いまが買いドキ!? ちょい旧ハーレー調査隊が、今月は「アイアン1200」を調査!
趣味性の高いハーレーとはいえ、私のようなズボラ人間でも気兼ねすることなく乗れそうな「高年式の空冷スポーツスター」にとても惹かれている。中でも、ビッグツインと一緒に走っても置いてきぼりにされそうにない1200ccのモデルが特に気になる。そうなると自然と「アイアン1200」あたりか!? と考えているのだが、「クラブハーレー調査隊」の諸君、アイアン1200が実際どうなのか調査してほしい。よろしく頼むぞ。
隊員A宮|ハーレーの歴史やカスタム系のネタが得意分野だという真性のバイクオタ。愛車は69カマロとXR1000
隊員N尾|ハーレーそのものより、実は周辺の文化やファッション系のネタに通じる隠れミーハー。愛車はXL883改1200
IRON1200の平均価格は? セールスポイントはいかに?
N:今月は「アイアン1200」を調査することに決まりました!
A:確か、ちょうど1年ぐらい前にも調査しているよな?
N:そうっスね。そのときは平均価格が180万円ぐらいで、のきなみ新車価格を上回るプレミア価格だったのが印象的だったッス。
A:最終モデルとなった2021年型の新車価格は142万7800円(※ビビッドブラックの場合)だったからね。いま考えれば、とてつもなくお買い得に感じるな。では、さっそく調査を始めようか。
―1週間経過
N:おなじみの「バイク王」さんによれば、平均価格は【184万9947円】とのことです。
A:アレ!? もしかして1年前とあまり変わっていないのかな?
N:1年前から2万5096円アップとビミョ~に高くなってます。誤差の範囲かもしれないけど。
A:わずかでも価格が安くなってはいないということは、少しずつ上昇傾向なのかも。空冷スポーツスターの中で「フォーティーエイト」や「アイアン883」に次ぐ人気を誇るモデルとはいえ、前出の2機種と比べて販売期間は3年半と短い。そのぶんタマ数が少ないから、プレミア価格になっていくのは必然といえるだろうね。
N:調べたところ、最も安い個体で150万円台、高い個体で240万円台でした。年代ごとで平均価格を出すと2018~19年モデルが185万9000円、20年モデルで208万9000円、21年モデルで219万円。1年前は新車価格に近い個体や300万近い個体もあったけど、現在は価格の幅が狭くなったぶん、全体の価格が上がったような気がしますね。
A:私は主に車両のコンディションやカスタムの有無などを調査したが、激しくカスタムされた個体はあまりない印象だった。カスタムされていても、マフラーやエアクリーナー、それにハンドル程度。それより目立っていたのが、2人乗り仕様になっていたり、小ぶりなビキニカウルが取り外されているなどの小変更。部品の有無によるけれど、どちらもすぐもとのノーマルスタイルに戻せるので、気になる人は販売店に問い合わせてみるといいだろう。
N:アイアン1200は実際のところどうなんすかね?
A:1200でナローフォーク採用モデルはほかにもあるけれど、〝高年式〟にこだわるとコレ一択。探している人はいまのうちに手に入れておくべきかもしれないぞ。
調査協力SHOP
Beat&C世田谷店203
東京都世田谷区等々力2-6-2
TEL03-6432-3480
営業時間:10時30分~19時、10~19時(土、日、祝)
定休日:火曜、第3水曜
価格:195万円
年式:2019年モデル
走行: 7302km
※Beat&C世田谷店にて販売されていたが現在は売約済み
IRON1200の平均価格:184万9947円※「バイク王」が2024年8月~2025年7月末までに販売した車両本体価格の平均値
【セールスポイント①】チョッパー風のポジションに
「アイアン883」と異なっているのが装備されているハンドルバーの形状。スポーティな低めのハンドルを採用する883に対し、1200はミニエイプハンドルを装備してチョッパー風のワイルドさを醸し出している。
【セールスポイント②】近年の1200シリーズで唯一のナローフォークを採用
スポーツスターらしさに欠かせない装備ともいえるナローフォークだが、近年の1200ではこのモデルのみが採用。この車両はビキニカウルを取り外しているので、往年のバイザー吊り下げ式ライトもよく見える。
【セールスポイント③】2人乗り仕様にするのが定番
本来はソロシートのアイアン1200だが、この個体は純正のダブルシートに変更して2人乗り仕様に。実はこうするのがとても人気で、2人乗り仕様に変更された販売車両は少なくない。
【調査報告①】「スポーツスター」の起源とは!?
