Yahoo! JAPAN

春アニメ『クジマ歌えば家ほろろ』クジマ役・神月柚莉愛さんインタビュー|どんどんクジマ化していく収録現場。村瀬歩さん、阿座上洋平さんとのアドリブ合戦に大奮闘!?

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

小学館の月刊漫画雑誌「ゲッサン」にて、2021年10月号から2024年5月号まで連載された『クジマ歌えば家ほろろ』(著:紺野アキラ)のTVアニメが現在絶賛放送中です。

本作は、謎の生き物「クジマ」が若干ぴりついた空気が流れる鴻田家に居候し、新しい風を吹き込むホームコメディー。

本稿では、謎の生き物・クジマ役を演じる神月柚莉愛さんのインタビューをお届けします。クジマを通して、役との向き合い方に変化が起きたという神月さん。共演者の村瀬歩さん、阿座上洋平さんとの、まるで鴻田家のような収録エピソードにもご注目ください。

 

 

【写真】『クジマ歌えば家ほろろ』神月柚莉愛がクジマの語尾に込めたこだわり【インタビュー】

心がくすぐられるような生き物らしさを表現できれば

──はじめに、本作に初めて触れたときの印象を教えてください。

クジマ役・神月柚莉愛さん(以下、神月):実は、オーディションを受ける前に、Xでおすすめに流れてきたのが初めての出会いでした。クジマを初めて見たときは、鴻田家のみんなと一緒で「なんだこの生き物は!?」と思いました。

クジマという不思議な存在がいるにもかかわらず日常が自然に描かれており、まるで現実にもクジマが存在しているかのように感じられる、作られすぎていない自然な世界観がとても素敵だと考えています。

最初はクジマが何なのかわからずに戸惑っていましたが、クジマを知るたびに愛が増して、今では愛おしい存在です。

──クジマは謎めいた存在であるだけに、オーディションでのアプローチは難しかったのではないでしょうか。

神月:紺野アキラ先生のXからクジマの絵を拝見しましたが、私自身もクジマがどう話すのか、どんな声を出すのかと全然わかりませんでした。

オーディションの際に、“こういう感じで”という指定が資料に記載されていたので、無理に形を作るのではなくまずは求められている声質を忠実に再現するところから始めよう、と考えました。そのうえで、スタッフさんや原作者の方がイメージするクジマの声にどこまで近づけることができるかにものすごくこだわりました。

──クジマの声については、具体的にどのようなイメージが示されていたのでしょうか。

神月:NHKで放送されている「グレーテルのかまど」という番組の“かまど”の声っぽく喋ってください、とのことでした。

あとは、オーディション原稿の中にもロシア語で喋るシーンがあって、ロシア語のときは声が低くなりますとも書かれていました。

──最初の段階から、結構具体的なイメージが提示されていたのですね。

神月:そうなんです。だからこそ、私らしさを消して忠実に再現するしかない、と思いました。1つボイスを録ったらすぐ聞いて、また1つボイスを録っては聞いて…を繰り返しながらオーディションテープを録っていきました。

──マスコット的なかわいい声なのかな?と思ったら、意外とそうではない感じも……。

神月:私もはじめは、見た目はちょっと怖いけど声はかわいいのかな?と思って資料を読んでいたので、意外にもそうではないということに驚きました(笑)。

でも、何かを発見したり驚いたりするときに「わぁお!」とちょっとかわいい声も出すんです。心がくすぐられるようなクジマらしさを表現できればとこだわりました。

──少し怖い見た目をしていますから、神月さんのお声とお芝居でどのように映るのか注目ですね。

神月:声も合わせてクジマの本当の魅力や、内に秘めたかわいさが少しでも伝われば良いなと思っています。

 

クジマの語尾に込めたこだわり

──先ほど、オーディションでもロシア語のセリフがあったと話されていましたが、神月さん自身はロシア語に触れたことは……?

神月:今回が初挑戦でした! オーディションのときに「ロシア語があります」「ロシア語はこういう感じで」と資料に書いてありましたが、すべて耳で覚えないといけなくて。全部、自分の耳に聞こえたカタカナで書き起こしました。

もうクジマの収録は終わっていますが、今オーディションの際のボイスを聞くと、ロシア語がめちゃくちゃです(笑)。

一同:(笑)。

神月:当時はロシア語を勉強すらしていなかったので……クジマ役に決まってから少しずつ勉強しました。

──どのような方法で勉強されていたのですか?

