「時をかける少女」20周年記念 細田守の原点/展トークショー&内覧レポート|『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』を中心に細田監督作品の魅力に改めて迫る空間
2026年6月20日(金)~8月31日(月)までCREATIVE MUSEUM TOKYOで開催される「時をかける少女」20周年記念 細田守の原点/展。
その開催前日6月19日(木)に、細田守監督と細田監督の作品に数多く出演されてきた俳優・染谷将太さん登壇のトークショーが行われました。本稿ではこのトークショーと、その後に行われたメディア向けの内覧会をレポートします。
会場では『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』という、細田監督作品の中でも原点といえる作品たちを中心に、貴重な制作資料の展示をじっくり見ることができました。
染谷さんが細田監督作品に出演するきっかけとは!?
まずは細田監督と染谷さんが出会うきっかけとなった、『おおかみこどもの雨と雪』制作当時の出来事が話題の中心に。
なんとこのオーディション当日に『おおかみこどもの雨と雪』の制作発表があり、それを終えた後にその足でオーディション会場であるスタジオに向かったのだとか。
細田監督が当時から制作のために凄まじいスケジュールの中で動いていたことも驚きですが、染谷さんもマネージャーさんを伴うことなくおひとりで歩いて会場に向かったというのも驚きです。
当時のオーディションでこの話を聞いた細田監督は、俳優さんがひとりでオーディション会場に来るなんてないと考え、だからこそ染谷さんに「できる人だ!」という印象を持ったのだとか。
そんな細田監督のお話を受けて「歩いてきて良かった」と一言。当時から細田監督の作品がお好きだったことから、『おおかみこどもの雨と雪』でオーディションを受けられた喜びがあったそう。
残念ながら色々な要素からこのオーディションで役は得られなかったものの、染谷さんを気に入った細田監督はどうしても出演してもらえないかと考え、田辺先生を演じてもらえないかとオファー。これを染谷さんが快諾したことで出演が決定したとのこと。
染谷さんは当時のアフレコでの細田監督について、ひとりひとりの役者さんに温かい雰囲気で向き合っていたとコメント。そうやってお芝居を演出してもらえたことが幸せだったとも語っていました。
その後は染谷さんが九太の青年期を演じた『バケモノの子』が話題の中心に。細田監督は最初から青年期の九太を染谷さんに演じてもらうことを想定していたことを明かし、引き受けてもらえて嬉しかったと当時の心境を告白。
当時の収録現場は素敵な役者さんたちが九太を見守るような、本当に収録スタジオに『バケモノの子』が描いていた景色が広がっているような感覚だったと語った染谷さん。
そういった空気感から収録には楽しかった思い出があるそうですが、ここで細田監督作品の収録はひとりひとり別で収録するのではなく、これだけの役者さんたちを集めて一斉に行うことが判明。だからこそ、キャラクターたちの心情が移り変わる様子を、収録でも追いかけられるところがあるのだとか。
細田監督の原点……それは、中学時代に作った8mmフィルム
そして話題は細田監督作品の持つ魅力へ。染谷さんはエンターテインメントとしてシンプルに楽しめることを前提におきつつ、人と時代の変化が伴って表現されていることに言及。『おおかみこどもの雨と雪』当時はまだお子さんがいなかったそうですが、ご自身も家族を持ってから改めて作品をご覧になることでまったく違う感覚が生まれたとのこと。
また、時代を越えて様々な捉え方ができるとも。毎回揺るがない信念が胸に響くそうで、新作に参加させてもらいその完成映像を見るたびに、新たな感動を得られていると絶賛していました。
細田監督は、作品を作っていく中でも時代と共に移り変わるものがあることを実感しているとコメント。しかし、それと同時に時代を経てなお変わらないものがあるとも語り、『時をかける少女』制作当時に考えていたことを明かしてくれました。『時をかける少女』は筒井康隆先生の小説を原作としており、細田監督の作品以外にも多数映像化されてきました。
その中には時代ごとに変化していくものだけでなく、変わらない魅力があり、自身で映画化する際もその時を経ても変わらない魅力が何なのかを考え突き詰めていたそうです。『サマーウォーズ』以降もこの部分は意識しており、15年~16年も前の作品でありながらAIが物語に大きく関わるといった今の時代を彷彿とさせる描写があることに触れられました。
そうやって公開された時代は問わず、時間が経っても映画から新たな発見があることがわかったところで、このトークショーの終盤は「細田守の原点/展」の展示内容が話題の中心に。