イギリスの高性能なバイクに対抗するため、スイングアームとリアショックを装備したフレームを新たに開発。さらにミッションを一体式にした排気量750㏄のサイドバルブエンジンを搭載して1952年に登場したモデルが「K」だ。しかし、それでもイギリス車に性能でかなわず、Kの優れた車体はそのままに、サイドバルブよりも効率よく燃焼させることができる「オーバーヘッドバルブ(OHV)方式」のエンジンを搭載して1957年にデビューしたのが「XLスポーツスター」。当時、高性能で人気の高かったイギリス車に勝つべく誕生した渾身のスポーツモデルだった。
1952 K
当時最も高性能といわれたイギリス車を参考にして開発された、ハーレー初のリアサス付きモデル。また、ハーレーで初めてハンドクラッチとフットチェンジを採用したモデルでもあった。しかし750㏄のサイドバルブエンジンでは500㏄のイギリス車に勝てず、1954年に排気量を883㏄に拡大したホットバージョン「KH」も登場。
1957 XLスポーツスター
高性能なKの車体に、サイドバルブと比べて燃焼効率に優れたOHVエンジンを搭載して誕生した“最初のスポーツスター”。ビッグツインエンジン搭載のハーレーよりも運動性が高いのはもちろん、高回転まで回せるエンジンによってイギリス車と遜色のない走りを実現した。ハーレー生粋のスポーツモデルだ。
ビッグツインとはカムの数が違う!!
ビッグツインは1つのカム(※ツインカムは2つ)ですべてのバルブを制御しているのに対し、スポーツスターは高回転域での追従性を重視し、1つのバルブを1つのカムが制御。全部で4つのカムを備えている。またミッションが一体式で軽量かつコンパクトな作りであることも特徴高性能なKの車体に、サイドバルブと比べて燃焼効率に優れたOHVエンジンを搭載して誕生した“最初のスポーツスター”。ビッグツインエンジン搭載のハーレーよりも運動性が高いのはもちろん、高回転まで回せるエンジンによってイギリス車と遜色のない走りを実現した。ハーレー生粋のスポーツモデルだ。
【調査報告②】1957 XLスポーツスター現代のスポーツスターの特徴とは!?
現代のスポーツスターは、デビュー当時の“生粋のスポーツモデル”というキャラクターはなりを潜め、ビッグツインと並ぶハーレー伝統のベーシックモデルとして位置づけられている。その転機となったのは2004年に採用された「ラバーマウントフレーム」だ。03年までのモデルは乗り心地は二の次という印象が否めなかったが、新型フレーム採用によって飛躍的に快適な乗り心地になった。
また、07年には燃料供給方式がキャブレターから電子制御のインジェクションに変わり、乗り心地だけでなくメカニズムも現代の環境やニーズに合わせたモノへと進化を果たしている。
エンジンがゆさゆさ揺れるラバーマウント
ゴム
エンジンとフレームの間にゴム(ラバー)製のアイソレーターという部品を介して、ライダーに振動がダイレクトに伝わることを抑えた。振動すべてをキャンセルするのではなく、心地よい鼓動感は残しているのも特徴。
排ガス規制に対応してインジェクション化!
厳しさを増していく排ガス規制に適合させるべく、2007年モデルからガソリンの噴射量や点火時期など、すべてをコンピューターで制御するフューエルインジェクションが採用された。これによって燃焼効率はもちろん、レスポンスなども向上した。
【調査報告③】「アイアン1200」ってどんなバイク!?
2018年に期中導入モデルとして市場に投入されたのが「アイアン1200」だ。1200㏄のスポーツスターシリーズには当時、前後16インチホイールの「フォーティーエイト」と「1200カスタム」、そして倒立フォークと18インチのリアホイールを採用した「ロードスター」など、カスタム色の強いモデルしかなく、昔ながらのスポーツスターの面影を残したモデルが存在しなかった。単純にモデル名から考察すれば、09年に登場した「アイアン883」の排気量拡大版といえるが、1200㏄で唯一の装備となったナローフォークやフロント19、リア16インチのホイールサイズなど、ベーシックなスポーツスターのディテールを継承したモデルでもある。
人気のカスタムスタイルを盛り込んで登場
「スピードクルーザー」と呼ばれるカスタムが世界的に注目を集めていたことから、それ風にカスタマイズするスポーツスターユーザーも増加。それを受け、アイアン883の基本的ディテールを踏襲しつつも、スピードクルーザー風のエッセンスを落とし込んだ、アイアン1200独自のスタイルが生まれた。
【2018〜2021】アイアン1200
ダイナをベースに製作したスピードクルーザー
スポーツスターをベースに製作した例
【調査報告④】アイアン883とは何がどれぐらい違う!?
