「気・血・水」って? ゼロからはじめる薬膳・東洋医学の基本 【NHK明日から使える “新”東洋医学】
日常生活にすぐ取り入れられる東洋医学・薬膳の知恵
近年の猛暑により、今まで常識だと思っていたことだけでは、夏を健康的に乗り切ることが難しくなってきました。夏バテを引きずった「秋バテ」になってしまう方も多いようです。
そこでおすすめするのが「東洋医学」。『NHK明日から使える “新” 東洋医学』テキストでは、医師で大学教授の木村容子さんに夏対策の新しい常識を学びながら、スーパーやコンビニで買える食材を使った、料理研究家のワタナベマキさんによる手軽でおいしい薬膳レシピ、はり師・きゅう師の石垣英俊さんによるツボを刺激しながら行う簡単なエクササイズなど、日常生活にすぐ取り入れられる知恵を紹介しています。
今回は、東洋医学ならではの基本的な概念や用語解説を、テキストより特別公開。まずは、人体を構成する基本要素「気(き)・血(けつ)・水(すい)」。この三要素がバランスよく体内を巡っていると、病気を遠ざけることができます。
「気・血・水」とは
「気・血・水」は、体を構成する基本的な要素であり、人間の生命維持に関わるものです。
「気」とは、生命活動のエネルギーです。体内に気を満たし巡らせていれば、血・水も巡り、私たちの体は病気から守られ、活発に動けます。そのため、気は気・血・水の中でも中心的な役割を担います。「気持ち」「元気」「気合い」などという言葉が表すように、こころの状態にも関わっています。
「血」は、西洋医学の血液と同じく血管内を通る液体ですが、より幅広い概念です。全身に栄養を巡らせたり、潤いを与えたりします。
「水」は、リンパ液や汗など、血液以外の体液のことです。内臓や粘膜、関節などを潤す作用や、余分な水分を排出する働きがあります。
3つの要素は互いに影響し合っていて、どれか1つが不足したり滞ったりすると、心身に不調をきたします。たとえば頭痛の場合、雨や気圧の変化で起こる頭痛は「水」、月経周期に関連する頭痛では「血」、また、気持ちが塞ぎ込んで頭重感を伴う頭痛は「気」の異常によるものと捉えます。
「気」の管理で未病を防ぐ
気には、生まれもった「先天の気」と、生まれたあとに獲得する「後天の気」があります。先天の気は30歳頃をピークとして、以後は年齢とともに減少して、老化に伴う症状が現れますが、飲食物や空気から得られる後天の気を養うことで、気が減少するスピードを緩やかにして、老化を遅らせることができます。
先天の気を無駄に減らさず、後天の気を補うには、日々の生活のしかた、すなわち「養生」が大切になります。
養生の基本は「気」の管理です。気を補うのは食事と睡眠です。補った気を体のすみずみまで巡らせるのが運動です。さらに、感情のコントロールも気の働きを整えます。
気の管理を基本として、血・水の働きも整えるために、「薬膳」と「ツボエクササイズ」を実践し、体を中と外からケアしてみましょう。
気が不足すると……
疲労感、けん怠感、食欲不振、感染症など
気が滞ると……
イライラ、抑うつ、不安感、不眠、のどの詰まりなど
『NHK明日から使える “新” 東洋医学』テキストでは、「気」の消耗を防ぐための薬膳レシピやツボエクササイズなども紹介しています。
◆『NHK明日から使える “新” 東洋医学』テキストより
◆写真:邑口京一郎/スタイリング:池水陽子