サックス奏者・千野哲太 芸術の秋ツアー2024 ファイナル東京公演開催に向けたインタビュー公開
今月末に控える芸術の秋ツアー2024 ファイナル東京公演。千野哲太自身が思い入れのある会場と語る「浜離宮朝日ホール」での開催に向け、ステージへの期待を聞いた。改めて語るサックスの魅力、本公演の聴きどころは……。
ーー千野さんといえば、プロフィールにもある通り本当に幅広く、さらには新しいことも交えながら活動されている印象があります。全国各地を回ってストリートライブを行ったり、コロナ禍ではいち早くライブ配信を始めた先駆者である千野さんですが、千野さんにとって"コンサート"とはどのような存在なのでしょうか。
僕にとってコンサートが音楽活動の中心です。全ての音楽がそこにつながっていると思っています。聴く側と奏でる側がその時間同じ場所に閉じ込められていて、音楽は時間芸術と言われるように、時間が進むことと戻れないことがコンサートの面白いところだと思っています。それでいうと路上ライブとライブ配信も似た部分は持っていますが、やはり同じ空間で音楽しかできない状態が作り出す集中力はコンサートでしか得ることができません。各々の好みの音はオーディオ機器でも感じることができますが、何をしていてもコンサートで時間を共有する喜びを求めずにはいられません。
ーー昨年はZeppでツアーを開催されていましたが、ご自身にとって、ライブハウスでの演奏とコンサートホールで演奏する時の違いはなんでしょうか。
これはどちらが良いということではなく、でもどちらにしかないものがあります。コンサートホールで鳴らした音は聞き馴染みのある音と感じることが多く、ホールは僕の育った場所という感覚が強いです。普段練習で鳴らしている音と会場で鳴らしている音は違くて、その会場に合わせて音をその場で作っています。理屈ではなく感覚で変化していますが、コンサートホールだとその感覚がより自分の繊細な部分まで使える、そんな感覚はあります。
ーー新しくファンになったり、今回初めてコンサートに来る方もいらっしゃると思います。千野さんが考える、サックスの魅力を教えてください。
色気だと思います(笑)色気というのは見た目もそうですが、人でも何にでも果敢にチャレンジして器用にやってのけることに男女問わず色気のような魅力を感じることが多いです。一筋縄では片付けられないというか、簡単に理解はできない感じ。他の楽器だと派手でかっこいいサウンドとか、甘く柔らかい音色が魅力とか表現することをよく聞きますがそれらに特化するのも素敵という前提で、サックスは華やかにいながらも口説くような妖艶な音色ももっている”恋人のそばにいてほしくない人”みたいな人を惑わす魅力を持っていると思います。でも僕は自分の音を客席で聴いたことがないので、みなさんに生で聴いてサックスの魅力を僕に教えて欲しいです。
ーーラドンナ原宿、そして大阪公演に続くツアーファイナルとなる本公演。主にクラシックのコンサート会場として有名な浜離宮朝日ホールでの開催です。千野さんにとって思い入れのある会場だとSNSで拝見したのですが、詳しく聞かせていただけますか。
そうなんですよ! 先ほど育った場所と言いましたが、バンドマンは”俺らの育った箱”という感覚の箱を持っている人が多いように、僕にとって浜離宮朝日ホールも特別なホールです。中学生の頃に少しピアノを触っていて、コンクールで関東一位みたいなのを受賞させてもらったことがあります。そのホールが今回の浜離宮朝日ホールです。あれから14年……。ホールにも成長した姿を見せられたら良いなと思いますし、なんか縁起のいい印象なので自分の音がどうホールで響くのかとても楽しみです。
ーー10月29日に開催されるファイナル東京、どのような公演になるのでしょうか。
クラシックのホールといわれますが、ラドンナやZEPPの時のようにバンドと一緒に演奏します。てか浜離宮ってクラシックしかやっちゃいけないと思っていたのですがそんなことないんですね。バンド編成は変わらないとはいえ芸術の秋ツアー2024は、ライブレストランのラドンナ原宿、大阪は教会、そしてファイナルは縁起と響きのいいホールとそれぞれの場所で全く違うサウンドをお届けできそうです。僕自身未知の世界だったりしますので、とても新鮮な気持ちで皆さんと一緒に音楽を楽しみたいと思っています。新曲も演奏予定です。今年の他のライブはゲストソリストをお呼びしていますが、今回は純粋に僕の音楽を感じていただきたいですね。
ーー最後にご来場いただくお客様にメッセージをお願いします。
まごうことなき今年最大のライブになります。去年ポピュラー音楽のライブを始めてから、音楽やライブへの考え方がガラッと変わりました。あと実は藝大を卒業したくらいから音楽への向き合い方にずっと悩んでいて楽しさにピンと来なかったのですが、素晴らしいバンドメンバーにも恵まれてこのツアーが始まってから音を出すことが本当に楽しいです。ラドンナに来てくださったお客様からも”あんなに楽しそうな千野さん見たことない”と言われてしまうくらい、隠せないほどの楽しさが滲み出て恥ずかしいです。今だけの音楽だなって思います。どんなに忙しくても、どんなに遠くても、初めてのライブで勇気が必要でも、今回ばかりは是非たくさんのお客様に来ていただきたいです。会場でお待ちしています!