バルサに攻勢を仕掛け、ゴールを脅かしたWings U-12が掲げる「個を伸ばす指導」
8月19日から22日の日程で開催されたジュニアサッカーワールドチャレンジ。ラウンド16でFCバルセロナと対戦したのが、Wings U-12(千葉)です。
試合は0-3で敗れましたが、前半開始直後から雷による中断までの7分間は良いリズムで攻撃を展開し、バルサゴールを脅かす場面を作り出しました。
バルセロナを相手に真っ向勝負を挑んだWings U-12の高橋慎一監督と選手たちに、試合を振り返って感想を聞きました。
(取材・文:鈴木智之 写真:兼子慎一郎)
指導者インタビュー
■相手の技術・判断力の高さを実感
――バルセロナとの試合はいかがでしたか?
高橋監督 雷での中断前は良い手応えを感じていて、そのままの流れで再開後もいけると思っていましたが、私たちのプレッシャーを上回る技術力と判断力を見せつけられました。うちは前からのプレッシャーを得意としていますが、バルサはそのプレッシャーをかわす力が非常に高かったです。
――4-3-3のシステムで臨まれましたが、戦術的な狙いはありましたか?
高橋監督 普段からこのシステムでやっています。偶然ではありますが、相手と同じ形になったので守りやすいかなと思っていました。しかし、それを上回られてしまったというのが正直な感想です。
――バルセロナの戦術で特に印象に残ったことは?
高橋監督 中盤の選手たちのプレッシャー回避能力が、非常に高かったです。そこで振り切られてからサイドの裏を使われ、失点につながりました。セカンドボールの回収率も高く、そこからまた外を使って攻められたのが印象的でした。
■自分たちらしさを出すことを重視
――バルサ戦に向けて、1日という短い準備期間で、選手たちにはどんな話をされましたか?
高橋監督 もちろん相手に対する戦術的な話もしましたが、まずは自分たちの力をしっかり発揮しようと伝えました。私たちらしいプレッシャーをかけて相手の自由を奪うことができれば、十分戦えるはずだと話しました。
――メンタル面でバルサの選手から学んだことは?
高橋監督 選手発信でのコミュニケーションの多さ、選手同士のハイタッチ、得点時の喜び方など、チームの雰囲気作りが素晴らしかったです。私たちに最も足りない部分を見せつけられた、勉強になる試合でした。
■個を伸ばす指導方針
――ワールドチャレンジという大会の意義をどう感じますか?
高橋監督 本当にありがたい機会だと思います。普段は8人制ですが、11人制でプレーできることで人数も活動量も増え、選手たちには大きな刺激となり、成長につながる素晴らしい機会です。
――高橋監督の指導で大切にされていることは?
高橋監督 「個人の良さを伸ばす」ことを重視しています。一人ひとりの特長をしっかりと見極めて、それをどれだけ伸ばしてあげられるか、そして次のカテゴリーにつなげられるかを常に考えて指導しています。
――今回の経験をどう活かしてほしいですか?
高橋監督 プレー内容、メンタル面、技術、判断力など、あらゆる面で学べることがあった試合だと思います。選手たちは最大限の力を発揮し、全力で勝ちを目指した結果です。足りない部分もあれば通用した部分もあったので、それらを整理してこれからの成長につなげてもらいたいと思います。
指導者インタビュー
高い身体能力で攻撃をリードし、バルサゴールに迫った、一ノ瀬駿寿選手(フォワード・10番)と、船田強太選手(左サイドハーフ・18番)に話を聞きました。
――試合の感想をお願いします。
一ノ瀬選手 最初の方はペースを掴めていたのですが、2失点目を奪われてからは前に攻めることができなくなって、カウンターをたくさん食らってしまいました。
船田選手 バルサは本当に上手でしたが、いけそうな場面もあったので悔しいです。
――バルサの印象は?
一ノ瀬選手 ボールを上手に隠したりと、一人ひとりの足元の技術があって、パスの質も高く、とても上手でした。
船田選手 足元の技術はもちろんですが、裏への動きを積極的に狙ってきて、そこが強いなと感じました。
――自分のプレーで通用した部分はありましたか?
一ノ瀬選手 1対1の場面や、ボールを隠して背負って落としたり、仕掛けるシーンがけっこうあって、そういう場面では通用していたと思います。
船田選手 左サイドからのドリブル突破は意外と通用していました。
――この経験を今後どう活かしたいですか?
一ノ瀬選手 悔しいけれど、バルサと対戦できたのは本当に良い経験でした。この経験を活かして、全国大会で優勝したいです。
船田選手 ビッグクラブと対戦できて良い経験になりました。これから海外のチームとプレーする機会があれば、この経験を活かして頑張りたいです。
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