「ラクっすね~」じゃない!専業主夫の葛藤
妊娠・出産・育児のリアルな経験談が集まる匿名座談会。今回のテーマは「パパ座談会」。特に、専業主夫歴10年以上の中村シュフ(芸人、家政アドバイザー)、さらに、まもなく家庭に入って専業主夫になるというみかんさんも。男性の育児参加は当たり前になりつつありますが、「専業主夫」はなかなか出会うことがなく…
専業主夫。周りのママとパパの狭間で…
川島 :「パパの専業主夫」。私はまだ、増えている実感はないんですけど…。
中村 :そうですね。まず、僕自身も専業主夫だよっていう人に遭遇する率は少ないというか、なかなか宣言しないじゃないですか。だから、今日こうしてみかんさんと 非常に貴重な邂逅が。
川島 :そうか。
中村 :出会うことがないっていう状況がありますが、長女が幼稚園だった頃、もう8年ぐらい前かな。だと、やっぱり保護者会には男性は僕1人、あとはママさんっていう感じ。あと保育参観みたいなリトミックとかでもやっぱり僕1人だったのが、今、3女の幼稚園だと、ポツポツですけど、パパさんの姿を見るようにはなってきています。
川島 :中村シュフは、レギュラーで専業主夫としてやってるのに、「育児のピンチヒッターで来たんでしょ」という見られ方をする…と?
中村 :今よりは昔の方があるかな…。公園や近所の児童館に行くと、意外とママさんたちもそんなに壁をあからさまには作らなくてウェルカムな感じなんですけど、ただやっぱり「育児の話を詳しく聞いたところで、この人はどうせわからないだろうな」って思われている空気を感じるというか。「たまたまママさんが病気とかお仕事でいらっしゃらないから来たのよね」みたいな、アクリル版程度の壁はあるかな…。
川島 :なるほど。だから、話してる中で、この人にお子さんのこと聞いてもわかんないのかなって思われてると。他にも、専業主夫の先人ゆえの難しさ。どんなことを感じましたか?
中村 :ジョンレノンいますから(笑) 先人専業主夫といえば。
川島 :そうだったんだ、知らなかった!
中村 :先ほどのママさんたちがいるところに入っていく難しさもあるし、逆に、休日にパパさんたちが公園って多かったりして。パパたちの中には、もちろん自分からお休みだからっていうことで、面倒見てきてくれてる人もいらっしゃるんですけど、中には、言われていやいや来てる人も、見てればわかるんですよ。
川島 :うんうん、ちょっと1~2時間外で遊んできて!って言われて、ずっとスマホ見てるパパ…。
中村 :そうです、そういうパパさんと目があった時に、「お宅もですか?大変っすよね」みたいな視線を感じるけど、「いやいや!違う違う!違うんだよ!」って思うんですけど、それもわざわざ言うことでもないから、「いやほんとっすねー」みたいなのをこなしもします。非常に複雑な立ち位置で日々過ごしている感じはありますかね。
川島 :誰かに言われたことで、記憶に残ってることってありますか?
中村 :幼稚園のお餅つきの大会があって、パパさんボランティア募集みたいなので。お餅つきのつき手ですよね。僕はお雑煮を作る方に参加したかったけど、どうしてもつき手になってしまう。そこでパパさんたちがどんなお仕事をしてるかっていう会話が繰り広げられて、その流れで「専業主夫なんですよ」って言ったら、「めちゃめちゃ楽っすね!羨ましい!」と言われた時に、もうね、なんか…、尻餅つきましたね。
川島 :(笑) 餅つきだけに!!
中村 :僕も勝手な見方ですけど、ボランティアに参加するパパさんって優しいというか、育児や家事にも前向きな方が多いだろうと思ってたから、そこからの落差で。パートナーにもそういうこと日々思ってるし言ってるかもしれない…。
川島 :ほんとにこう、膝から崩れそうになりますね…。
「妻から見ると、僕は雑」その理由は…
川島 :キウイさん。前回いろんな悩みをパパ座談会で話してくださったんですね。例えば、「妻から見ると僕の育児は全てが雑」と。キウイさん、このあたり、何か解消されましたでしょうか?