神月:アルファベットと同じように読み方から覚えていきました。でも、クジマのセリフに集中しないと!という意識が大きかったので、台本を見ながら少しずつロシア語を学んでいったという感じです。

もちろん、ロシア語監修の方が常についてくださっていたので、収録前に録音されたものをずっと耳で聞いて覚えて、とても心強かったです。

──お〜!

神月:でも、ロシア語よりも、もっと難しいことがあったんです。

──それは何でしょう?

神月:ロシア語よりも、ロシアの方の日本語訛りがすごく難しかったです。

1話の収録の際に「これはロシアの方の日本語訛りではない」と監修の方からご指摘いただきまして。

テストをやった後だったのでそこから全部変えて、もう1回テストからやり直しました。

──ロシアの方の日本語訛りにはどのような特徴があるのでしょう?

神月:ロシアの方は、文章の2文字目を上げる方が多いそうです。たとえば、アメリカや中国の方の場合は「ワタシ↑ハ」になるところを、ロシアの方は「ワタ↑シハ」と2文字目が上がる特徴があるとのことでした。

自分には慣れない訛り方だったので1話の収録は大変だったのですが、2話以降では自分でロシアの方のYouTube動画で日本語訛りを研究して、台本にもイントネーションが上がる部分に赤丸をつけて自分の目でわかるようにしながら何とか乗り越えました(笑)。

──すごく難しそうです……。他にも、クジマ特有の喋り方やアクセントで工夫されているポイントはあったのでしょうか?

神月:そうですね……たとえば、「楽しいネ」の“ネ”がカタカナになっていると、「楽しいネェ〜」ではなく「楽しいネッ↑」と上げてたりしています。

カタカナは私の中ですごくかわいいイメージがあって。クジマっぽさを語尾に表せられるように、ちょっとこだわりました。

──ロシア語だったり、日本語訛りだったり、語尾だったりと気をつけなければならないことがたくさんあるので、台本への書き込みがかなり多そうですね。

神月:実は私、台本の書き方を今までとは変えて、記号で表すようにしたんです。

──“記号”ですか?

神月:はい。今までは、“ここはこういう気持ち”とセリフの頭に書いていましたが、どうしてもごちゃごちゃしてしまうので、上がるところは赤丸にて、感情的な部分はニコちゃんマークで表現して、語尾の上げ下げや伸びは矢印で表すようにしました。

なので、意外と台本はサラッとしています。誰かに台本を見られたら、「どういう意味なんだろう?」と思われますね(笑)。

 

 

トイレットペーパーの芯が役づくりのヒントに!?

──テクニカル面以外で、監督さんから何かディレクション等はありましたか?

神月:アドリブあり、何でもありの自由な現場でしたので、とにかくやりたいようにやらせていただきありがたかったです。

──クジマを演じる際、心がけたことがあれば教えてください。

神月:クジマは仲間の群れに戻るための練習で日本に来ているので、新鮮さを忘れないように心がけました。

きっとクジマからしてみたら何もかもが新鮮に感じられると思うので、童心にかえるといいますか、子ども心をもう一度掘り起こそう、と。

あとは、“クチバシ”を意識しましたね。

──“クチバシ“ですか?

神月:はい。私はクチバシを持っていないので(笑)。

一同:(笑)。

神月:クチバシがある芝居はどういう感じなんだろうと、まずは自分がクチバシを体験しないとわからないこともあると思って、トイレットペーパーの芯を口に当てて喋ったりしてみました(笑)。

見ている方にクジマの魅力がさらに伝わるように、密かに研究したのが懐かしいです。

──トイレットペーパーという物理的な方法で感覚を身につけたのがすごいです。

神月:本当に体験してみないとわからないこともあるので、もし鳥のような役を演じることがあれば、トイレットペーパーの芯をおすすめしたいと思います(笑)。

──また、本作はクジマが鴻田家にやってくるところから物語は始まりますが、クジマと出会い、家に連れ帰ったのが鴻田新(CV:村瀬歩)です。クジマを演じる神月さんからみた鴻田新の印象を教えてください。

神月:村瀬さんは本当に飾り気のないナチュラルな声質で新を演じられていて、新とクジマというファンタジーな生き物との対比がものすごくわかりやすくなっていると思います。

村瀬さんのもともとの声質もありますが、すごくナチュラルに物語に入っていけるような感じが出ていて。一緒にやっていて、“こういう声質でいかれるんだな。じゃあ私は思いっきり人外としてクジマを演じよう!”という気にさせていただきました。

