「明日は出社を遅らせよう」先読みもできる新しい防災気象情報のポイントを気象予報士が解説&クイズも
2026年4月27日、十勝地方南部を震源とする地震が発生し、道内広い範囲で緊急地震速報が鳴り響きました。
北海道・三陸沖後発地震注意情報が発表されている中で出された緊急地震速報…怖い思いをされた方も多いかと思います。
地震を予知するのは現在の科学でも難しいですが、天気は多くの場合前もって危険を予知することができます。
そして、5月28日午後1時ごろから新しくなる防災気象情報では、前もって危険な状況を先読みできる情報や、いま危機が迫っている場所など、より充実した情報を気象庁のホームページで確認できるようになります。
「新しい防災気象情報のポイント」をHBCウェザーセンターの気象予報士・篠田勇弥が前編・後編に分けてわかりやすく解説します。
もしものときに慌てないために、ぜひ前回の記事と合わせてチェックしてみてください。
連載「気象予報士コラム・お天気を味方に」
2.「明日は出社を遅らせよう」危険を先読みできる「時系列情報」
気象災害は地震と同じようにいつも私たちが行動する時間にやってくるとは限りません。
何も情報を知らないで災害が差し迫り、いざ避難しようとしても暗くなってからの避難や、大雨の中での移動はかえって危険な場合があります。
そこで今回、心強い味方になるのが、新しく提供される「時系列情報」(明日までの警報等の見通し)です。
これは、注意報や警報がすでに出ているかどうかに関わらず、あすまでの危険度の見通しを時間帯ごとに色分けして示す新しい情報です。
地域ごとに、次の日にかけてどのような災害に注意・警戒が必要かを確認することができます。
上の表では29日の明け方に土砂災害と高潮、朝に大雨のレベル4危険警報が出される見通しです。
この情報を見ると「29日の明け方には危険な場所から全員避難」ということが事前にわかるので、「雨が強まる前に避難所に移動しておこう」「あすは出社時間を遅らせよう」といった、スケジュールを立てた行動ができるようになります。
3.危険を知らせる「気象防災速報」と「キキクル」
「気象防災速報」と「キキクル」は、ともに気象庁から出される情報で、災害発生の危険度が高まっている状況を知らせるものになります。
これまでも気象庁では、線状降水帯や記録的短時間大雨、短時間大雪、竜巻など、極端な現象はそれぞれ速報的に発信していました。
新しい防災気象情報ではすべてまとめて「気象防災速報」として発表されるようになります。
気象防災速報(線状降水帯発生)
気象防災速報(記録的短時間大雨)
気象防災速報(短時間大雪)
気象防災速報(竜巻注意/竜巻目撃)
このようなかたちになります。
そして、大雨のとき、今いる場所の危険度を地図上で確認できる「キキクル」はご存知でしょうか?
キキクルは、雨による災害の危険度を地図で確認できる気象庁のサービスです。
これまでは「川の氾濫」「強い雨による浸水」「土砂災害」の危険度がそれぞれ別に示されていました。
これからは、川の氾濫と強い雨による浸水の危険度が重なって表示される「大雨キキクル」として新しくなります。
「うちの周りは今どのくらい危ないのか」が、スマートフォンからよりカンタンにチェックできるようになります。
お住まいの地域で「大雨」「氾濫」「土砂災害」の警報が出された際に、キキクルを確認する習慣を身に付けておくと、いざというときに役に立ちます。
新しい防災気象情報では、警報の名前が分かりやすくなるだけでなく、危険が高まる前から備えるために必要な情報や、今いる場所の危険度を確認できる情報も充実します。
「警報が出てから考える」のではなく、「警報が出る前から備える」。
そんな防災行動につなげるためにも、時系列情報やキキクルを日ごろから見慣れておくことが大切になりそうです。
おまけ
防災気象情報はこれから大きく変わります。
そこで、情報が新しくなっても戸惑うことがないようにクイズを用意しました。
ぜひチャレンジをして、新しい情報に慣れておきましょう!
Q1:新しい気象警報で最も大きく変わる点はどれでしょうか?
A.「レベル3●●警報」が出された時には全員避難しなければならない
B.注意報・警報の名前に「レベルの数値」が付く
C.すべての川に対して出される「氾濫」の注意報・警報が新設される
Q2:「危険な場所から全員避難」のタイミングである、警戒レベル4の新しい警報の名前はなんでしょうか?
A.危険警報
B.特別警報
C.避難警報
Q3:あすまでの危険度の見通しを時間帯ごとに色分けで示す新しい情報はどれでしょうか?
A.今後の雨
B.気象防災速報
C.時系列情報
Q4:新しくなる「大雨キキクル」ではどの危険度を重ねて表示するでしょうか?
A.「竜巻」と「土砂災害」
B.「川の氾濫」と「強い雨による浸水」
C.「土砂災害」と「強い雨による浸水」
クイズの答えと解説
Q1答え:B 注意報・警報の名前に「レベルの数値」が付く
「レベル3大雨警報」「レベル4大雨危険警報」のように、警報や注意報にレベルの数字が付くようになり、直感的にわかりやすくなります。
なお、「暴風」「波浪」「大雪」「暴風雪」の警報についてはレベルはつかず、これまでと同じように「●●注意報」「●●警報」「●●特別警報」として出されます。
また、Cの氾濫の警報は「指定河川洪水予報」を行っている大きな川に対して出される情報になります。
Q2:A 危険警報
「危険な場所から全員避難」はレベル4危険警報になります。
レベル5特別警報はすでに災害が発生している可能性があり、避難すること自体が危険になっている場合があります。
Q3:C 時系列情報
「今後の雨」は、これまでの雨雲の様子と、15時間先までの雨雲の予想を見ることができます。
「気象防災速報」は、線状降水帯や極端な大雨、大雪などが発生した時に出される情報になります。
Q4:B 川の氾濫と強い雨による浸水
現在のキキクルは「氾濫キキクル」「浸水キキクル」「土砂キキクル」の3つですが、
今後は、「大雨キキクル」と「土砂キキクル」の2つに統合されます。
赤(警戒)や紫(危険)の間に避難を終わらせておきましょう。
※本コラムに使用している画像はすべて気象庁の資料を引用しています。
連載「気象予報士コラム・お天気を味方に」
文: HBCウェザーセンター 気象予報士 篠田勇弥
札幌生まれ札幌育ちの気象予報士、防災士、熱中症予防指導員。 気温など気象に関する記録を調べるのが得意。 趣味はドライブ。一日で数百キロ運転することもしばしば。
HBCウェザーセンターのインスタグラムでも、予報士のゆる~い日常も見られますよ。
※掲載の情報は記事執筆時(2026年5月)の情報に基づきます。