愛猫を遊ばせるには『危険なキャットタワー』とは?3つの特徴 起こり得るトラブルも
1.安定性に欠ける
キャットタワーには、「突っ張りタイプ」と「据え置きタイプ」、主に2種類があります。
「据え置き型」のメリットは、設置やお手入れが簡単で、体型や年齢を問わず、幅広く対応でき、種類が豊富なことです。
一方、床と天井を支柱で固定する「突っ張りタイプ」のメリットは、「据え置きタイプ」に比べると、ステップの位置が高いことで、高所好き、活動量の多い猫にピッタリです。また、スマートなつくりになっているので、必要以上に場所を取りません。
それぞれに長所はありますが、気をつけたいのは、安定性の問題です。
「据え置きタイプ」は、しっかりした土台であっても、想定外の地震が起きると、転倒してしまう恐れがあります。大型のキャットタワーが倒れれば、愛猫も、飼い主さんも下敷きになりかねません。
ケガを避けるためにも、耐震マットを土台の下に敷くなど、普段から万全な地震対策が不可欠です。
「突っ張り型」に関しては、長く使用するにつれ、固定した状態が緩んだ結果、傾いたり、倒れたりする場合もあります。さらに、梁や桁以外の場所に設置すると、不安定になってしまうことも注意点のひとつです。
安定性に欠けるキャットタワーは、思いがけない事故につながります。「据え置きタイプ」「突っ張りタイプ」、どちらを選ぶにせよ、安全面だけは十分に留意したいものです。
2.キャットタワーのまわりが危険物だらけ
運動が得意な猫でも、キャットタワー使用中に、ステップを踏み外したり、飛び損ねたり、あるいは、寝相を変えた拍子に、落下することもあります。
もしキャットタワーまわりに尖ったモノや陶器、ガラス製品などを置いていたら、誤って落下したとき、ケガを負いかねません。ストーブやヒーターなどの暖房器具だった場合、火傷や火災の危険性も高まります。
予期せぬ危険を回避するには、キャットタワーまわりにはモノを置かない、日頃から整理整頓する、以上の2点がとても大切です。
なお、キャットタワーの設置場所としては、脱走対策済みの窓際や部屋全体を俯瞰(ふかん)できるところなどが挙げられます。落ち着いて過ごせるうえに、飼い主さんを確認できる位置が理想的です。
3.愛猫の実状に合わないキャットタワー
キャットタワー自体には問題がなくても、愛猫の実態に合っていなければ、危険につながるケースもあります。代表的なのは、多頭飼いで「突っ張りタイプ」を使用するときです。
「突っ張り型タイプ」は、「据え置きタイプ」よりも耐荷重レベルが低く、たとえば、ひとつの場所に複数の猫が集合してしまうと、最悪の場合、倒れてしまう可能性があります。
「突っ張りタイプ」を選ぶ際は、支柱やステップの強度を確認したうえで、複数の支柱がある、ネジで天井に固定できる、という点に注目してみてください。間違って落下したときに備えて、タワーまわりにクッション性のあるマットを敷くのも効果的です。
ちなみに、子猫をはじめ、メインクーンやラグドールなどの大型種、動きの少ないシニア猫については、高さが控えめで、安定感のある「据え置きタイプ」がうってつけです。
特にシニア猫や、スコティッシュフォールドなど関節炎を起こしやすい猫では、スロープ付きのものや段差が低く細かいものなど、関節の負担になりづらいキャットタワーを選びましょう。
年齢や体格、猫種、日頃の運動量、あるいは、おうち環境などによって、ふさわしいキャットタワーも違ってきます。飼い主さんはその点をよく考えて、愛猫に最適なものを選ぶようにしましょう。
まとめ
野生時代から、猫は木を登ったり、降りたり、上下運動が好きな動物です。キャットタワーを上手に使えば、愛猫の健康維持にもつながります。
今回は、危険性のあるキャットタワーについて解説しました。キャットタワーを選ぶ際には、安定性はもちろんのこと、タワーまわりに危ないモノを置かない、さらに愛猫の実状に合っている、この3つの基本方針を心がけてみてください。
(獣医師監修:唐野智美)