【佐倉市】自然に根付く環境を整え クマガイソウを保護
繁殖力や環境変化に弱い上に盗掘が多く、国の絶滅危惧種となったクマガイソウ。
この花を守ろうと活動する佐倉の「花の里プロジェクト」を紹介します。
受粉確率わずか1割 発芽にも特殊な条件
クマガイソウの花は美しいけれど蜜を出しません。
袋状の花弁の中に蜜があるように見せかけてマルハナバチを誘い込みます。
写真1ではだまされたハチが、ちょうど今、花の上の隙間からはい出そうとしています。
この時にハチの背中に粘着性の花粉が付きます。
花粉を背負ったハチがもう一度、別の花に潜り込み、狭い隙間の近くにあるメシベに花粉を付ければ受粉は成功です。
蜜がないのに何度もだまされるハチも少ないので、受粉確率は約1割と低いのです。
種は微細で軽く風に乗って広範囲に飛びますが、発芽にはある種の菌類の助けが必要です。
このため人工的な育苗に成功した事例はまだありません。
佐倉の自生地にはその菌類が豊富らしく、新しい実生の株を毎年発見することができます。
佐倉は日本一級の多様な遺伝子の宝庫
種が芽生えると地下茎の先端に新芽を作り、茎数を増やして群落を作ります。
福島大学の調査では、佐倉で採集した各群落の葉片36の全てが別々の遺伝子と分かりました。
その多様性は日本一級です。
多様な遺伝子は環境変化などにも強いので、今後は日本のクマガイソウの絶滅を防ぐ要因になるかもしれません。
自生地の竹林を守るのも一苦労
自生地は佐倉里山自然公園の竹林ですが、民有地です。
地主の協力で「花の里プロジェクト」が竹を自由に切って間引くなどの手入れをしています。
クマガイソウの保護とはすなわち竹林の整備です。
木漏れ日を好むので、タケノコを適度な間隔で残し、古い竹との世代交代を図ります。
「それなのに勝手にタケノコを掘ってしまうやからが多いのが悩み」とプロジェクト代表の坂本文雄さん。
同会では4月の開花期間中に竹林を開放して来訪者に保護の協力をお願いしています。
今年は約750人が訪れました。(取材・執筆/夕凪)
写真提供/坂本文雄さん
※問い合わせ
メール/saka.nabana@catv296.ne.jp
花の里プロジェクト 坂本