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虎杖の“現在地”とリアリティを生む「ノイズ」の芝居――TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」連載インタビュー第1回:虎杖悠仁役・榎木淳弥さん

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」が、2026年1月8日(木)より放送中です。

放送にあわせ、アニメイトタイムズでは連載インタビューを実施。第1回は虎杖悠仁を演じる榎木淳弥さんの登場です。

史上最悪の術師・加茂憲倫が仕組んだ殺し合い「死滅回游」。その中心に立つ主人公・虎杖を演じ続けてきた榎木さんに改めてお話を伺いました。

「幼さの残る高校生」だった虎杖は、どのように成熟していったのか。「渋谷事変」での絶望を経て、どこへ向かおうとしているのか。脹相や乙骨との関係、芝居に込めた「ノイズ」の正体、そして榎木さんが語る『呪術廻戦』の魅力とは?

【写真】TVアニメ『呪術廻戦』第3期 榎木淳弥と虎杖悠仁の“現在地”【インタビュー】

成熟した虎杖が「死滅回游」に挑む

ーーTVアニメ第3期「死滅回游 前編」が放送開始となりました。まずは、現在の心境をお聞かせください。

虎杖悠仁役・榎木淳弥さん(以下、榎木):ここからは作品の雰囲気がガラッと変わります。皆さんにどう受け止めてもらえるかなというドキドキも大きいです。映像的には、MAPPAさんがすごいものを作ってくださっているので、その辺りはこれまでと変わらず、より繊細なところまで届けられるんじゃないかなと。早く全話観ていただきたいですし、既に自分自身も先を観たい気持ちがあります。

ーーどんなところに雰囲気の変化を感じたのでしょうか?

榎木:「死滅回游」には、これまでにないゲーム性がありますよね。ルール自体は難しいんですが、そこを細かく理解していなくても楽しめると思います。あとは、登場キャラクターの変化。いままで登場したメンバーも虎杖の周りにはいないので、「死滅回游」のルール下で新たに出会う術師たちとの戦いが中心になっていきます。

ーーこれまでの虎杖の道のりについては、どのように感じていますか?

榎木:序盤は普通の高校生だったので、今観るとだいぶ幼い印象があります。「死滅回游」に入るまでの間に様々な経験をして、だいぶ成熟してきたかもしれません。実は声のトーン的にも、今のほうが出しやすいんです。

ーー初期は彼の幼さを意識して演じていた部分もあったのでしょうか?

榎木:意識はしていませんでしたけど、勝手に反映されていたと思います。今のほうが、精神的な面で自分に近いような感覚がありますね。

ーー虎杖のターニングポイントとして、「渋谷事変」は外せないと思います。第3期に先駆けて、『劇場版 呪術廻戦「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」』も公開されました。

榎木:時間的にはかなり短くなっていますが、その分名場面を凝縮した内容になっていました。見応えという意味では、すごく濃い内容ですよね。「渋谷事変」を全く観ていない人には少し難しいかもしれませんけど、TVシリーズを通して観た方には分かりやすかったんじゃないでしょうか。

ーー虎杖の心情を軸とした編集でもあるので、その後の「死滅回游」へも入りやすい印象でした。

榎木:「死滅回游」の冒頭でも虎杖が手を洗うシーンが印象的に描かれていて。「渋谷事変」との対比や繋がりを感じるような演出になっていたと思います。

虎杖と脹相、乙骨と虎杖

ーー「死滅回游」では、冒頭から脹相と過ごすシーンが描かれます。改めて、脹相の印象をお聞かせください。

榎木:最初は敵として出会っているので、協力関係になってもそこまで信用しきれないとこがあって。脹相が好意や愛情を隠さずに表現する中で、虎杖は素直に返せないという状況です。一方で「死滅回游」の脹相は、虎杖のメンタルを支えてくれている存在でもあって、信頼関係を築き始めているようにも感じます。それこそ、虎杖が素直な気持ちを表現するシーンも少しだけ出てきますし。

ーー脹相にお礼を言うシーンですね。

榎木:そういう意味で、戦闘的にも精神的にも、脹相は良い相棒としての立ち位置にいると思います。

ーー初対面となった乙骨憂太の印象はいかがでしょうか?

榎木:僕自身は『劇場版 呪術廻戦 0』や原作も知っているのですが、虎杖にとっては初めての遭遇なんですよね。このふたりが初対面だったことに少し驚いたというか。しかも、最初は殺しに来るみたいな感じで(笑)。彼の性格を考えると、「意図があっての行動なんだろうな」とは思っていましたけど。

ーー変わらない乙骨の姿に安心した視聴者も多いと思います。

榎木:キャラクターとしては、『劇場版 呪術廻戦 0』の頃から根本的な部分は変わっていないですよね。ただ、髪型もちょっと変わっていますし、見た目の変化からも大人っぽさが表現されているのかもしれません。あまり虎杖と一緒に行動するわけではないんですけどね(笑)。実はふたりが会話するシーンも少ないんですよ。乙骨と虎杖って、実は合わないんじゃないかなと。

ーー相性的な話ですか?

