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京都で磨いた確かな技でもてなす料理に大満足!フレンドリーな福岡・中洲の人情割烹

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味美top

妖しくも華やかな光が包む、西日本屈指の歓楽街=中洲。一種の敷居の高さから身構える人も多いのですが、いざ踏み込むとけっこう居心地良い店が多いんですよね。この日訪れた「割烹 味美」もその一軒。肩の力を抜いて、上等な料理にどっぷり浸れる和食店でした。

味美」は1998年、当時30歳だった河原畑豪二さんが那珂川沿いに構えた店です。10代から料理人を志し、今も仕事に無尽蔵の愛を注ぐ大将が振る舞うのは14300円からのおまかせコース。終始一貫、九州の厳選食材が奏でる珠玉の調べが楽しめるとあって、県外からのゲストをここでもてなす地元客も多いそうですよ。

風に揺れる暖簾をくぐり、にこやかな女将さんに案内されカウンター席へ。腰を下ろすと、河原畑さんが満面の笑みで迎えてくれました。京都・祇園や銀座の割烹などで研鑽した熟練職人で、「この仕事と人が大好き」と公言するフレンドリーな店主です。54歳とは思えぬ若々しい眼差しが、その気持ちを雄弁に物語っていました。
中洲に出店したのも、県内外から多様な客層が集まる繁華街を愛するがゆえ。ふらりと立ち寄れるよう完全予約制にせず、誰もが楽しめる気さくな社交場づくりに邁進した四半世紀。「味美」に流れる時間が快適なのは、そんな一途な取り組みの成果かもしれません。

ちなみに店の奥には個室が3部屋あり、1室最大8名まで利用可能。パーティションを外せば20名まで使え、ビジネス会食はもちろん、顔合わせなどの慶事にも重宝されています。

さて、店の空気は緩やかですが、料理は凛と締まった本格派。九州各地の生産者から届く極上食材を交え、時に華やか、時に素朴に“九州の贅沢”が皿の上に表現されます。

この日は11品前後で構成される16500円コースをセレクト。先付は野菜たっぷりの出汁に泳ぐ長芋素麺で、絶妙の細さで長芋をスライスした技術が見事です。酸味が効いた冷たい出汁も、徐々に暑さを増す季節にピッタリ。河原畑さん曰く、「この時期だからこれを出す」という意味や必然性をすべての料理に与えているそうです。

3品目のお造りは、まばゆい美麗さに思わず見入りました(写真は2人前)。この日は殻付きウニ、沖縄の本マグロ、長崎のアジ、玄海のタイ、うちわエビという顔ぶれです。「この値段でこのネタが出せるの?」とよく驚かれるそうですが、やはりこれも漁師直送の鮮魚あってこそ。暇があれば各地を巡り、生産者と信頼関係を築き続ける努力の賜物なのです。

煮物の後のお造り2皿目は、なんと意外にも韓国料理のケジャン。天草名産のワタリガニを福岡産の醤油に漬け込んだものですが、本場より塩分を抑えているためカニのうまさがより際立っています。プリッと弾力ある身に染み込んだ、カニ特有の香りと滋味をたっぷり堪能できました。

さらに焼物、寿司、汁物と来て、いよいよ主役たる強肴のお目見えです。これは雌牛の肥育に定評ある佐賀県「中村牧場」から届いた牛肉をスライスし、トリュフや生卵、ウニなど好みの具材を巻いて食すユッケ風の一品。小品ながら、罪深ささえ覚える旨味は鮮烈で、高級食材のせめぎ合いから生まれる悦楽は妖艶かつスリリングでした。風味と食感を倍増させる、10種以上のナッツ類の存在感も秀逸です。
このあと食事と水物が出され、もてなしの心が隅々に詰まったコースは大団円を迎えました。

「この美味しさを思い切り楽しんで!」。すべての料理から僕が感じたのは、こんな河原畑さんのほとばしるような想いでした。
「料理には甘味や酸味といった基本の“五味”がありますが、僕はそこに人情味を加えた“六味”で勝負しています」。その言葉通り、河原畑さんの温かい目線は料理はもちろん、客や厨房のスタッフにまで及びます。
「この店が白いキャンバスなら、会話で絵を描いてみたいですね」。人々と語り続けることで柔らかな連帯を生み、「味美」にしかない魅力を形にすべく献身する河原畑さん。人懐こくて、己に厳しく、どこまでもひたむきで……そんな人情豊かな大将が、中洲であなたを待っています。

割烹 味美(あじみ)
福岡市博多区中洲4-1-10第2きよたけビル1F
092-262-0381

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