六六堂パン制作所
2025年11月18日、平塚市日向岡の閑静な住宅街に、ハードパン専門店「六六堂パン制作所」がオープンしました。
家の外観に合わせたモスグリーンのトレーラーハウスが目印で、工房兼店舗として営業しています。
今回は、仕込み中のオーナー・今村暢男(いまむらまさお)さんに、パン作りや店づくりへの想いを伺いました。
横浜から平塚へ。暮らしの変化が、店づくりの原点に
今村さんは、もともと宝石や時計、貴金属の買取業に従事していました。
結婚しお子さんを授かったことを機に、横浜から平塚市日向岡へ移住します。
日向岡は、バブル期に建てられたカラフルな三角屋根の家々が並ぶ住宅街。
現在はシャッター商店街となっているエリアもあるそうですが、どこか時間が止まったような独特の景観と、落ち着いた雰囲気が魅力です。
平塚駅まではバスで約25分と便利とは言えませんが、その分、穏やかな空気が流れています。
この場所を気に入り移住した今村さん一家。
7年前、こだわりの自宅を建てた当時は、自宅の一角でパン屋を営むことになるとは想像していなかったそうですが、「いつかは起業したい」という思いは以前から持っていたといいます。
「このままではいけない」と感じたことが転機に
前職では通勤に往復4時間かかり、就業時間も長く、子どもと接する時間がほとんど取れない生活が続いていました。
息子さんが3歳になった頃、「このままではいけない」と感じ、仕事を見直すようになります。
そのときに基準にしたのが、
① 子どもと過ごす時間をつくること
② 自分が本当に好きでやりたい仕事であること
③ 家族に経済的な不安をかけないこと
この3つでした。
憧れのパン屋が、次の一歩を後押しした
もともと二宮町の「ブーランジェリー ヤマシタ」のファンだった今村さん。
異業種からパン職人へ転身し、人気店を築いた姿に憧れ、パン屋を志すようになります。
修行先として選んだのが、平塚市の「ブーランジェリー ユイ」。
約3年間、パン作りの基礎を学びました。
サラリーマン時代と比べ、朝は早くなったものの、その分仕事が終わるのも早くなり、夕方以降の時間を子どもと過ごせるようになったそうです。
ハードパン専門店「六六堂パン制作所」
こうしてついに誕生したのが、「六六堂パン制作所」。
ゴロンと大きなカンパーニュを主役にした、ハードパン専門店です。
画像出典:六六堂パン制作所
今村さんのカンパーニュは、水・国産小麦粉・塩・ライ麦から起こしたルヴァン酵母のみを使用。
長時間低温発酵で仕込み、富士山溶岩窯でじっくり焼き上げています。
シンプルな材料構成だからこそ、小麦の味や香りがダイレクトに感じられる仕上がり。
「自分の息子にも安心して食べさせたいパンを作りたい」という思いが、この製法につながっています。
富士山溶岩窯で焼くパンの魅力
店内には、今村さんが「憧れだった」という富士山溶岩窯。
電気釜と比べて内側から一気に熱が入るため、焼き上がりが早く、最初は焼成のタイミングを掴むのに苦労したそうです。
その分、遠赤外線で焼き上げたパンは、香ばしさと食感のバランスがよく、「実はお酒も好き」という今村さん、「おつまみにも合いますよ」と話してくれました。
朝から焼き上げるカンパーニュ
六六堂パン制作所では、朝からカンパーニュを焼いています。
「カンパーニュを、食パンのようにもっと身近に食べてほしい」という思いもあってです。
現在は、カンパーニュのほか、ミルクフランス、キャロットケーキ、火曜・水曜限定の塩パンなど、約10種類が並びます。
今村さんひとりで製造・販売を行っているため、その日のすべてのラインアップが朝9時の開店時に揃います。
画像出典:六六堂パン制作所
画像出典:六六堂パン制作所
画像出典:六六堂パン制作所
画像出典:六六堂パン制作所
オープンから約1ヶ月ですが、9時の開店と同時に人が並び、お昼頃には売り切れてしまう日がほとんどだそうです。
看板のカンパーニュはルヴァン含有率約30%で、酸味が強すぎず、小麦の風味をしっかり感じられる味わい。
早い日は9時半ごろに完売してしまうこともあるため、確実に購入したい方は、Instagramのハイライト「予約について」を確認のうえ、取り置きがおすすめです。
今後は、状況を見ながらメニューを厳選していく可能性もあり、フードロスを減らすために、将来的には受注生産へ切り替えることも検討しているとのこと。
キャロットケーキや保存方法にも、細やかな配慮
画像出典:六六堂パン制作所
意外な人気メニューが、カルダモンを効かせたキャロットケーキ(700円税込)。
使用しているにんじんは、お店の向かいの畑で育ったもの。「今後はもっと地消地産も意識していきたい」と考えているそう。
私も取材中に端っこを味見させていただきました。
想像よりもスパイスが効いた、ケーキというよりはしっかりとした食事の味わいです。
画像出典:六六堂パン制作所
ルヴァン入りのパンは湿気に注意が必要ですが、「固くなったら霧吹きで軽く湿らせて焼き直すと、焼きたてのようなふわふわの食感が戻ります」と、保存やリベイク方法も丁寧に教えてくれました。