アフレコ中の雑談で「村瀬さんはいろんな声が出せますね」とお話させていただいたときに「今回の物語はクジマが主導で動いてくれているから、クジマに合わせてやっているだけだよ」と当たり前のようにおっしゃってくださって。

私にはその技量がなく、今はまだ突っ走ることしかできていないので、一緒にアフレコをさせていただいたおかげでとても勉強になりました。

──すごく良い現場だったのですね。

神月:はい。収録の最中は、新だけでなく、音響監督の岩波さんまでもがどんどんクジマ化していく現場でした(笑)。

──(笑)。本作の見どころについてもうかがえればと思いますが、特に印象に残っているシーンはありますか?

神月:やり取りとしては、「おはよう」「行ってらっしゃい」を一緒に言うセリフが印象に残っています。

私はまだ現場経験が少ないので、これまでのアフレコ現場ではマイク前で目を合わせて言うことが多かったのですが、今回の現場は目も合わせなくても、まるで阿吽の呼吸のようになぜか呼吸が合ったんです。

村瀬さんがわかりやすく大きく息を吸ってくださったので「あっ今だ!」と察知することができてたのですが、今まで私が経験してきたものとは違った、“呼吸が合う”感覚をすごく感じました。

また、クジマが暴れると“まぁまぁまぁ”と落ち着かせてくれる新のように、現場でも私がロシア語でピンチに陥ると村瀬さんが「大丈夫!できるよ!クジマならできる!」と優しく励ましてくださいました。

おこがましいかもしれないのですが、作品の中でも作品を録るうえでも、新を演じる村瀬さんとはかけがえのない相棒のような、家族のような存在としてとても楽しく収録させていただきました。

 

クジマから教えてもらったこと

──クジマと新はもちろん、新の兄である鴻田英(CV:阿座上洋平)との関係性の変化も本作の見どころの1つです。

神月:阿座上さんとは初めて共演させていただきました。英の声はいつもの阿座上さんの力強さがありつつ、“こういう人いるよね”と思わず感じるようなナチュラルさもあります。

とてもイメージ通りの声といいますか、英の絵と声がこんなにもピッタリ合うことはあるのかと思うほど阿座上さんの声質とお芝居が素晴らしくて、英に怒られるシーンの時も嬉しくなりました(笑)。

一同:(笑)。

神月:カオスな状況をすぐに受け入れてくれる新、自由なクジマ、そこにやっとツッコミ役が来てくれるので、「待ってました〜!」と私自身もすごく楽しく収録させていただきました。

常に言い合いはしていますし、なぜかクジマは英にライバル意識を持っているので喧嘩も絶えませんが、回数を重ねていくうちにクジマと英の犬猿の仲がどのように変化していくのかを楽しみながらご覧いただけたらと思います。

──初共演の阿座上さんとの掛け合いはいかがでしたか?

神月:意外とアドリブが多かったです。別録りの日もありましたが、一緒に収録をするときには打ち合わせもないのに、テストでクジマがキレると英もそれに乗っかってキレていました(笑)。

私が1回ものすごく無茶振りをしたことがあって、事前に決めていないセリフを思わず言ってしまったのですが、それにも乗っかってくださって。

“お兄ちゃんがいたらこういう感じなんだろうな”と収録を通して思いました。本当の家族のような一体感を感じられる本当に温かい現場でした。

──アドリブ合戦、すごく楽しそうですね(笑)。

神月:アドリブのセリフも事前にだいたいは考えていましたが、村瀬さんがポンっと出してくるセリフに喰らいつくのに結構必死で(笑)。

今回の現場は本当にアドリブに強い方々がたくさんいらっしゃったので、絶対に私もくらいついてやる!という気持ちが強かったです。

──神月さん自身、楽しみながらもいろいろな経験ができたのですね。

神月:新しい経験がたくさんありました。今までまったく喋らない猫だったり、焼き鳥になってみたりといろいろ演じさせていただいたのですが、自分の声を変えるということがあまりなかったので。

今回のクジマは私にとって、かなり挑戦的な役でした。

オーディションを経て役が決まってからも、ここはこうなんじゃないか、ああなんじゃないかとずっと考えていたんです。

でも、あるときにふと、クジマは作りすぎないほうが良いのではないか、考えすぎたらそれは作りものになってしまうのではと気がついて。

原作に合わせてクジマのセリフを読んでいくうちに、わざわざ頑張って声を作らずとも、いつの間にかクジマの声がすぐ出るようになり、クジマと一緒に過ごしているような感覚が生まれました。

──素敵なお話をありがとうございます。クジマのことをすごく理解していらっしゃって、大切にされているのだなと感じました。

神月:ありがとうございます。クジマの2番目の理解者として、紺野アキラ先生の後に続くことができたら嬉しいなと思います(笑)。

──先ほど、クジマが自然とできるようになったとおっしゃっていましたが、日常生活でクジマが思わず出てきちゃうようなことはありましたか?

