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逗子市の国登録有形文化財・旧本多邸の改修工事終了、 地域活動利用も検討

タウンニュース

改修工事を終えた旧本多邸

国登録有形文化財の旧本多家住宅主屋(逗子市山の根2の4の17)の改修工事がこのほど竣工し、7月13日・14日に一般に向けた見学会が行われた。今後は現所有者の株式会社久米設計がサテライトオフィスとして利用するほか、地域活動での活用も検討されている。

旧本多邸は本多商店(ランプ製造販売)の本多庄作氏が久米設計創始者・久米権九郎氏に依頼し、1939年に建てた木造2階建てスレート葺の住宅。久米式耐震木骨構造を用いて設計した住宅で、同構造法で現存する建物は、ほかには日光金谷ホテル別館(1935)と軽井沢万平ホテルアルプス館(1936)の2軒のみ。日本近代における木造建築の近代化を考察するうえで重要な建物だという。

同住宅は1986年から30年以上の間、空き家状態が続き、本多家では保存活用するか売却するかの処分を検討していた。そうした中、残されていた当時の設計図や、本多氏と久米氏が交わした書簡から、久米式耐震木骨構造の作品と判明し、2021年に久米設計が買い取り、保存活用することになった。翌22年に国登録有形文化財に登録され、保存・改修工事が始まった。

構造体の腐食が激しく、土台の7割を交換。文化財のため外観を変更することができず、梁を入れ替えたりなどの作業は全て内側から行った。同社建築担当の渡邊雅子さんによれば、「残せるものは残す」ようにしたため、既存の壁の中で構造補強、耐寒、断熱などを現在の仕様に合うようにやり替えることが困難だったという。屋根のスレートの張り直しでは、建物裏の洞窟に残されていた当時の材料を再利用した。

見学会に訪れた近所に住む石渡哲夫さんは「逗子の誇り。観光名所のひとつになればいい」と期待を寄せた。

現在一般開放はしていないが、今秋の湘南庭園文化祭やアートフェスティバルなどでの利用が予定されている。

久米式耐震木骨構造が見られる

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