深夜のドア開閉なしの3列独立シートで約11時間ぐっすり快眠! 東京~秋田を走る秋北バス「ジュピター号」乗車レポート
東京と秋田県北部を結ぶ秋北バスの夜行バス「ジュピター号」。約11時間の長旅ですが、車内には安眠のための工夫が凝らされています。最大の特徴は、SA(サービスエリア)での下車休憩をあえて行なわない運行スタイル。徹底した遮光設備など、関東~秋田を快適に移動するための乗車レポートをお届けします。
【画像】ナンバープレートにはかわいい秋田犬がいます(28枚)
東京と秋田北部を結ぶ「ジュピター号」
池袋・大宮~秋田県北部(大館・能代)をダイレクトに結ぶ高速バス「ジュピター号」。秋北バスが国際興業バスとの共同運行により、1989年(平成元年)から運行を開始した歴史あるバス路線です。
新幹線を利用して関東~秋田県北部を移動するには、盛岡駅や秋田駅での乗り換えが必要ですが、ジュピター号なら乗り換えなしで目的地まで直行!また、運賃も新幹線の約半分と、コストパフォーマンスにも優れています。
乗車時間は約11時間と長めですが、快眠のための設備やサービスに特化しているため、「目が覚めたら目的地」という無駄のない移動が可能です。移動時間がそのまま睡眠時間になるため、タイパ(タイムパフォーマンス)の面でも非常に理にかなった選択肢といえるでしょう。
今回は、秋北バスの車両について紹介します。
「安眠」に特化した秋北バスの車内環境
このバスの最大の特徴は、なんといっても「寝るための工夫」が徹底されていること! 気になる車内設備とサービスについて、詳しくレポートします。
3列独立シート
シートは、隣が気にならない「3列独立タイプ」。乗車口側からA・B・C席と並んでいます。縦は10列ありますが、中央にトイレがあるため「4C」と「5C」の座席はありません。最後列だけは4列並んでいますが、全部で29席のゆったりした構成です。
移動しやすいように真ん中のB列はなるべく空けるようにしたり、最後列も繁忙期以外はあまり使わないようにしたりしているのだとか。おかげで、車内はとっても余裕のある空間になっています。
設備とサービス
各シートには、フットレスト、レッグレスト、そしてヘッドレスト付き! フットレストは手動ですが、レッグレストはシート横のスイッチで楽に操作できます。
リクライニングも、かなり深めに倒れます。後ろに人がいなければ、ぐぐっと倒してゆったり体を休めることができそうです。スイッチはアームレスト下にあるので、手元で簡単に操作できます。
シートの前には、フックやドリンクホルダー、網ポケットが。ポケットの中には、乗車場所や予定時間が書かれた丁寧な案内が入っていました。フリーWi-Fiの接続方法の説明書も!夜行バスなので、あまりWi-Fiを利用する機会はありませんが、使えると思うと、それだけで安心しますよね。
さらに、大判のブランケットに不織布の使い捨てスリッパまで用意されていました。冬場はブーツを履いていることも多いので、靴を脱いでリラックスできるのは本当に助かります。
アームレストは上に跳ね上がるので、乗り降りがとってもスムーズ。中には折り畳み式の小さなテーブルも隠れています。
シート上部には、読書灯と空調の吹き出し口。真ん中のシートに座る方の読書灯は、前のシートの上部に付いていました。
通路側にはそれぞれカーテンが付いているので、閉めてしまえばプライベート感たっぷり。ちなみに、背もたれの後ろにまとまっているカーテンが自分の分です。前から引こうとしてもレールが途切れているので、間違えて前の人のカーテンを引いちゃう…なんて心配もありません。
窓側のカーテンは、光をしっかり遮る遮光タイプ。しかも、カーテンを留める金具にも工夫があって、合わせ目を内側に潜り込ませることで「めくれにくく」なっているんです。「ここは、こだわった工夫ポイントなんです」と、乗務員さんも笑顔で教えてくれました。
シート上の荷物置きスペースも高さに余裕があって、お土産やカバンを置いてもスッキリ収まりました。
車内中央の階段を降りた先には、水洗トイレが設置されています。座席エリアより一段低い位置にあるため、音が周囲に響きにくいのも嬉しい配慮。
そんなトイレの洗面所で、冬の秋田らしい光景に出会いました。厳しい寒さによる凍結を防ぐため、水道の代わりに清潔なおしぼりが用意されていたのです。
さらに驚いたのはサービスコーナーの充実ぶり。水やお湯だけでなくお茶のパックまで備えられており、まさに至れり尽くせりのホスピタリティ!
