ABCマート株が続落 第1四半期は「海外全敗」で海外事業の不振鮮明に
ABCマートの株価が、2026年2月期の第1四半期決算の発表後に2日連続で下落した。決算発表翌日の7月10日は前日比2.5%の下落、11日も0.39%安の2,957円で取引を終えた。今年上半期だけで株価は8.0%下落しており、市場は慎重な姿勢を強めている。
同社が7月9日に発表した第1四半期(3〜5月)の連結決算は、売上高976億9800万円(前年同期比1.5%増)、営業利益187億5700万円(同1.9%増)と増収増益だったが、最終利益は1.2%減の129億5300万円と減益に転じた。前期に売上・利益ともに過去最高を記録した反動に加え、海外事業の不振が利益を圧迫した。
業績の明暗を分けたのが国内外のコントラストだ。日本国内では引き続き堅調で、売上高は727億1400万円(同6.3%増)、営業利益も176億4500万円(同9.1%増)と好調を維持した一方で、韓国・台湾・米国・ベトナムなどすべての海外拠点で減収減益となり、売上高は260億9900万円(同7.2%減)、営業利益は10億7400万円(同51.5%減)で、営業利益は半減した。
ABCマートは「オッシュマンズ(OSHMAN’S)」を含め、5月末時点で国内外で1501店舗を展開。このうち1087店舗が日本国内に集中しており、海外展開の失速が全体の成長鈍化に直結する構図となっている。今後、海外展開の成否が今期の株価動向を左右しそうだ。
5月27日の株主総会では、元タレントの榎本加奈子、モデル・女優の畑野ひろ子が社外取締役に就任。起用をめぐっては「話題先行」との見方もあったが、発信力や生活者視点への期待感から注目が集まっている。
通期の連結業績予想は、売上高3839億円(前期比3.1%増)、営業利益640億円(同2.3%増)、最終利益455億3000万円(同0.4%増)の見通しを据え置いている。株価の下落が示すように、今後の焦点は海外事業の立て直しに移っている。