中でも中学時代に8mmフィルムで制作した自主制作のアニメーションについては、細田監督は少し気恥しそうな表情を覗かせつつ、そういうものも含めて自分の原点を見せる展覧会なので、こういった形のイベントでなければ絶対に出していないと力説。
自身でこの映像を振り返ってみたところ、細田監督作品の中で度々見られる“竜”が登場しており、監督の中にも変わらないものがあると判明しました。また、染谷さんが語ったところによると、細田監督が大学時代に描いた油絵や、自主制作映画などが見られるのだとか。
他の展示に関しては、染谷さんは細田監督が大学時代に手掛けた油絵や、実写で撮った自主映画に注目。そこに描いているメッセージが地続きになっていると感じられたのだとか。また、細田監督の本棚の中にある本たちも見られるそう。
最後におふたりからファンのみなさんへとメッセージ。染谷さんは子供から大人まで楽しめる展示だったと話してくれました。また、細田監督の本当の原点から知ることが出来る機会は中々ないので、ぜひ足を運んでくれたらとも。
細田監督はこれまで、自分の関わってきた作品を振り返ることなく制作に打ち込んできたと話すと、今回の展示会を機会に振り返ることで20年前の気持ち……先がどうなるか見通しがない中でも、ファンのみなさんに良いものを届けたいという気持ちで制作に打ち込んでいたことを思い出したと語っていました。
以下より、そんな展示のフォトレポートをお届けします。
まるで作品の世界に入り込んだかのような展示に、足を止めずにはいられない
展示会場にはそれぞれ『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』の作品ごとのブロックが存在していました。
もうひとつ、「Early Days」という細田監督の『時をかける少女』以前のお仕事をまとめたエリアがあるのですが、今回は撮影できませんでした。
ここでトークイベントの時に話題に上った細田監督が中学時代に8mmフィルムで制作したアニメーションや油絵、実写自主制作映画を見ることができます。会場を訪れたらぜひご覧になってください。
夏のあぜ道を行くかのような入口を通り抜けると、まずはオープニングムービーが見られるエリアに。
そこを抜けた先にあったのは『時をかける少女』のブロックでした。ここでは細田監督が執筆された絵コンテが凄まじい数展示されており、『時をかける少女』の各シーンに細田監督がどんな意図を込めていたのかを窺い知ることができます。
特に必見だったのがふたつの映像展示。ひとつは「街を駆け抜ける真琴」というもので、真琴が千昭の待つグラウンドへ全力で走るシーンが出来上がるまでの過程をみることができます。ここが制作中に一番最後にあがったカットとのことですが、『時をかける少女』をご覧になられた方ならよく覚えていることでしょう。
もうひとつは「細田守作品の“空”映像集」。細田監督の作品に夏の青空と入道雲のイメージがある方も多いのではないでしょうか。それらの映像を一挙に楽しめるだけでなく、細田監督が青空と入道雲にどんな想いを込めていたかを解説している資料も存在していました。
続いてOZへのゲートを潜り抜けると『サマーウォーズ』のエリア。ここでは仮想世界OZの世界観が忠実に再現されており、原画や「映像展示:細田守作品の“アクション”映像集」を楽しめました。
また、「キング・カズマ」と「ラブマシーン」が対峙するかのように佇んでおり、今から戦いが始まるのではないかというピリピリとした空気感も漂っていた。
当時配布された携帯(※スマホではなくガラケー用)待ち受けたちといった時代を感じる展示や、世界各国の「よろしくお願いしまあああすっ!!」が聴けるコーナーもあったので、『サマーウォーズ』ファンは必見。
3つめのエリアはもちろん『おおかみこどもの雨と雪』。ここでは花、雨、雪が描かれた作品のメインビジュアルを思わせる3人が出迎えてくれます。ここでの見どころは、細田監督の出身地である富山県を描いた背景美術です。資料の中で細田監督が富山への想いを語っている資料もあったので、こちらもぜひチェックしてみましょう。
また、「映像展示:雪山をかけるシーン 線撮~完成画へ」も見られます。花や雪と雨の姉弟が雪原を駆ける名シーンの原画と映像を同時に楽しめるまたとない機会ですので、ぜひじっくり目に焼き付けましょう。
売店では今回の展覧会に際してグッズ販売が行われていた。一回りしたら目を通してみるといいかもしれません。忘れずに訪れていただければ幸いです。
併設されているコンセプトカフェで一息つこう
会場では『サマーウォーズ』の世界感を体感できる「OZ cafe」が併設されており、コラボメニューでお腹を満たしたり喉を潤すことができる。そのメニューをいくつか撮影させていただいたので、フォトレポートで紹介します。