榎木:そうですね。このシーンではっきり分かった気がします。やっぱり伏黒の方が虎杖を分かっているというか、乙骨の言葉は全く刺さっていないんですよ。

ーー乙骨の「君は悪くない」という言葉が虎杖には響かない。

榎木:乙骨は虎杖を理解したいという姿勢でいてくれますけど、同じような境遇であっても、このふたりは全然似ていないかもしれないですね。

虎杖は助けることでしか自分を肯定できない

ーー「渋谷事変」を経て、虎杖の目標や生きがいも変化している印象があります。

榎木:結局は自分のためな気がします。祖父から言われた言葉は、未だに彼の中に残っていて。今回は伏黒の「まずは俺を助けろ」という言葉に希望を見出していました。自分はまだ人を助けることができるのかもしれない、と。

ーー伏黒が虎杖の“理由”を作ってくれている。

榎木:現実にも「誰かを助けることで自分の存在意義を感じる人」っていると思うんです。人を助けることが、自分を満たすことになる。虎杖というキャラクターは最初に死刑宣告を受けていて、自身の存在を否定されるところから始まっています。だからこそ、自分の存在をどうにか肯定したいという気持ちがある。「渋谷事変」のEDテーマである羊文学さんの「more than words」の歌詞は、まさに虎杖の精神性を表現していると思った記憶があります。

ーー特別編集版でも効果的に使用されていました。

榎木:まさにあの曲通りの心情なんだろうなって。誰かの言葉を何度も思い返す、自分を愛したい・信じたいとか。そういう意味で、虎杖は人を助けることでしか自分を肯定できないのかもしれません。

ーーそんな彼の気持ちをどのようにお芝居で表現していくのでしょうか?

榎木:芥見先生が何を伝えたくて描いているのかは考えますね。もちろん無目的に描かれる名作もあると思いますが、『呪術廻戦』は伝えたいことがしっかりとあるタイプの作品だと思います。

ただ、作品のメッセージとキャラクターの想いが相反することも少なくないんです。そこは難しい部分ですが、基本的には、作者の伝えたいことに矛盾しないように役を作っていきます。

虎杖のリアリティを創る「ノイズ」

ーー虎杖のお芝居について、物語が進むごとに生っぽさが増しているように感じます。「渋谷事変」を劇場で見てみると、実写作品のような味わいもありました。

榎木:劇場とテレビで鑑賞する場合で、生っぽさが変わってくるかもしれないですね。例えば「渋谷事変」のラストで真人を追い詰めるシーンは、自分の想定よりも生っぽくない芝居になっていると感じました。テレビは人によって視聴環境が変わるので、どうしてもアフレコ現場で録ったものにノイズキャンセリングなどを施して、見やすくなっていると思うんです。そういう意味では、自分はノイズを大事にしている気がします。

ーーノイズですか。

榎木:ノイズを極力キャンセルした芝居が、アニメらしい芝居だと僕は思っていて。とはいえ、先ほども言ったように編集が入りますから、TVアニメでやるのはあまり効果的じゃないかもなと。その辺りは演技するうえで難しい部分ですね。

ーー榎木さんが大事にしているノイズとは、具体的にはどのようなものでしょう?

榎木:要は「狙ってお芝居をしない」みたいなことだと思います。どうしても台本を読むと、アニメ作品のセオリーと言いますか、頭の中で「こうやったら上手くいく」という音のラインが流れるんです。

ーーアニメとしての正解が台本を読んだ瞬間から分かる。

榎木:今までの芝居の蓄積から、ほぼ全ての声優さんに聞こえていると思います。演技が上手い方はそのラインをあえて崩して、印象付けているんですよね。僕自身は「一体どこを走っているんだろう?」くらいを狙っているというか。なるべく自分の脳内に流れてくる音声を消したいんです。

ーー役者さんならではの興味深い感覚です。正解のラインからどこまで逸脱するのか。

榎木:作品によりますけどね。作品にとって、真っ直ぐな正解が良いものである場合もありますし、逆に抑えてもらったほうが上手くいくこともあります。

そのうえで、「演技じゃない部分を見たい」と思うことがあって。演技をしているんだけど、その人の普段の生活や人間性が見える瞬間が好きなんです。

ーー最後に、榎木さんが考える『呪術廻戦』の魅力やテーマをお聞かせください。

榎木:それこそ、今言ったように“芥見先生”が見える作品だと思います。作品を読んでいて、当時ハマっていたものや描きたいことが伝わってきますよね。最初から一本道の物語ではなかったような気がしていて。紆余曲折を経て、大きなテーマを描いている作品だと思います。そういった作家性を感じる部分が魅力ではないでしょうか。

[インタビュー/タイラ]

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