キウイ:気を付けるようになったんですけど、まだ解消されてないですね。
川島 :でも「妻から見ると」っていうその妻が、相当レベルの高い方。
キウイ:元々家庭科の先生や、幼稚園の栄養士やってたり。
川島 :だから、料理面もそうですし、家事全般を高いレベルでされてるっていうのもあって、雑に見えてしまう。ほんとに雑かもしれないんですけれども。
キウイ:そうなんですよね、ほんとに雑なんですよ。
川島 :心がけたところはどんなところなんですかね。
キウイ:ポーズに近いところもあって。妻の前では、丁寧に離乳食を食べさせたり、おむつ替えの時も丁寧に拭いたりとか。ただ、赤ちゃんと2人きりの時にやってるかって言われると…。
川島 :完全ポーズだ!!みかんさん、同じようなことってありますか。
みかん:私も不器用なところはあるので、もう動くようになってくると、ほんとに服を脱がすのも着せるのも時間かかったり。今朝もそうですけどね、なんかちょっと、そういうところでね、妻はなんか思ってるかなとは思います。
川島 :中村シュフはどう思いますか?
中村 :僕は神経質なタイプなので細かくやっちゃいますが…たとえば「子供を見る」っていう作業があるじゃないですか。例えば「洗い物してる間にちょっと見ててよ」と言われた時に、テレビを見ながら目の端に子供が動くのを見ているとか、スマホをいじりながら見ているのだと、パートナーの方は雑だと感じると思うんですよ。「みる」でもルックやウォッチじゃなくて、パートナーからすると多分「テイクケアオブ」みたいな。
川島 :面倒を見る。
中村 :看護の看ていう字ですかね。走って危なくないか見てるとか、あとは、例えば積み木の2つ目を重ねるのが難しいから、じゃあ下をこっちにした方がいいんじゃない?っていう、ちょっと手助けをするっていうことがあったり。ここまでできてるから、今度じゃあこうやってみようか、でも手を出しすぎるのもよくないぞとか、こういうことを全部含めてやっぱ看るだというような感覚のママさんかもしれないなってなると、あぁ見てた見てた、危なくなかったって、そのブロックを口に入れてないよぐらいな、そういう感じだと、雑だなって思われてしまうかもしれないですよね。
川島 :私も完全にそっちの方なんですけど…。中村シュフは逆に、妻がやることに対して雑だなって思うことってありますか?
中村 :結構あります。
川島 :そうなんだ。これ、男女関係ないんですね。
中村 :適材適所というか、好きなものもありますよね。
川島 :わかる。これなら丁寧にできるけど、これちょっとやだなってことありますよね。
中村 :それも共有したり。
キウイ:スキルが高い方に合わせるのは難しいところもあると思うので、得意不得意って話がありましたけど、 ここは私がメインでやるとか、そういう感じもいいのかも。
家族の中で、自分だけスケジュールが決まっている苦しさ
川島 :みかんさんは間もなく専業主夫になるということで。これまで育児・家事、仕事の両立の難しさですとか、このままでいいのかなって思っていたということなんでしょうか?
みかん:そうですね。妻の出産直後に育休は取りました。復帰した後は、仕事しながら、家事しながら、休日は子供を見たり、朝、離乳食あげたりしています。そういう中で、自分の仕事だけは時間が決まってる。何時に行かなきゃいけない、何時に終わるっていうのが決まってる。でも子供の生活って、当たり前ですけど、決まってない。突然夜中におぎゃーって起きたり。家を出ないといけないのに、今うんちしたとか。それに妻を休ませたい気持ちもあると、バランスが難しい。苦しいなって思った時があって。多分、自分がそんなに働きたくないっていう気持ちがどこかあるのかわかんないですけど。だから、ここから1年、経済的なことはさておき、専業主夫やってみたいっていうのもあって。
(TBSラジオ『ベビーのいる生活~迷える子育て応援Podcast~』より抜粋)