「鮎の塩焼きだけじゃない?」あらゆる焼き魚にあう『蓼酢(たでず)』は身近な野草で自作可能
あまり知名度は高くないけれど、日本食に欠かせない調味料である蓼酢。実は安価に自作することが可能です。
鮎の塩焼きに欠かせない調味料「蓼酢」
皆さんは、アユを食べる時に「謎の液体調味料」を皿に添えられた経験はありませんか?
一見するとポン酢のようにも見えるそれは、しかしよく見ると全体が爽やかな緑色をしており、食べると口の中にジワッとした辛味が広がります。
この調味料は「蓼酢」と呼ばれるもの。爽やかな青い香りと、ワサビとも唐辛子とも異なるような後を引く辛味が、アユの塩焼きに大変良く合うのです。
実はどんな魚にも合う
この蓼酢は、アユの塩焼きに欠かせない調味料として、ある程度本格的なお店では必ず備えられます。そのため「アユ専用の調味料」と思われがちですが、実際はどんな魚にも合います。
蓼酢の青い香りは、特に淡水魚特有の臭みを和らげる力を持ちます。消臭するというよりも、その臭いを「好ましい個性」に昇華してくれるのです。
またその爽やかな辛味は、脂っこい魚を食べる時にも非常に役に立ちます。一口ごとに口の中が蓼酢でリセットされ、いくらでも食べ進められるようになるのです。
自作も可能
この蓼酢、家庭にも常備できると便利なのですが、購入するとなかなか高価です。またそもそも日持ちがしないため、売られていること自体多くありません。
そのため、食べたければ自作をするのがオススメです。蓼酢の原料はヤナギタデという野草で、大都会にも普通に生えています。湿り気のある場所を好み、川の畔のような場所に群生しています。
蓼酢づくりにはヤナギタデの葉を利用します。すり鉢に葉と米酢、色落ち防止の炊いた白飯を少量入れてすり混ぜ、濾せば完成と非常に簡単。魚を買ったり釣ったりした帰り道に河川敷に立ち寄り、蓼酢の材料を摘んで帰るというのも乙なものかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>