【ちゃんみな】No No Girlsでわかった! 子どもの才能を開花させる“ちゃんみな流”指導方法とは[精神科医が監修]
アーティスト・ちゃんみながオーディション番組『No No Girls』で見せた言葉かけには、子どもの自己肯定感を劇的に伸ばすヒントが満載。精神科医が「存在承認」の観点から「ほめ方」を解説。1回目(全3回)
▶子どもの「やる気スイッチ」の見つけ方とは? <アンケート結果>2025年のNHK紅白歌合戦に、自らプロデュースした7人組ガールズグループ「HANA」(ハナ)とともに初出場し、大反響を呼んだアーティスト・ちゃんみな。最近では、ちゃんみなが作詞・作曲を担当したHANAの楽曲『Cold Night』が、テレビアニメ『メダリスト』第2期(テレビ朝日系)のオープニング主題歌に起用。ちゃんみな、HANAともにライブチケットは完売続出など、まさに飛ぶ鳥を落とす勢い。
1児の母として子育てにも向き合う、ちゃんみなの言葉や姿勢は、親世代にも多くの示唆を与え、熱狂的ファンになる保護者が続出しています。
精神科医の亀山有香先生は、HANAをうんだオーディション番組『No No Girls』(ノーノーガールズ)でのちゃんみなの言動を「熟練した精神科医のよう」と称賛します。ちゃんみなから学ぶ「子どものほめ方」について、亀山有香先生に教わりました。
「上手だね」「すごいね」が子どもの自己肯定感を伸ばさない理由
子どもをほめるとき、私たち大人はついこう言ってしまいます。
「すごいね」「上手だね」「よくできたね」
これらの言葉が悪いわけではありません。しかし、それだけでは子どもの自己肯定感は思ったよりも育たないことが少なくありません。では、子どもの自信を育てる言葉とは、どのようなものでしょうか。
そのヒントを教えてくれるのが、アーティスト・ちゃんみなが主宰する、オーディション番組『No No Girls』(ノーノーガールズ、以下ノノガ)です。
テーマソング『NG』の歌詞にあるように、体の細さや太さ、身長が低い高いとさまざまな理由で世間から否定されてきた挑戦者たちが、歌やダンスの全力で挑み、才能と可能性を開花させていく姿が視聴者を夢中にさせました。
中でも注目されたのは、ちゃんみながオーディション参加者たちに行う審査のフィードバックや指導の仕方です。
精神科医で2児の母でもある亀山有香先生は、番組を見てこう感じたと言います。
「ちゃんみなさんが、すごく“対話”を大事にしているのが伝わってきました。単なる審査員ではなく、一人の『対話者』として、参加者一人ひとりに向き合っていた。
その姿はまるで、専門的なトレーニングを受けた熟練した精神科医のようで、驚きました」
ほめるときは 評価よりも「存在承認」
ちゃんみなのほめかたで印象的なのは「具体的であること」です。
例えば歌の審査では、声の質感や表現の特徴など、その人にしかない魅力を言葉にします。ダンスの場面では技術の高さだけでなく、ステージに立つ姿勢や覚悟に目を向けます。
つまり、「結果」だけではなく、その人特有の魅力や個性をいち早く見つけて、具体的に言葉にしているのです。
亀山先生は、このような関わり方が子どもの自信を育てるうえで重要だと話します。
「ほめるときにまず大切なのは、『あなたは私にとって大事な存在だよ』というメッセージをしっかり子どもに伝えることです。見ていてくれたとわかることが安心感にも、自信にもつながります。
せっかくほめたとしても『上手だね』『すごいね』で終わらせてしまうと、子どもは何をほめられているのかがわからず、困惑します。
さらには、結果が出せなかったら親からダメだと思われるかもしれないと不安になり、失敗を恐れて次の挑戦をやめてしまう原因にもなりかねないんです」
さらに、親が「正解」を決めつけないことも非常に重要だと言います。
「人がどうしたいか、どうなりたいかという答えは、本人の中にしかありません。それは大人だけではなく、子どもにとってもそう。
親が『きっとこう思っているはずだ』と決めつけてしまうと、子どもの本心を聞けなくなってしまいます」
番組(ノノガ)の中で、ちゃんみなが見せた対話の姿勢には、この「存在承認」と「決めつけない問いかけ」が凝縮されています。
例えば、審査の場面で候補者に対し、ちゃんみなはこう問いかけました。
「ずっとピリついているように見えたんだけど、それってどうしてだと思う?」
亀山先生はこのシーンを高く評価します。
「『不安なの?』『怒っているの?』と推測で決めつけるのではなく、『私にはこう見えた』と自分を主語にして事実を伝え、その理由は本人に直接聞いています。
本人のことは本人に聞いてみないとわからないという前提のもと、わからないことを断定せずに相手に尋ねる姿勢は、ダイアローグ(対話)において非常に重要です」
日常で使える実践的声がけ
では、家庭での日常的なシーンに置き換えるとどうなるでしょうか。亀山先生は「子どもが脱ぎっぱなしにしていた靴を自分で揃えた」というシーンを例にあげます。
「ついつい『えらかったね』と伝えたくなりますが、評価する言葉はぐっとこらえ、まずは『靴を揃えたんだね」と、目の前にある事実をそのまま口に出して伝えてみましょう。
すると、子どもは『僕(私)が靴を揃えたところを見ていてくれたんだ』と実感します。これが存在承認です。
さらに『揃えてみて、自分ではどう思う?』と問いかけ、子どもが『気持ちいい!』と答えたら、そこで初めて『そっか。気持ちよかったんだ。うれしいね』と一緒に喜ぶ。
親の物差しでジャッジするのではなく、本人が感じたポジティブな気持ちに共鳴すること。これこそが、子どもの内側から湧き出る自信を育てるのです」
親の役割は子どもを評価するのではなく、一番の「観察者」であり、「対話者」であること。ちゃんみなさんの言葉は、そのシンプルで大切な原点を思い出させてくれます。
取材・文/島影真奈美