神月:あります! よく叫ぶようになりました。

今までは、嬉しくなると「うわぁ、嬉しいなぁ〜」と軽く身震いするような感じでしたが、喉が鍛えられたのか、全力の「やったー!」を叫ぶようになりまして(笑)。

あとは、喉がよく鳴るようになりました。普通に叫ぶだけだとどんなに声を作っても人間がただ叫んでいるようになってしまうので、巻舌ではなく、喉の奥を鳴らせるように鍛えたんです。

その結果、日常生活でも出るようになってしまって……それはちょっと私生活に支障をきたすといいますか、普通に喋っているのに鳥っぽさが出てしまうので、少しずつ落ち着かせていけたらなと思っています(笑)。

──そういえば、公式コメントにて、“幼少期に必死で練習した巻舌がクジマでとても活きました”とおっしゃっていましたね。

神月:小さい頃から負けず嫌いで、父と母が讃美歌を歌っていたのですが、そこで初めて巻舌というものを知りました。父と母が巻舌を得意げに自慢してきて、小学2年か3年の頃だったと思うのですが、それがとても悔しくて。

とにかく父と母がやっているのを真似して、母にコツを聞いたら「"プリン”と言い続けていたらできるよ」というアドバイスをもらって。それからずっと“プリン”と言い続けていたら、あるときから巻舌ができるようになりました。

なので、クジマの巻舌ができるようになったのは、父と母と、私の負けず嫌い精神のおかげです(笑)。

──たくさんのお話をありがとうございました。最後に、『クジマ歌えば家ほろろ』を楽しみにしている方へメッセージをお願いいたします。

神月:原作に忠実といいますか、紺野アキラ先生の世界観をそのままアニメ化したような魅力あふれる作品となっております。

謎の生き物である「クジマ」が登場するからといって身構える必要はなく、『クジマ歌えば家ほろろ』という作品を純粋に気楽な気持ちで見ていただければ、クジマや鴻田家のみんなと同じ気持ちになれると思います。

原作をご存知の方は「このシーンだ!」と楽しめますし、まだ原作を読んだことがない方も朗らかな空気感を楽しむことができるアニメです。

いろいろな魅力が詰まった素敵な作品になっておりますので、ぜひリラックスして楽しんでいただけたらと思います!よろしくお願いいたします。

 

おすすめの記事

新着記事

  1. 毎日配信!少年アシベ「パパのプレゼント」森下裕美/ゴマフアザラシの“ゴマちゃん”をめぐる名作ギャグ4コマ

    ふたまん++
  2. 「TOKYO IDOL FESTIVAL 2026」交通広告が東京テレポート駅に登場!井上和、福田ひなたらが夏らしいビジュアルでPR

    WWSチャンネル
  3. 【逗子 ショップレポ】アリレイナ逗子店 - 髪や頭皮の悩みの解決策がここにあるオージュアソムリエのサロン

    湘南人
  4. 【千葉県立美術館・取材レポート!】印刷博物館の名品コレクションで出会う、美しき印刷の世界

    イロハニアート
  5. ジェマ・ルイーズ「今日はすっぴんでカツ丼」ファン歓喜の声「あり得ん可愛さ」

    WWSチャンネル
  6. 【動画】大阪梅田駅直結の阪急ターミナルビル屋上で恒例「阪急トップビアガーデン」

    OSAKA STYLE
  7. 伏見|老舗パンメーカーが本気で作った厚切りトーストとビーフシチューがたまらないカフェ

    ナゴレコ
  8. 沖縄の強烈な紫外線に負けない!友利新先生が教える回復ケアと予防策

    OKITIVE
  9. 【阿賀町・芦沢高原ハーバルパーク】ペットとのお散歩もOK! 開放的で豊かな自然に囲まれたハーブ園

    日刊にいがたWEBタウン情報
  10. 心の病の「豊かさ」を読む──斎藤環さんと読む、中井久夫の著作 #1【別冊NHK100分de名著】

    NHK出版デジタルマガジン