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高齢者が夜寝付けない理由は?改善策を紹介

「みんなの介護」ニュース

中村 亜美

日常生活の質に大きく関わる睡眠。歳を重ねると睡眠に関わる機能の変化により、上手く寝付けなくなったり、寝つけたと思ったらすぐに起きてしまったりと睡眠に満足できないことも増えてきます。

年齢によるものであれば、ある程度は受け入れてしまったほうが生活しやすくなるかもしれませんが、原因が他にもあったり、それにより本人の生活面や精神面に大きな負担がかかったりする場合には、改善していきたいものです。

そこで、この記事では、高齢者と睡眠の関係や睡眠改善のための対策を解説していきます。睡眠で悩んでいる方は、ぜひご覧ください。

夜中に父に起こされ落ち着かない…

【事例】Sさんの場合(50代・女性)

Sさんは、実父と夫、娘との4人家族です。介護保険を使うことなく過ごしてきましたが、ここ最近、父が寝付けず悩んでいました。

眠れないのが原因なのか、父は夜中にさまざまなことを考えこんでしまうようで、ことあるごとに、寝ているSさんを夜中に起こすのです。

つい先日は、父が「お金のことが心配で眠れない」と夜中の2時にSさんを起こしたとのこと。それからも父が不安になるたびに、Sさんは夜中に起こされます。

父がうまく寝付けないたびに起こされるSさんは「いつまでこの生活が続くのだろう」と不安に思うのでした。

Sさんのお父さんのように、加齢によって睡眠がうまく取れなくなってしまう人は少なくありません。筆者の祖父母も高齢になってから睡眠に悩まされているようでした。

高齢になると睡眠に悩む方が多くなるのは、なぜなのでしょうか?次の章で解説していきます。

高齢者と睡眠

高齢になると睡眠は変化していきます。その理由は、2つです。

体内時計が変化する(生体機能のリズムが前倒しになる)
浅いノンレム睡眠が増える

高齢になると、ホルモンや睡眠に関わる神経が変化し、生体機能のリズムが若い頃に比べ前倒しになる傾向があります。その影響で、早い時間に眠くなったり、早い時間に起きてしまったりするのです。

しかし、早寝早起きをしているつもりでも、睡眠が浅いため、夜中に何度も目が覚めてしまうこともあります。それは、入眠に大きく関わるノンレム睡眠が、加齢により浅い時間が増えるためです。

睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠の繰り返しで成り立ちます。浅いノンレム睡眠が増えると、その分少しのことで目が覚めてしまいやすくなります。その結果、早寝早起きしたつもりが睡眠の質自体は悪く、昼間の眠気などに繋がってしまうのです。

このように、加齢による体の変化により、若い頃のように長い時間眠ることが難しくなります。やっと眠れたと思ったらトイレで何度も起きてしまうという現状もこのためです。

睡眠が浅くなることでのリスク

睡眠が若い頃に比べ、浅くなるのは自然な現象であるともいえますが、だからといって質が悪すぎるのも考えものです。

睡眠が満足に取れないことで、以下のように生活に支障がでることがあります。

精神的に不安定になる
昼夜逆転してしまう
眠気で動きが鈍くなる

特に、日中の活動に影響が出ることが多いですが、日中に眠気があるからと昼寝をしてしまえば、夜また眠れなくなるという悪循環に陥ってしまいます。

睡眠改善のための生活習慣改善策

それでは、睡眠改善のためにどのような対策が有効なのでしょうか?基本的には、睡眠に大きく関わる自律神経を整えていくことで改善される可能性があるといわれています。

自律神経は私達の体にある、内臓の働きなどを調整してくれる神経のことです。自律神経には交感神経と副交感神経があり、この2つのバランスがうまくとれると、良質な睡眠が期待できます。

逆に自律神経が乱れてしまうと不調を起こしたり、睡眠が浅くなったりします。自律神経を整える生活習慣を身に着けることで、睡眠改善に繋がる可能性は高いといえるでしょう。

