よりよい釜石へ 中学生が提案「絆議会」初開催 一般質問で語る未来、まちづくり共に
釜石市の子どもたちが意見を発信する子ども議会「かまいし絆議会」が7日、市役所内の議場で初めて開かれた。市内14小中学校(9小学校、5中学校)の児童生徒でつくる「かまいし絆会議」を代表し、中学生12人が議員(うち2人は議長)となって「一般質問」に挑戦。教育や防災などをテーマに日々感じている疑問を市当局に投げかけ、より良いまちにするための提案をした。
子どもの目線や声を議会に生かすとともに、まちの事業に関心を高め、学校や地域をより良くしようとする意識を育むことが目的。「自分が生まれたまちを自分たちでつくっていくという気概、認識を若いうちから持ってほしい」と期待を込め、小野共市長が発案した。
14校の児童生徒代表28人が集う絆会議を8月に開いた際に、各校で決めた▽教育▽防災▽交通安全▽まちづくり▽福祉―のテーマごとに市担当者から各種事業や課題などを聞き取った。感じたことや気になったことを話し合うワークショップも実施。中学生が中心となり学校に持ち帰り、一般質問に向け疑問や意見の検討、まとめ作業などを行いながら準備を進めてきた。
絆議会は中学校区ごとに25分の持ち時間で進められた。議員役の生徒らは日々の暮らしの中で感じていることや自らの体験、学校の取り組みを交えながら、「交通安全に関する計画を立てる中で具体的にどのような調査を行っているか」「過去に開かれていた防災士の資格取得のための研修を再開できないか」「毎年、国道の清掃を行っているが、ごみは減らない。市として現状をどのようにお考えですか」などと、市事業について質問をした。
幅広い分野にわたる意見や要望も伝えた。学校給食について「小中学校ともフードロスに問題を感じている」とし、「わたしたちの希望を聞くアンケートを行い、みんなが食べやすい味付けやメニューを取り入れてほしい」とリクエスト。小中学校が連携して継続する高齢者への交通安全の呼びかけ活動など、各校の取り組みを地域に知ってもらうため市広報紙での紹介など協力を求める声も上がった。
中学生議員らの発表に対して、市の各担当部長や課長が答弁。まちの現状や抱えている課題などを丁寧に説明した上で、前向きな方針を示す場面もあった。
唐丹中3年の齊藤瑛飛斗さんは「緊張したが、しっかり思いを伝え、議論ができた」と達成感をにじませた。海に面した地域には釣り人の姿が多く、漁港にごみ箱の設置を提案。「簡単に思っていたが、デメリットもあることを知った。課題だと思うことを調べて話し合うことは大事だと思った」と学びを深めた。
釜石東中3年の千葉心菜さんは、他校の質問内容にも関心を持った様子。「不便さとか地域に向けての考えがたくさんあった。自分たちにできることを考え、みんなと一緒によりよい釜石をつくっていけたらいい」と将来を見据えた。
高橋勝教育長は「どの学校も自分たちの生活や、まちを良くしたいという気持ちが伝わってきた。気づかなかったところ、もっとやらなければならないことがあると皆さんの質問を通して感じた」と講評。今回をスタートとし、「今度はみんなから『声を届けたい』と(絆議会の開催を)提案してほしい」と期待した。