歌舞伎座『八月納涼歌舞伎』第二部にて、『日本振袖始』・『火の鳥』の上演が決定
毎年、恒例の三部制で多彩な演目を届けている、歌舞伎座『八月納涼歌舞伎』。この度、2025年8月興行を盛り上げる『納涼歌舞伎』第二部で上演される2作品が発表されました。
古事記・日本書紀に記された出雲の八岐大蛇(やまたのおろち)伝説をベースに近松門左衛門が書き上げた『日本振袖始』(にほんふりそではじめ)。日本神話のなかでももっともよく知られる「素盞嗚尊(すさのおのみこと)の大蛇退治」を脚色した、古風な雰囲気溢れる人気作を中村七之助の岩長姫実は八岐大蛇、市川染五郎の素盞嗚尊という清新な配役で上演する。
今回は、自身が岩長姫実は八岐大蛇を勤めながら上演を重ねてきた坂東玉三郎の監修により、七之助が妖艶な姫の姿から恐ろしい大蛇へと変貌する女方の大役を、染五郎が生贄となった愛する稲田姫を救うため大蛇に対峙する勇ましい素盞嗚尊を、それぞれ初役で勤める。岩長姫の美しい踊りや、七体の分身となる大蛇と素盞嗚尊の大立廻りなど、歌舞伎の様式美とエンターテインメント性に満ちた見どころ満載の舞台を堪能できる。
続いて、ロシア民話などで知られる「火の鳥」の伝説をもとに新たに書き下ろされた新作歌舞伎『火の鳥』を上演。坂東玉三郎による演出、優れた新作歌舞伎の脚本に贈られる大谷竹次郎賞(第51回)を受賞した歌舞伎狂言作者の竹柴潤一による脚本、オペラを中心に幅広い舞台の演出を手掛ける原純の演出・美術により、バレエ作品などにも影響を与えた題材が、歌舞伎作品として新たに誕生。
演出も勤める坂東玉三郎が火の鳥、松本幸四郎が大王(おおきみ)、市川染五郎と市川團子が王子・ヤマヒコ、ウミヒコ兄弟を演じる、豪華競演による舞台が実現。病に苦しむ大王(幸四郎)の命により、永遠の力を持つという火の鳥を探す旅にでる兄ヤマヒコ(染五郎)と弟ウミヒコ(團子)。次期王位の座をかけた二人は、ある日、黄金に輝くリンゴの木のもとで、世にも美しい火の鳥に出会う。我先にと火の鳥を捕らえようとする二人の王子、そして醜い争いを続け、永遠を求める人間たち。火の鳥が人間たちに伝える“真の永遠”とは…。幻想的な音楽と壮大な舞台に期待しよう。