エンジンの塗り分けやホイールの仕上げを変えることでひと味違った印象に見せているが、フレームや足まわり、そして外装パーツは基本的に883と共通品。では、何が違うのかといえば、ハンドルとシートの形状、そして「スピードスクリーン」という名のビキニカウルが追加された点だ。加えて、決定的に異なっているのは、排気量差によるバイクそのもののキャラクターの違い。高回転までガンガン回して走る楽しさがある883㏄に対し、1200㏄は高回転ではなく、低中速域の太いトルクを活かして走る、ビッグツインに似た乗り味。高速道路を使って遠出をしたいなら、排気量に余裕のある1200がマッチするだろう。
【2009〜2021】XL883N アイアン883
プッシュロッド以外のすべてを黒で統一した1200に対し、ロッカーカバーの一部とポイントカバーにシルバーを残した883のエンジン。排気量以外にも仕上げが少し異なっている。
【調査報告⑤】アルファベット名はほぼ一緒「XL1200N」とは何が違う!?
アイアン1200には、実は「XL1200NS」という呼称も存在する。社外カスタムパーツの適合表記や中古車市場でもこのアルファベット名で表記されることが多いのでご存じの方も多いだろう。だが、「XL1200N」という名前も存在し、中には「これはアイアン1200なの!?」と、混同してしまう人も少なくないハズだ。このXL1200Nは「ナイトスター」というモデルを指す。もとを辿れば、XL883Nアイアン883のルーツであり、兄弟車ともいえる存在なので、アイアン1200とは違うものの遠くもないという、とても紛らわしい存在。では一体何が違うのか!? あらためて比較してみると、ハンドルやビキニカウル以外は結構似ているかも!?
【2008〜2012】XL1200N ナイトスター
ローダウンシルエットにカット加工を施したようなショートタイプのリアフェンダーなど、アイアン883によく似たフォルムながら、それよりも早くにデビューしたモデル
リアショック
アイアン1200
ナイトスター
どちらもショートタイプながら、アイアン1200は衝撃吸収性能だけでなくダンピング性能も向上したタイプを採用。プリロード調整も無段階で細かく設定できるようになった。
フロントフォーク&ホイール
アイアン1200
ナイトスター
ホイールがスポークとキャストという違いしかないように見えるが、実はフロントフォーク内部はカートリッジ式に。ブレーキはABSになりローターとキャリパーも変更された。
エンジンの仕上げ&エアクリーナー
アイアン1200
ナイトスター
腰下が独特なグレー仕上げのナイトスターに対し、プッシュロッド以外をブラックとしたアイアンのエンジン。エアクリーナーもシンプルなラウンドタイプを採用している。
ソロシートの形状
アイアン1200
ナイトスター
ナイトスターは足つき性を重視したシートを採用。これに対してアイアンは、ガンファイター風で、座面にはダイヤモンド柄のステッチを配した、カスタム感の強いデザイン。
【調査報告⑥】デビュー以降に加えられた変更点は!?
2018年の登場以降、大きな変更点といえばカラーリングぐらいだったが、最後の2021年モデルではスポーツスター全車種がキーレスに。これに伴ってフレームのネック部にあったキーシリンダーが廃止されたほか、セキュリティシステムも標準で搭載された。
〜2020年モデル
2021年モデル
調査結果
販売期間が3年半と短いため、「フォーティーエイト」や「アイアン883」と比べてタマ数は少ないものの、現在中古市場には潤沢に流通しているため悲観するほどではない。とはいえ、人気車種ゆえに回転率がほかのモデルより早く、ノンビリしていると売り切れてしまうので注意。2020年以前の個体で180万ほど、それ以降のモデルは200万円オーバーぐらいの価格帯で推移しているが、今後の流通数によっては価格が上昇していくことも十分考えられる。
プレミア度:★★★★☆
お買い得度:★★☆☆☆
審美眼必要度:★★☆☆☆
(出典/「CLUB HARLEY 2025年10月号」)