そして、今回私が一番驚いたのが「暗視カメラ」が作動していること。こちらは車内でアナウンスがありました。盗難や迷惑行為もしっかり記録されるので、一人旅でも安心して深い眠りにつくことができます。これは、本当に心強いサービスですね!
池袋から能代まで! うとうと乗車レポート
それでは、実際に乗車した様子を詳しくレポートします。
通常、出発は池袋駅西口の7番乗り場から22:00ちょうどに能代へ向けて出発します。今回は車内撮影のため、特別に要町にある「国際興業バス 池袋営業所」から乗車させていただきました。
スマホで予約チケットを見せたら、スーツケースを車両下部のトランクルームへ預け、引き換えの番号札を受け取ります。この日は利用者が多いとのことで、バス2台体制での運行でした。
池袋駅では多くの乗客が乗り込んできました。車内のカーテンが閉まっているので外の様子は伺えませんでしたが、トランクに荷物を預けてからスムーズに乗車される方が多い印象です。
今回は営業所からの乗車でしたが、池袋駅から乗るならぜひ活用したいのが、池袋西口公園の南側、東武アネックスビル3階にある国際興業バス 高速バス待合所です。
コンセント完備なのはもちろん、パウダールーム付きの女性専用スペースまであるので、夜遅い出発待ちの時間も安心。乗車前にメイクを落として、さっぱりとした状態でバスに乗り込めるのは女性にとって嬉しいですね。
バスは定刻通りに池袋駅西口を出発。自席のカーテンを閉めれば、そこはもう半個室のようなプライベート空間です。
外の景色が見えない安心感からか、すぐにうとうと…。ふと気づくとバスが停車しており、最初(にして最後)の乗車ポイント、大宮駅東口に到着しました。
ふと、窓のカーテンの下からスマホのカメラで外の様子を少しだけ覗いてみました(池袋ではこの方法に気づかなかった)。こちらからもたくさんの方が乗車されたようですが、車内はすでに各席のカーテンが閉まり、静かな時間が流れています。時計を見ると22:40。45分の出発を静かに待ちます。
動き出してからそっとカーテンを開け車内を見渡すと、通路側のカーテンはすべて閉じられていました。真ん中のB列が空席になっていたおかげで、これなら夜中にトイレへ行く際も気兼ねなく移動できそうです。
ここからは、秋田へ向かって一路北上していきます。
大宮を出発するとすぐに消灯となり、車内は心地よい暗闇に包まれました。運転席との間もしっかりとカーテンで仕切られているため、前方からの光が漏れてくることもありません。
そして、このバス最大の強みが「乗客向けの開放休憩がない」こと。乗務員さんは2名体制で、途中のSAで合計4回の交代と車両点検を行ないますが、乗客は外に出ることはできません。
つまり、ドアが開いて冷気が入り込んだり、アナウンスや車内灯で眠りを妨げられたりすることがないんです。これこそが、目的地まで10時間以上の「連続した深い睡眠」を可能にする秘密なんですね。
もちろん車内にトイレが完備されていますし、通路の動線もしっかり確保されているので、夜中に目が覚めても安心です。
この日の乗務員さんの休憩・点検スケジュールは、0:00大谷PA(栃木県宇都宮市)、1:20安達太良SA(福島県本宮市)、3:17長者原SA(宮城県大崎市)、5:05岩手山SA(岩手県八幡平市)となっていました。
翌朝、5:57に鹿角(かづの)へ到着。予定より約20分も早い到着です。その後、7:00にいとく大館ショッピングセンター北口、8:00に二ツ井、そして目的地の能代バスステーションには8:05に到着。最終的に予定より約30分も早く送り届けてくれました。
ちょうど今年3回目の寒波が襲来中で、列車や飛行機に運休や遅延が出ている中、豪雪の内陸部を通って、しっかり目的地まで届けてくれたジュピター号に感動!
朝まで途切れない「静寂」が最高の贅沢
秋北バスのジュピター号に乗って実感したのは、単なる移動手段を超えた「快眠への徹底したこだわり」です。
真ん中のシートを空けてゆとりを持たせる座席配置や、光を完璧に遮断するカーテン、そして何より、深夜のドア開閉をなくして室温と静寂を守る運行スタイル。これらすべてが、長距離移動の疲れを最小限にしてくれます。
「夜行バスは眠れないから苦手」という方にこそ、ぜひ一度体験してほしい一歩進んだバス旅。目が覚めた瞬間に清らかな空気が迎えてくれる、あのすがすがしい感覚をぜひ味わってみてください。