釜石SW 気迫の戦いで2部残留獲得 今季初のホーム戦勝利にファン歓喜
NTTジャパンラグビーリーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCは8日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで行われた4~6位の順位決定戦で、日野レッドドルフィンズと対戦。22-19(前半12-5)で日野を下し、5位(1勝1敗、勝ち点5)で2部残留を決めた。レギュラーシーズンの2試合で50点以上を取られて大敗した日野に“今季最高のゲーム”で競り勝ち、地元ファンに大きな感動と喜びを与えた。
勝たなければ3部との入れ替え戦に回る釜石。この日は最初から互いを鼓舞する掛け声が飛び交い、勝利への闘志が随所で光った。流れを引き寄せたのは前半12分。日野の反則で敵陣ゴール前のスクラムを選択。アドバンテージからの攻防でWTB加賀亮太郎が左隅に飛び込んでトライ(ゴール失敗)。先制点を挙げ勢いに乗る。
攻守で狙い通りの展開を見せる釜石は前半37分、自陣でのターンオーバーからナンバー8上田宥人が右サイドのFBキャメロン・ベイリーにノールックパス。2人引きつけたベイリーが左でサポートしていたSH村上陽平につなぎ、約40メートルを走り抜いた村上が右中間にトライ(ゴール成功)。前半終了間際の日野のトライで12-5、釜石7点リードで折り返した。
後半も釜石のテンポのいい攻撃が続く。4分、敵陣10メートルライン付近でSOブレット・キャメロンのパスを受けたCTBヘルダス・ファンデルボルトが縦に切り込み、またもいい位置でサポートしていた村上にパス。相手を寄せ付けず中央に走り込んだ村上がこの日、自身2本目のトライ(ゴール成功)を挙げ、19-5とさらに引き離した。17分にはPGも決めた。20分までに日野に2トライ(ゴール成功)を許したが、3点リードを守り切り、22-19で競り勝った。
ノーサイドの瞬間、釜石フィフティーンは喜びを爆発させ、互いに肩を抱き合い貴重な勝利をかみしめた。スタンドではサポーターが大漁旗を振り、大きな拍手で2部残留を決めた選手らをたたえた。
試合後、須田康夫ヘッドコーチ(HC)は「選手たちがフィジカルバトルで勝って、見事勝利を収めてくれた。今季ナンバーワンのゲーム」、CTB小野航大主将は「チーム全員で最高の準備ができた結果。試合中のコミュニケーションも良く、プレー選択もほぼ間違いなかった」と振り返った。レギュラーシーズンで大敗した日野に勝つため見直したのはプロセス(過程)。「一人一人が自分の役割をしっかり理解し、目の前のプレーにフォーカスして臨む」。チームとしての意思統一が劇的勝利を導いた。
最も活躍した選手に贈られるプレーヤー・オブ・ザ・マッチを獲得したSH村上陽平選手は「先週負けてからきつかったと思うが、挽回してこんなにいいゲームができた。“釜石、やればできる”ということを証明できた」と自信をつけた様子。新加入で司令塔としてもチームに貢献した今季。「常にサポートプレーを意識し、トライにつながったのがうれしい。早い球さばきを心がけ試合ができたことは非常にいい経験。来季にもつながると思う」と実感を込めた。
リーグワン初年度を終え、須田HCは「フィジカルのベースラインを知り、チームに必要なことを学べた。来季、2部でしっかり戦って勝っていける体作りをやっていければ」、小野主将は「今季当初の目標“トップ3”を達成できるよう精進していく」と今後を見据えた。