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激辛ブームの聖地「京都向日市激辛商店街」を10年ぶりに訪問したら衝撃を受けた / そして出会った奇跡の麻婆豆腐

ロケットニュース24

「京都向日市激辛商店街」を知っているだろうか。

京都府向日(むこう)市を舞台に2009年からスタートし、今ほど一般的でなかった激辛グルメで町おこしに成功した激辛ブームの聖地的存在。

筆者にとっても、学生時代に訪れ「ヒィ~~ッ」と悲鳴をあげた思い出のスポットなのだが……あれから10年ほどが経ち、ふと思い出した。

そういえば最近めっきり名前を聞かなくなった気がする。街は、店は、激辛は、今どうなっているんだろう?

・激辛商店街へ行ってみた

筆者の記憶が正しければ、京都向日市激辛商店街は市内に加盟店が点在するようなスタイルだったはず。

中でも阪急東向日駅の目の前にある「ライフシティ」やその周辺は活発に活動していて、のぼりや看板が置かれて盛り上がっていたんだっけ。

ということで、やってきたのは阪急東向日駅。

あぁ~、懐かしいな。駅の雰囲気は10年前からほぼそのままだ。

そうは言っても時は流れるもので、駅のすぐ隣にあった喫茶店は閉業し オシャレな立ち飲み屋「すいば」に変わっている。

バスや電車を待つ間にクイッと1杯やれるのは嬉しいかも。立ち飲み屋なら気を使わなくていいし、価格もリーズナブルで利用しやすそうだ。

駅からまっすぐに進むと、交通量が多いわりに信号のない交差点が目に入る。

そうそう、王将もあったよね。中華ならライフシティにある「珉珉」に行くから利用したことはないけど。

そこから西へと進むと、懐かしきライフシティと激辛商店街が待ち受けている。

…………はずだった。

心の底から驚いた。そこには「激辛商店街」の「辛」の字すら見当たらず、なによりもライフシティがあった場所が……

更地になっていたのだから。

・激辛商店街がない

えっ、嘘でしょ、ここにあったじゃん。激辛商店街ののぼりが、「激辛注意」の看板が、オリジナルキャラクター「カラッキー」の看板が。

なんで?

なんで何もないんだ??

場所を間違えたのか、それとも自分の思い違いなのか? それにしても向日市まで来たのにのぼりひとつないなんて、狐につままれたような気分である。

首をかしげながらライフシティ(があったはずの場所)と駅を何度も行き来しているうちに、交差点で交通整理をしていた警備員の男性に声をかけられた。

警備員「自分、なに探してんの?」

──このあたりに激辛商店街ってありませんでしたっけ?

警備員「あぁ、アレな。激辛商店街はな、もうここにはないんだわ

──えっ、ない……!?

警備員「そうそう。この辺りもね、ずいぶん変わったんだわ。あそこに見えるやろ。大きなマンションが建って、ライフシティも全部解体されて」

警備員「線路の向こう側(東側)に続けてるとこもあるけどね、数店舗だけやね。もうないんですわ、激辛商店街は

礼を言ってその場を離れたが、「激辛商店街はもうない」という言葉があまりに衝撃的で言葉を失ってしまった。

一時期のブームよりは縮小しているだろうと予想していたが、まさか「ない」だなんて。

調べたところによるとライフシティは2020年に店じまいし、2023年末にかけて解体されたのだそう。つい最近までは面影は残っていたんだな。

──気持ちがしぼんでしまったが仕方ない。

警備員さんの話によると 完全になくなったワケじゃなく「線路の向こう側には続けているところもある」そうなので、せめてその店を訪問して帰ることにしよう。

トボトボと歩いて線路をまたぐと、2分もしないうちにあるものが目に入った。

おやっ、「とんかつ ひまわり」の店先にあるのぼりって……

激辛商店街じゃん!!

それだけではない。激辛担々麺や麻婆豆腐で数え切れないほどの人を泣かせてきた激辛商店街の主力選手「中国料理 麒麟園(きりんえん)」も、

激辛健在っ!!!!

筆者が駅前でモタモタしている間に どちらも昼の営業を終了してしまっていたのだが、そんなことはこの際どっちでもいい。

……いや、食べたかったからどっちでもよくはないのだが、それでも激辛商店街ののぼりをこの目で確認できただけでも向日市まで来た甲斐があった。再訪問すればいいだけのことだ。

JR向日町駅まで来ると、見覚えのあるキャラクターが目に入った。

……そう、冒頭でも言及していた激辛商店街オリジナルキャラクター「カラッキー」である。

色あせてはいるがモニュメントも残っている。

胸を張り堂々と立つその姿は歴戦の兵士のよう。向日市は激辛を辞めたわけではないのだ。

帰宅後に調べたところ、激辛商店街の加盟店リストが公式サイトに掲載されていた。

マップが作られた2022年1月時点では、50店舗ほどが特別メニューを提供していた模様。ライフシティがなくなった後も赤い血筋は脈々と続いているのだ。

・激ウマ麻婆豆腐と奇跡の出会い

激辛商店街が残っていたことに安心はしたものの、筆者の口はすっかり辛い物の気分でノリノリになっている。

叫び出したいような衝動を抑えながらGoogleマップを開いたところ……車で15分、京都市伏見区で奇跡的に名店を発見してしまった。

「麻婆豆腐専門店 からいもんや」という名前の通り 麻婆豆腐の専門店なのだが、

税込950円の麻婆豆腐を+100円で激辛にしたものがこちら。

この黒っぽい色の麻婆豆腐を見た瞬間に「コレ……ガチやんけ!」と直感した。

旨味・辛み・コク・香り・そして痺れ。

温度に錯覚してしまうほどの辛さを持つ麻婆豆腐を 白米の上に載せてかき込むと、食べるごとに身体が熱くなり、毛穴という毛穴から汗が噴き出してくるのがわかる。

胃の中でくすぶるような刺激があるが、そんなことには構っていられないほどに旨い、旨い、旨い!

激辛欲も食欲も満たされたおかげで多幸感に包まれ、東向日駅で感じた寂しさははるか彼方(かなた)へと押し流されていった。

なお、更地となったライフシティ跡には今後マンションが建つらしい。

「推しは推せるうちに推せ」ではないが、気になっているスポットは形あるうちに行くべきだと改めて感じた次第。

近いうちに筆者は再び向日市へ行き、麒麟園の担々麺に挑戦するつもりだ。

参考リンク:京都向日市激辛商店街、麻婆豆腐専門店 からいもんや
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.

▼麻婆豆腐専門店 からいもんやの注文システム。辛さや痺れの量を調整できるだけでなく、ご飯か麺を選べる。マジでおすすめです!

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