難しいことを続ける必要はありません。簡単に取り組めるような生活改善を実践していきましょう。日常生活の中で取り入れやすい対策を紹介します。

日中に散歩などを一緒に行い活動量を増やす

まずは、日中の活動を増やすようにしましょう。簡単な体操や散歩は、比較的気軽に取り入れることができます。

デイサービスや高齢者向けサロンなどに通うようにし、レクリエーションやリハビリなどの活動で脳と体を動かすのもおすすめです。

ただし、本人が前向きでない活動は継続させにくい傾向があります。好きなことを思い出し、それを続けていけるような環境が理想的であるといえます。

趣味活動などで、生活にメリハリをつけていくと良いでしょう。

すぐに布団入らない

寝付けないからといって、早い時間から布団に入ってしまうことは避けるようにしましょう。実際に私の祖父もそのタイプで、結局夜中に目が覚めてしまうということがありました。

「やることがないから」と眠くもないのに、早い時間から布団に入ってしまうと逆に寝にくくなってしまうことがあります。入浴で温まった体の熱が少し冷めたときに、自然と眠くなり、その眠気と共に布団に入るのが理想的です。

眠くなるまでは刺激の強いTVなどを避け、ラジオを聴いたり、ストレッチをしたりして過ごすと良いでしょう。

早すぎる時間に起きたら太陽の光を浴びないようにする

入眠に悩む声だけでなく、朝の早すぎる時間に起きてしまい、そこから眠れないという方もいます。こういった場合には、早朝の太陽の光をできるだけ浴びないようにするという対策もあります。

光を遮断するカーテンを使用し、起きたい時間になるまで閉めておくと、光によって目を覚まさなくても良いでしょう。

昼寝は20分以内にする

どうしても昼間眠くて我慢できないこともあると思います。毎日、眠気に耐えながら過ごすのは辛いですよね。

そこで、おすすめなのが20分以内の昼寝です。昼寝は、睡眠のリズムを壊さないためになるべくしない方が望ましいと言われていますが、眠気を我慢するのはしんどいものです。

20分以内の昼寝なら睡眠のリズムを壊すことがないと言われていますので、少し仮眠を取り、頭をすっきりとさせて午後過ごすのも良いでしょう。

睡眠改善におすすめの方法

日常生活の改善以外にも、おすすめの睡眠改善方法があります。続いて、簡単にできる睡眠改善方法を2つ紹介していきます。

アロマオイルを使用してみる

リラックスして眠りにつきたいと思ったら、眠気を誘うような香りのアロマオイルを使用するのもおすすめです。

アロマオイルを使用することは、リラックスやリフレッシュの効果をもたらします。入眠効果を期待したい場合には、リラックスできるラベンダーやヒノキ、ゼラニウムなどの香りがおすすめです。

ディフューザーを用意するのが面倒であれば、数滴をティッシュに沁みこませて枕元に置くだけでも香りが広がります。

日記をつけ考え事を整理する

夜、考え事をしてしまい不安になって眠れなくなってしまうという方は、事前に気持ちの整理をしておくのがよいでしょう。寝る前に、心の整理ができるような日記をつけてみることをおすすめします。

不安に思っていることを箇条書きにし、その不安を否定するような意見を書き出してみましょう。

例えば、以下のような形です。

心配ごと:あの人に嫌われているかもしれない
否定の言葉:あの人に嫌われているとは限らない

自分の中の不安を整理していくことで、モヤモヤが消え、安眠に繋がる可能性もあります。

改善が見込めない場合は、主治医に相談を

今回紹介したことを試しても、状況が改善されないこともあると思います。そのような場合には、主治医や睡眠に関する専門医に相談してみることをおすすめします。

相談する場合には、状況がうまく伝わるように、困っていることなどを事前にまとめてメモしていくと良いでしょう。

睡眠は生活の質に大きく関わるので、まずはできることから実践していきましょう。

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