購入したお客さんには、パンをおいしく食べるためのプリントを配っているそう。
見た目を裏切る、やさしい食べ心地のカンパーニュ
さっそく購入した看板商品のカンパーニュ(1,000円税込)とクルミとレーズンのカンパーニュ(1,200円税込)をいただきました。
まず驚いたのは、その大きさです。
ライターと並べてみると一目瞭然で、想像以上に大きく、ずっしりとした重みがあります。
スライスしてトースターで焼いてみると、表面はカリッと香ばしく、中はふわっと軽い食感。
見た目はしっかりとしたハードパンですが、口にすると印象が大きく変わります。
「こんなにおいしいハードパンは初めて食べた」と話していたのは、76歳の母。
歯があまり丈夫ではない母でも、無理なく噛めて、最後までおいしく食べられたのが印象的でした。
噛めないほど固いのではなく、きちんと噛むと砕け、もぐもぐと食べ進められる。
“ハードだけれど、やさしい”、そんな食べ心地です。
味わいはとてもシンプル。
噛みしめるほどに小麦の風味が広がり、酸味はほとんど感じません。
ほんのりとした甘みがあり、粉そのもののおいしさをじっくり楽しめます。
個人的には、このシンプルで食べ応えのあるカンパーニュがとても気に入りました。
ぜひトーストして食べてほしい一品です。
一方、クルミとレーズンのカンパーニュは、甘みとコクのある味わい。
噛むほどにクルミの香ばしさとレーズンの甘さが広がり、こちらは母が特に気に入っていました。
どちらのパンも、周りのカリカリとしたクラスト部分がとてもおいしく、最後まで飽きずに食べられます。
ハードパンに少し苦手意識がある方にも、ぜひ一度試してみてほしいです。
今回食べたカンパーニュは、日持ちもして、リベイクするとおいしさがよみがえるのも印象的でした。
店頭は早い時間に売り切れてしまうことも多いですが、オンラインショップでも購入することができます。
▶ 六六堂パン制作所 オンラインショップ
https://www.rokurokudo-bread-factory.com/on-line-shop/
店名に込められた家族への想い
「六六堂」という店名は、2人の息子さんの名前に共通して「六」が入っていること、そして自宅前で営む店が、息子たちにとって「御堂」のような身近で大切な存在になれたら、という思いから名付けられました。
「子どもが育つ環境で商売をするということは、失敗できない、というプレッシャーもあります。もし、親がやっているお店のことでいじめられたりするようなことがあったら…… とかいろいろありますよね」と今村さんは冗談ぽく話します。
それでも実際には、息子さんたちは友達にうれしそうに「お父さんがパン屋を始めたんだよ」と話してくれたり、「手伝いたい!」と言ってくれたりしているのだそう。
ロゴデザインも今村さん自身が制作。
家族で飼っている保護猫もモチーフになっており、LINEポイントで交換できるグッズにも猫ちゃんたちが登場しています。
ちょっと辺鄙でも通いたくなるお店
決して便利な立地とは言えませんが、それでも足を運びたくなる理由が、六六堂パン制作所にはあります。
今村さんのお子さんは、2人とも未熟児で生まれたのだそうです。
「それもあって、家族の時間を大事にすることを考えるようになったのかもしれないと思います」と話してくれました。
子どもと過ごす時間を大切にしながら、無理のないペースで店を続けていくこと。
その考え方は、パン作りや店のあり方にも自然と表れています。
取材中も終始、穏やかで気さくに話してくれた今村さん。
家族へのやさしさにあふれた、そのあたたかい人柄そのままのパンでした。
画像出典:六六堂パン制作所
最寄り駅
JR東海道本線, 平塚駅
住所
〒254-0905 神奈川県平塚市日向岡1丁目10-7
駅徒歩
平塚駅北口から神奈川中央交通バス「日向岡一丁目」バス停徒歩2分
営業日
火曜日, 水曜日, 木曜日, 金曜日, 土曜日
営業時間
9:00〜16:00
営業時間詳細
※終了時間より前に売り切れることもあります。
定休日
月曜日, 日曜日, 年末年始
定休日詳細
※最新のスケジュールはInstagramでご確認ください。
予約
ネット予約, 電話予約
電話番号
0463-38-8455
受付開始
登録なし
受付終了
登録なし
予算(下限)
500
予算(上限)
3000
支払い方法
現金, クレジットカード, 電子マネー, QRコード決済
席の種類
個室
貸切
貸切不可
喫煙可否
駐車場
有り
最大駐車台数
1台
設備・サービス
コース内容
ドリンクメニュー
利用シーン
アクセス
サービス
テイクアウト
お子様連れ
可能
公式サイト
https://www.rokurokudo-bread-factory.com/, https://www.instagram.com/rokurokudo_bread_factory/
開業年月日
2025-11-18