず。
周りの子に触発されて歩かないかな? という期待とは裏腹に、何ヶ月経ってもねこ太は歩けるようにはならなかったのです。

歩けないまま2歳を迎え……

ねこ太は、歩けないままついに2歳の誕生日を迎えました。
同じくらいの月齢で歩けない子は周りに1人もいなくて、さすがに不安でいっぱいでした。

主治医からも「そろそろPT(理学療法)リハビリを開始しましょう」と言われ、医療型児童発達支援センターを紹介されました。
ねこ太が紹介された施設は幼児の機能訓練に特化した施設です。とても人気で予約がかなり先まで埋まっている施設なのですが、運良く1枠空きがありすぐに通えることになりました。

幼児の気持ちに寄り添ったリハビリで、息子のヤル気を引き出してくれたPTの先生に感動!

PT(理学療法)の先生と1対1でリハビリが始まりました。
手を繋いで歩いたり、跳躍器具を試してみたり、滑り台を滑ったりして軽く体を動かしたあと、1人歩行を促す訓練をしました。訓練と言ってもまだ2歳なので大人のリハビリのような訓練はできず、自分のやりたい事しかやってくれません。そのため、先生は幼児でも楽しみながらリハビリをできるように工夫をしてくれました。

ネコ太が受けた訓練の一つを紹介すると……
台を2つ用意して50センチほど離して置きます。1つの台の上に、ボールが入ると音が鳴るおもちゃを置き、もう1つの台の上にはボールを置きます。そうすると、子どもはおもちゃにボールを入れたくてボールを取りに行き、そして、おもちゃの台まで移動するという仕組みです。その移動の際に、絶対にハイハイをしないように先生が少し補助しながら立って歩くように働きかけるのです。

単純な仕組みですが、ねこ太はとても楽しそうにリハビリを受けていて感動しました。

衝撃! 通い始めて2回目で歩けるように!!

初回のリハビリはとにかく楽しく終えて、1週間後に2回目のリハビリをしました。
なんと驚くことに、2回目のリハビリでねこ太が歩けるようになったのです!

今までどれだけ歩行を促しても歩けなかったのに、リハビリに通ってたった2回で歩けるようになるなんて信じられませんでした。
「こんなことならもっと早くにリハビリを受けていたら良かった」と思いましたが、歩けるようになるタイミングもあるでしょうし、この時はこれが良いタイミングだったのかもしれません。

PTの先生の指導が本当に上手だったことと、ねこ太が歩けるタイミングが重なったことでこんなに早く成果が出たのだと思います。歩けるコツを掴んだねこ太はあっと言う間にグングン歩くようになり、今まで行けなかった公園にも行って世界が広がりました。

そして世界が広がったねこ太の多動が始まるのですが、それはまた別の機会にお話ししたいと思います。

執筆/鳥野とり子

(監修:室伏先生より)
ねこ太くんが歩けるようになるまでの発達過程と、理学療法のご様子を共有くださり、ありがとうございます。
ねこ太くんが動き回れるような環境に連れて行ったけれど、あまり効果がなかった、と書いてくださっていますが、とり子さんがしてくださっていたことは実はとっても大事なことです。
「はいはい」をたくさんすることで、歩くための筋力、腕と脚の協調運動、地面から受け取る触覚などの感覚、バランス感覚などが養われます。ですから、こういった経験を通して、ねこ太くんは歩く準備を着々と進められていたのだと思います。

理学療法士さんは、ご本人にとって少し難しいこと、でも頑張ればできることを課題として設定し、お子さんを楽しませながら、上手に本人の頑張りを引き出してくれます。実際にリハビリを行う時間だけでなく、ご自宅で実践できる訓練のアドバイスもとても貴重だと思います。リハビリ開始の年齢は、運動発達の状況や、リハビリのできる施設の受け入れ状況によっても異なりますので、運動発達で気になる点がある場合には、地域の発達センターや保健師、小児科医などに相談してみてくださいね。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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