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【ブランディングコラム #9】越後雪室屋のブランドづくり|関本大輔(株式会社アドハウスパブリック)

にいがた経済新聞

こんにちは。株式会社アドハウスパブリック代表の関本大輔と申します。

このコラムでは、昨今注目されている「ウェルビーイング」について、「ブランディング」の観点からビジネスや人材育成に役立つ情報をお届けしています。

今回は、アドハウスパブリックが立ち上げたブランド『越後雪室屋』のお話です。ご興味がありましたら、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

新潟の雪と食をテーマにしたブランド構築

『越後雪室屋』は、雪を使った食品保存庫「雪室」で熟成した食品を取り扱うブランドです。

新潟で雪室を使った食品を扱うメーカーや研究機関・大学等が協力し、現在30団体が「にいがた雪室ブランド事業協同組合」として活動。『越後雪室屋』ブランドとして、約150品目の商品を展開しています。

アドハウスパブリックでは、このブランドの立ち上げや組織運営・企画営業・パッケージのデザインなどを行ってきました。

2010年にブランドを立ち上げ、組合を設立したのが2012年。今年で設立13年目になります。2022年には設立10周年パーティを開催する予定でしたが、コロナ禍で延期に。そして去る3月22日、2年越しにようやく越後雪室屋10周年パーティーを開催することができました。

パーティーには180名ほどのお客さまにお越しいただき、雪室屋の食材を使ったフルコースを堪能。ブランドの成長を感じられるひとときを過ごしました。

この13年を振り返ってみると、“雪室の市場を作った”ということが、まず大きな成果だったと思います。

もともと「雪室」や「雪室貯蔵」を謳った商品は、様々な会社から販売されていました。それらを『越後雪室屋』としてブランド化することで営業力やコンセプトを強化。世の中に新しい価値を生み出してきました。

今では新潟県内各所で商品を置いてもらえるようになり、県外でも百貨店などで広く取り扱われるようになりました。また最近では、海外の高級レストランで雪室屋の和牛が採用されるなど、世界中にも広がりを見せています。

雪国の人にとっては“やっかいもの”だった雪を資源として活用する。これがビジネスとなり、雇用を生み出し、ひとつの文化を形成している。これはとても感慨深いです。越後雪室屋としての売上規模もこの10年で大きく拡大しており、新潟らしさを象徴するビジネスとして、地域貢献ができているのではないかと感じています。

新規ブランドの立ち上げにおいて大切なこと

新しくブランドを立ち上げるにあたり、越後雪室屋では2つのことを大事にしてきました。

まずは、テーマとコンセプトですね。新潟県の人、日本中の人、そして世界の人みんなが分かるもの。これって簡単なようで意外とないんです。雪室屋の「雪と食」をテーマにした商品は、新潟らしさも活かしながら世界にも伝わっていると思います。さらに新潟では「雪室」という言葉だけで何かビジネスを感じる人がいたり、新潟の大事な文化だからということで力になってくれたりもします。

ブランドを運営するにあたって、各社それぞれに求めるものが違ってたりすると、どこかで衝突してしまう。そういうときに大きなテーマがあると「みんなで、まずここまで行くぞ」と伝え、1つの方向に向くことができます。テーマやコンセプトをどれだけ分かりやすく伝え、貫き通すか。これを一番、大事にしてきました。

もう1つは、みんなが協力しやすい体制を作ったこと。

会議の仕組みから、商品化に至るまでの審査の仕組み、会費などの細かい部分に至るまで、みんながフェアに自分ごととして考えられて、それぞれの力を発揮できるような組織作りを目指してきました。

これを他社と連携して実現するというのは、なかなかできないことだと思います。ときにはぶつかり合いながらも、組合員各社さまの協力によって、さまざまな評価を得ることができました。

ブランドを起こすことは、私の中でウェルビーイングな活動のひとつです。

ウェルビーイングとは、仕事・お金・仲間・健康・貢献の5つの要素によって、その人がより良い人生を送るということ。地域の人が輝くためには、そこに仕事が必要です。越後雪室屋で地域にひとつの産業を興したことは、ウェルビーイングの1つと言えると思います。

独自のブランドを起こし、そこで働く人たちが力強く生き生きと過ごせること。それが、アドハウスパブリックの目指しているところでもあります。

もっとたくさんの人に愛されるブランドへ

立ち上げから10年の歩みを経て、今はブランドを広げるフェーズにきていると感じています。スタートアップの時期は終わり、新潟県内にとどまらず全国や世界中に広がっていく段階に来ているのです。

「新潟の雪と食を世界中に広げよう」という想いでスタートした、越後雪室屋ブランド。これからもっと新潟の雪室文化や食文化を広めて、観光までつなげていきたいと考えています。

また、今年3月27日には、越後雪室屋の商品を取り扱うお店【越後雪室屋 STATION Labo】が新潟駅にオープンしました。これも雪室屋としては初めての試みです。これから新潟のお土産として大きく羽ばたき、世界中に広まるきっかけになることを願っています。

今回はここまでとなります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

関本 大輔(せきもと だいすけ)

株式会社アドハウスパブリック代表取締役。新潟デザイン専門学校を卒業後、東京の出版社でデザイナーとして勤務。その後、父が設立した会社を継ぐため帰郷し、2013年に代表取締役として就任。

お客さまの本質的な課題解決につながるインナーブランディングと卓越したデザインで、さまざまな企業や事業のブランディングに携わる。過去1000件以上の実績で、地域・業界を問わず評価されている。

米国ギャラップ社認定ストレングスコーチのほか、越後雪室屋ブランドディレクター・理事、新潟県6次産業化プランナー、新潟市異業種交流研究会協同組合理事長を務める。

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